“腸ブーム”の仕掛け人に聞く驚きの新事実。カラダが本当に喜ぶのは、脳ではなく、まず腸を大事にする暮らしなのです。
 

 

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あなたのカラダは私たちが守っている!
体内戦隊 腸レンジャー

 

●ビフィズス菌・乳酸菌
善玉菌の代表です。腸内環境をきれいにし、免疫力を上げてくれます。

 

●枯草菌
納豆やみその中などに入っている土壌菌で、腸内の3分の2を占める日和見菌を元気にします。

 

●ウェルシュ菌
悪玉の腐敗菌で多いと毒素を出しますが、善玉菌が少ないとき、善玉菌にエネルギーを送ってくれます。

 

●大腸菌
多過ぎると悪さをしがちですが、実は腸の中の番兵役。病原菌を追い出したり、食物繊維の分解もしてくれます。

 

 

■腸は偉大なるお仕事をしている
40億年にわたる生物の進化の歴史を見ていくと、その8分の7は、脳を持たずに腸のみで生きる生物の時代でした。生き物は「最初に腸ありき」だったのです。脳ができたのは今から5億年前ぐらいですから、脳の歴史は腸よりもうんと浅く、腸がないと私たちは生きられないと言って良いのです。 腸の働きの最たるものは栄養分の消化・吸収です。しかしそのほかにも、腸内にいる腸内細菌と共同して、さまざまな仕事をしています。
例えば赤痢菌やチフス菌などの有害な病原菌が外から入ってきたら速やかに体外に追い出します。また、私たちが野菜を分解できるのは、腸内細菌が野菜に含まれるセルロースという成分を分解する分解酵素をもっているからです。それからビタミンBやCを合成しているのも腸内細菌です。そして腸は人体最大の免疫器官であり、免疫細胞の70パーセントを作り出しています。
それだけではありません。ドーパミンやセロトニンという「脳内幸せ物質」を合成し、脳に送り届けているのもなんと腸なのです!
ドーパミンやセロトニンはアミノ酸を原料としていますが、腸内細菌がアミノ酸を分解してドーパミンやセロトニンの前駆体(物質が生成する前段階の物質)を作り、脳に運んでいるのです。

 

 

幸せになれる鍵、見つけました
あれも、これも腸しだい!


健康だけではありません。多くのことの中心に腸がいます。


●心理状態
イライラの原因は腸内細菌の不足かもしれません。
イライラする、怒りっぽくなる、落ち込む、こうした心理状態と腸は深く関係しています。腸内細菌は、ビタミンBやCの合成を行なっています。ビタミン不足はイライラの元です。腸内細菌が少なければビタミン不足からイライラしたり、怒りやすくなったりするのです。また腸内細菌は、うつと関わりのあるセロトニンの合成も行なっています。ですから腸内細菌が少なければ、セロトニン不足で気分の落ち込みや抑うつ状態になったりするのです。

 

●勉強
成績UPの陰に“腸の鍛錬”が隠れているかも。
腸内細菌が合成しているドーパミンは、脳に快楽や歓喜、興奮を伝える働きがあります。また脳を覚醒させ、やる気や集中力も高めます。テストの点数が良かった、成績が上がったときはどんな子も喜びや感激がありますが、腸内細菌が多くてドーパミンも多く出る子は、その気持ちが桁はずれに大きくなります。「自分はできる!」と実感し、ドーパミン効果でさらにやる気や集中力が高まって勉強ができるようになっていくという好循環をもたらします。

 

●人間関係
腸にやさしい人は、周りの人にもやさしい人です。
腸内細菌をもつマウスと、もたないマウスとを比較した海外の共同研究があります。それによると、腸内細菌をもつマウスは他の仲間と平和に共存することができた一方、もたないマウスは成長とともに攻撃的な性格や行動が顕著になったそうです。腸内細菌が多いと幸せ物質がたくさん作られ、周りの人たちと楽しくやろう、仲良くしようといった気持ちでいることができます。反対に、腸内細菌が少ないと短気になり、その結果、人とぶつかりやすくなる傾向があるのです。

 

●愛情
腸を見れば夫婦仲がわかる?
恋愛も腸内細菌と無縁ではありません。恋愛感情を感じるとドーパミンがたくさん作られ、脳を覚醒して興奮状態にさせます。恋愛とは、すなわちドーパミンの作用で脳が興奮し、快感を感じたり、創造的になったりして起こる現象というわけです。時が経ってドーパミンの分泌量が減ると恋愛感情も薄れてきます。ですからいつまでも相手に恋愛感情を持ち続ける夫婦仲をよくするには、腸内細菌を元気にして、ドーパミンが作られやすい状態にしておくことも大事なのです。

 

 



 

藤田紘一郎 ふじた・こういちろう
人間総合科学大学教授
1939年生まれ。免疫や感染症研究の第一人者であり、免疫学を下敷きにしての文明評論にも定評がある。『笑うカイチュウ』(講談社文庫)など著書多数。また、自らの腸内で条虫(サナダムシ)と共生していたことでも有名。 

 

 


 

 

『PHPのびのび子育て』は未来を担う子どもたちの健全な成長と幸せを願って、発刊している月刊誌です。2013年11月号の特集は「子どもは『脳』より『腸』で伸びる!」です。



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