読書によって身につく「読む力」は、あらゆる分野で役に立ちます。ここでは、寺田昌嗣さんの『子どもの速読トレーニング』の一部をご紹介します。

 

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議書で算数力・数学力が高められる

 

よく語られることですが、あらゆる教科の成績は国語力で決まります。とりわけ国語力が大きな鍵を握る教科が、算数・数学です。

 

算数・数学でも、単純な計算問題や公式にあてはめて解くだけの問題なら、反復練習と公式の丸暗記ですむかもしれません。中学校の数学ですら「暗記教科」と断言してしまう人もいるくらいです。 ですが、算数と数学で本当に必要なのは、言葉で表現れたことをイメージに変換して関係をつかむ力。何が問われているかを的確につかみ、答えを導き出す思考力です。 これはまさに読解力そのものなのです!

 

公式や解法のパターンを暗記したら解ける単純作業的な勉強に慣れてしまうと、この読解でつまずきます。中学校に入って方程式を学んだとたん、小学校の算数の文章問題が解けなくなるのも根本的には同じです。 これは、暗記教科といわれる理科や社会でも同じこと。塩分濃度の計算、熱伝導や力の伝達の問題などは、算数以上に言葉をイメージに変換する力が必要です。身近な社会をこえた国家や世界の仕組みを理解するには、抽象的な説明を体験と結びつけつつ理解する力が求められます。

 

あらゆる教科の基礎となる「国語力」――その本質は「読解力」にあるのです。 そして、この力は短期間で、あるいは簡単に養えるものではありません。どれだけたくさんの本を読んできたか、どれだけ頭をひねって考えてきたか、そういった日々の 読書体験によってのみ育てられるものなのです。

 

 

読書でスポーツが上達する?

 

速読の「視野を広げるトレーニング」や、「目の運動機能を高めるトレーニング」でスポーツの成績が向上したという話を聞いたことがあるかもしれません。『子どもの速読トレーニング』で紹介するトレーニングも、沖縄のビーチバレーチーム(ペア)で採用され、彼女らの国体優勝に一役買いました(2003年 わかふじ国体)。

 

ですが、これは読書とは無関係の、いってみれば「副産物」のようなもの。 実はプロスポーツ選手の中には、読書それ自体をトレーニングとして積極的に実践している人たちがいます。

 

プロゴルファーの宮里藍選手は父親からの指導で、トレーニングとして読書をたしなんでいたと語っています。ゴルフに必要な体の筋力に対して、土壇場で発揮される「人間全体の落ち着き」(松井宏員著『宮里藍ドリーム・ショット』毎日新聞社より)を「静筋」と呼び、これを鍛えるのが読書だというのです。

 

福岡ソフトバンクホークスで四番打者を務めた小久保裕紀選手は、現役時代に1000冊以上の本を読破した読書家として知られています。シーズンオフのキャンプには『水滸伝』などの古典(歴史小説)を持参して「脳トレ」として読み、若手選手らにも読書を勧めていたといいます。

 

言葉を耕し、論理的に考える力をつけること。さまざまな要因を複合的にとらえ、的確に判断すること。自分では体験できないことを、作者の視野を借りて疑似体験しながら心を強くすること。――これらは、むずかしいと感じるような本をじっくり、そしてたくさん読むことで可能になります。

 

速読トレーニングで、スポーツに直接的な効果があるだけでなく、読書がメンタル面や判断力にまでプラスの効果をもたらす――とすれば、ますます本を読まない手はありませんね!

 

 

興味のアンテナを育もう!

 

読書は、国語はもちろんのこと、算数・数学やスポーツにまでも大きな効果があることが、おわかりいただけたことと思います。読む力は、あらゆる学力や生きる力を支える根っこの役割を果たしているのです。

 

ですが、読書にはさらに重要な役割があります。それは「興味」を育むという役割です。

 

勉強も「やらされている!」と思ってやるよりも、世の中のしくみや原理に興味と好奇心を持ち、新しいことを学ぶ喜びを感じながらやるほうが、断然、伸びていきます。 この知的な好奇心は、無理して作れるものではありません。 では、どうしたら育てられるかという問いへの答えは、それほど簡単には出せません。しかし、教師をしていた経験からいえることがあります。 それは、もともと知識が豊曽内な子どもは「自分が知らないこと」を調べたくなり、そうでない子はスルーしがちだということ。「調べ方」を知っていて、「自分で調べた経験」があれば、その興味と好奇心はさらに広がっていく、ということです。

 

調べたことが「わかった!」となるからこそ、さらなる未知への興味の「アンテナ」が芽生えます。「わかった」を得るには、言葉と体験という「受け皿」が必要です。 まったく経験がないこと、言葉で理解できないことは受け止められません。

 

その受け皿となる体験が、もし自分が日常生活で体験したことだけだとしたら、私たちはどれだけせまい世界で生きることになるでしょうか!本を通した疑似体験、著 者の視野、著者の感覚と言葉を借りた体験ができるからこそ、世界は無限に広がっていくのです。

 

世の中にあふれる情報をどんどん吸収できるベースを読書で作る――もし速読ができて、気楽に興味を広げていくことができれば、世界がどれだけ広がっていくことでしょう!

 


 

【本書のご紹介】

 

 

子どもの速読トレーニング


『子どもの速読トレーニング』

「聞く力」「読む力」「集中力」がアップ! 中学校の勉強がラクになる! 親子で楽しみながらできる、速読トレーニングを紹介します。


【著者紹介】
寺田昌嗣 (てらだ・まさつぐ)
1970年、福岡県生まれ。名古屋大学法学部卒業。元福岡県立高等学校公民科教諭。教職在職期間は8年と短期間ながら、ユニークな授業が評判となり、全国紙一面に授業が紹介されたこともある(1998年元旦・朝日新聞)。また、中学校勤務時代には20代にして進路指導主事を任されている。
2001年に教職を辞し独立。教師時代から研究を続けていた高速学習と速読のメソッドを完成させ、その指導にあたる。速読3日間集中講座は98%の高い修得率を誇り、速さだけでなく読書そのものの質が上がると評価が高い。また、5つのライバル速読流派から顧問や技術指導の依頼を受けるなど、メソッドと指導技術に対する業界内での信頼も厚い。
現在は、名著・古典を読む読書会、私立大学での読書力養成講座、社会人向けの熟読講座など、読書力を養うための活動にも力を入れている。読書力と読解力を育むための「ことのば子ども速読講座」も福岡で開講中。

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