会うたびに余計なひと言を言う、ちょっと苦手なあの人。相手が投げてくるフレーズにビクつかず、キリリと打ち返そう。そうすれば、人づきあいがラクになる! 一瞬が勝負のリアクション力をつける秘訣を、八坂裕子先生の著書『切り返す力』からの転載でご紹介します。
 
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「あなた、痩せた? どこか悪いんじゃない? ちゃんと検診受けてる? ダメよ、さぼっちゃ。あなたのためを思って言ってあげてるんだから」
彼女はママ友のひとり。あなたの顔を覗き込み、心配そうな表情を見せる。
 
「ありがとう! 心配してくれて。別に悪いとこはないの。ダイエットが成功したってとこかな」
すると突然、話題はダイエットヘと急カーブを切る。
「ええつ? どうやって? 食べもの? それとも、スポーツか何か?」
彼女があまり興味を露(あらわ)にするので、あなたは思わず、ニッコリ。
女たちにとってダイエットは永遠のテーマなのである。
「甘いものを食べすぎないようにしただけよ」
するとまた彼女の顔が曇る。
「あなた、甘いものは必要なのよ。制限すると危険よ。言っちゃ悪いけど、あなた、痩せすぎじゃない?」
「あら、2キロダウンで動きやすくなったわよ。私は20歳の頃から、大体このくらいが一番いいの。これを維持しなくちゃ」
LLサイズの彼女の前で、あなたは堂々と自分のスリムな体型を誇る。
美しくありたいと望んだら、意志の強さと努力ナシでは実現不可能。「よくやった」と自分に満足しているあなたを、彼女はてんでわかっていない。ただ羨ましいのだ。
 
別の日。
商店街でバッタリ。
「このところ見かけなかったけど、元気にしてたの?」
逢わなかった理由が、まるで病気で外出できなかったかのような口ぶりだ。当然、あなたは不愉快である。
「あら、あなたこそ。どこかへご旅行だったの?」
と、少し切り返したつもりのあなた。
ダメダメ、そのくらいでは相手は切り返されたとは思わない。
「逢わないからって、勝手に私のこと病気にしてしまわないでね」
と、ハッキリ切り返そう。
「ヤダ、そういうつもりで言ったんじゃないのよ。あなたは忙しそうだし、いい意味でガンバリ屋さんだから」
「まあ、いい意味でガンバリ屋? とんでもない、私は悪い意味でなまけ者よ」
「そんな! 誤解しないでよ。とにかく、元気でよかった」
と、彼女はあわてて逃げ去った。
ところが、余計なひと言が多い人は、すぐに過去を忘れる。
郵便局で逢うと、またひと言。
「どうしたの? 言っちゃ悪いけど、顔色がよくないわよ」
と、彼女。
あなたは彼女の話し方にだいぶ慣れてきたので、ひるまない。
「インフルエンザかもしれないから、近づかないほうがいいわよ」
と、ヒラリとかわす。
 
彼女が会話の中に「あなたのためを思って言ってあげてるんだから」「言っちゃ悪いけど」「いい意味で」と必ずひと言多いのは、自分が“親切な、いい人”だと錯覚しているせいだ。
余計なひと言は虚飾である。
なぜなら、ハートが不在だからだ。
ハート不在の言葉は、ハート不在のまま相手に届くのだということを知らなければ、大人の会話をする資格はない。
あなたは、彼女の余計なひと言を狙い撃ちしよう。
「あなたのためを思って」と言われたら、「ありがとう、私のためを思ってくれて」と返す。
「言っちゃ悪いけど」と言われたら「悪いなら言わないでよ」と、速攻一撃。
「いい意味で」には「悪い意味で」と、あげ足をとるのだ。
ただし、表情はイジワルくなく、にこやかに。
モワモワッと浮かんだフレーズを脈絡なく口にしている彼女の相手をするほど、あなたはヒマじゃないのだ。
切り返すときは、遠慮せずにあなたの才気を振り回し、敬遠されたら、しめたもの。
会話の運動神経をピカピカにしておくには相手は選ばない。場数を踏むことである。
 
 
 
 
 
【出典】
人づきあいがラクになる!
~ちょっと苦手なあの人に~
 
苦手なあの人の失礼な言葉や態度に我慢するのはもうおしまい。ただ不満をぶつけるだけでなく、明快に気持ちを伝えましょう! 人づきあいに役立つ絶妙な切り返し方を満載しています。
※家庭直販書です。一般書店では販売していません。
 
 
 
 
 
 
 
 
【著者プロフィール】
八坂裕子(やさか・ゆうこ)
詩人。東京生まれ。お茶の水女子大学附属高等学校卒業後、文学座演劇研究所修了。1967年、資生堂の会報誌『花椿』で、詩「ナポレオンと苺」が最優秀賞を受賞。以後、詩集、小説、エッセイを次々と出版し、幅広い分野で活躍。
著書に『わたしって会話下手』(集英社)、『頭のいい女、悪い女の話し方』『40歳からの「ひとり時間」の愉しみ方』(以上、PHP文庫)、『愛される女19の知性』『言い返す力』『イラスト版 頭のいい女、悪い女の話し方』(以上、PHP研究所)、『怒れる女たち』(ホーム社)、『お金をかけずに贅沢に暮らす』『「おしゃれな女」になる方法』(以上、三笠書房)、『星に祈りを生きるための77の言葉』(サンリオ)など多数。