眠い目をこすり、あくびをしながらアサリを水で洗い、塩水につけて砂抜きをする。

その間、にぼしで出汁をとり、トントンとネギをきざむ。 

 

kitchen560.JPG

 

そう。味噌汁を作っているのです。

 

面倒くさがりで掃除も洗濯もマメとは言いがたい。

そんな僕の朝の食卓に、どうして常連のように味噌汁が?

ふと手を休めて視線は換気扇へ。

 

――そうか。

 

はじまりは小2の料理の授業、その前日。

不器用だけど心配性で見栄っ張りだった僕は、母と一緒に予習をしたのでした。

 

そのときの様子を事細かに覚えていないけれど、

当初の腕前は人並み以下であったことに疑いはありません。

 

それにただでさえ苦手なことです。

自分で頼んでおきながらきっとふて腐れていたはず。

もしかすると半べそをかいていたかもしれません。

 

でも、横で見守るコーチは、

急かさなかった、あきれなかった、嫌な顔もしなかった。

絶対に。

 

もし、少しでもそうであったなら、僕はきっと料理を嫌いになったから。

 

今でも包丁を手に取るのは、

辛抱強く、時にほめながら、優しく声をかけてもらったから。

今でも帰省して味噌汁をすするたびに、安堵とかけらほどの悔しさがこみ上げるのは、

年季と経験値が違うからです。たぶん。

 

『PHPのびのび子育て』8月号のテーマは「早く! をやめると自分でできる子に育つ」です。

大人になってからも続けられるものは、案外、ふて腐れている顔を親が見守ったものだったりするのです。

 

(朋)

 

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