子どもの自己主張は「いいわがまま」

中垣俊子(コルネット主宰)
2023.10.11 11:43 2023.02.02 15:42

パパと子とママ

子どものわがままには、「いいわがまま」と「わるいわがまま」があります。「いいわがまま」とは、一体どんなものを指すのでしょうか?

※本稿は、中垣俊子著『子どもが伸びるいいわがまま 心を荒らすわるいわがまま』(PHP研究所)から一部を抜粋し、編集したものです。

【著者紹介】中垣俊子
1967年生まれ。認定心理士。保育士。1996年に女性のためのカウンセラー「コルネット」を主宰し、子育てや夫婦関係・仕事など女性の心理カウンセリングや、心理カウンセラーの養成、小学生の放課後スクール「アドラーこども学校」の運営を行っている。また行政やNPO法人の依頼による講座の開催や、不登校の親の会のサポートを行う。

子どもが自分で決めてよいこと=いいわがまま

勉強をする子ども

自分の服装や、学用品、ランドセルの色、食べる順番、誰と何をして遊ぶかなどは、自分に関わる身の回りについて、好みやこだわりを大切にしたいという自己主張であり、いいわがままです。ここまではわかりやすいですね。

さらに、お小遣いの使い方、習い事、宿題、時間割をそろえる、なども子どもに決定権と責任があります。ですから基本的に親は口出しできません。

つまり「こら~! 宿題やりなさ~い!」と叱ることはできないのです。そんなことしたらうちの子絶対宿題をやらないわ!という声が聞こえてきそうですね。詳しい対処法は後でお伝えしますが、基本的にこれらは子どもの責任ということを認識することが大切です。

ただ宿題などを子どもに任せるのに抵抗を感じる方もいるでしょう。そこで日常のあれこれを子どもの課題と親の課題に分ける考え方をご紹介します。

子どもの課題と親の課題

お父さんにそっくりで笑っちゃう、おままごとのお母さん役が自分にそっくりで恥ずかしいなど、子どもたちが両親とよく似ていて、親子ならではのつながりを感じることも多いと思います。

しかし、子どもは生まれたその日から、親とは別の人格をもつ一人の個人として尊重する必要があります。こんなふうに言われても、赤ちゃんの頃から一緒に暮らしてきた子を思うと、なんだかピンとこないかもしれませんね。

そこで、人生を一本の道としてイメージしてみましょう。お母さんが子どもの道に入ってきて同じ道を歩むと、過保護・過干渉となります。それにこれではお母さんの道がお留守になってしまいますね。

お母さん自身の道は子どものすぐ隣にあります。お母さんはこちらを歩きましょう。そして隣の子どもを見守り、応援し、ときには少し待ってあげたり、手を差し伸べたりしながら、子どもが自分で歩くのをサポートする。そんな感じが、親子の課題を分けるということです。

子どもは子どもの人生の課題をこなしながら進み、親も自分の道を進んでいきます。どちらの道も人として成長するという同じ目的に向かって延びています。

親子間にあるあれこれは、基本的にどちらかの課題です。ただし、一見してどちらの課題かがわかりにくい場合がありますから、少しほぐして見てみましょう。

〈好き嫌い〉
「何を食べるか」…子どもの課題
「メニューに何を出すか」…親の課題

〈習い事〉
「どんな習い事をするか」…子どもの課題
「予算を決める」…親の課題


〈宿題〉
「宿題をするかしないか」…子どもの課題

宿題は子どもと先生との約束で成立しているものですから、親は関係ありません。もし先生から「お子さんに宿題をやらせてください」と言われたら、先生に、

・断る
・引き受ける
・保留にする

などどんな返事をするかは親の課題です。しかしこれは子どもに関係ないので、先 生と約束したからといって子どもに強制することはできません。ですからたとえ引き 受けても、親ができることは、次の項の方法になります。

中垣俊子

中垣俊子

1967年生まれ。認定心理士。保育士。1996年に女性のためのカウンセラー「コルネット」を主宰し、子育てや夫婦関係・仕事など女性の心理カウンセリングや、心理カウンセラーの養成、小学生の放課後スクール「アドラーこども学校」の運営を行っている。また行政やNPO法人の依頼による講座の開催や、不登校の親の会のサポートを行う。