不登校の子どもに対して、親としてできることに何があるでしょうか。水野達朗先生の『無理して学校へ行かなくていい、は本当か』をご紹介します。

 

 

私は不登校の子どもたちを学校へ戻すための支援をしています。その中で数多くの不登校の子どもたちへの訪問カウンセリングを行い、それ以上の数の親御さんたちに不登校解決に向けた指導や助言を行ってきました。 長年の地道な支援活動と不登校解決の実績が認められ、最近では文部科学省の検討委員や教育委員会の教育委員などを最年少で拝命し、北海道から沖縄まで、全国各地の講演会で、不登校や家庭教育についてのお話をさせていただくまでになりました。

 

私の一日は早朝の登校フォローアップのための親御さんへのメール対応に始まり、日中は電話カウンセリングや親の学びを深めるための家庭ノートチェックをします。子どもが暴れている、子どもが問題を抱えて動けなくなって学校をお休みしているなどの状態になれば新幹線や飛行機に乗りこんで、直接全国各地の支援をしているご家庭に入って子どもに訪問カウンセリングや教育コーチングを行います。不登校の子どもたちは、生活が昼夜逆転しているケースも多いため、問題が夜に起こる場合もあります。ゆえに相談業務は深夜まで及ぶこともあります。子どもの家に泊まり込んで対応することもしばしばあります。

不登校のご相談に対してこのような支援を10年以上続けてまいりました。そのような支援を長らく続けていると見えてきたことがあります。それは、

 

・不登校のタイプを理解しないと支援が逆効果になるケースがあること

・待っているだけでは解決できない不登校が多いこと

・不登校は家庭の力で乗り越えられるケースが多いこと

 

「無理して学校へ行かなくていいってほんと?」という声を耳にします。多くの不登校支援は「学校へ戻るためのエネルギーが溜まるまで休ませましょう」「しばらく様子を見ましょう」「愛情深く接して自ら動き出すのを待ちましょう」といった受容共感的な支援法です。しかしそれらは悪く言えば消極的で腫物には触るな的な支援法ばかりとも言えます。また 「しばらく」「もう少し」など期間を区切らない支援法ですと、愛情深い親御さんであれば「いつまで待てばいいの!本当に待っているだけで子どもを救えるの?」と焦る気持ちになるのは当然のこととも言えます。

 

確かに学校から一時的に距離を置いたほうが適切な不登校のケースもあります。しかし、そのような対応法はすべての不登校のケースには当てはまりません。つまり、ケースによっては不登校で動けなくなっている子どもに対して積極的に関わることが不登校の早期解決に結びつくのです。

また、不登校解決で大切なことは早期発見、早期対応だと感じます。どの子にでもある日突然起こるのが現代の不登校です。子どもたちと心を通わせながら、いかに親が、学校が、専門家が積極的にサポートをしていくかで子どもたちの未来は大きく変わるのです。

 

本書では「不登校はこのように解決できる!」などとは書きません。なぜなら不登校は一件ずつ、不登校の原因やきっかけ、親子関係や学校環境などその背景が全く違うため、解決法も不登校の数だけあるものだからです。

 

解決法が不登校の数だけある中で、本書では「親としてどのように不登校を捉えればいいのか」「親として具体的にどのような対応をすればいいのか」「待つだけではなく積極的に関わる支援とはどのようなものか」の3点にスポットを当ててご説明したいと思います。また、私たち家庭教育支援センターペアレンツキャンプの復学支援を受けて不登校を乗り越えた親御さんの実体験をつづった手紙もご紹介しています。

 

不登校というつらい現実に多くの子どもたちや親御さんが立ち向かっています。その背中を支えながら、時には手をとり伴走しながら、多くの子どもたちが学校へ戻っていく姿を見送ってきました。そして悲しみの涙が喜びの涙へ変わっていく瞬間をたくさん見てきました。

 

このまま待っているだけでは不安だ、という親御さんたちにとって、本書が闇に差し込む一筋の光になることを願っています。

 

(「はじめに」より)

 

 


 

 

【本書のご紹介】

 

 

 

無理して学校へ行かなくていい、は本当か

 

『無理して学校へ行かなくていい、は本当か 』

「なぜ、うちの子は学校へ行けないの?」切実な親の声に心の耳を傾けて、不登校の予防と解決を実現してきた水野式家庭教育論。

 

【著者紹介】
水野達朗(みずの・たつろう)

不登校専門の訪問カウンセラーとして多くの不登校の子どもたちと関わり復学へと導く。不登校の解決法として家族内コミュニケーションの在り方に着目し、水野式の家庭教育メソッドである「PCM(=ParentsCounselingMind)」を構築。家族と子どもの自立を第一に考え、全国の親と子をサポート。不登校の復学支援や家庭教育に関する講演会も精力的に行っている。

現在、家庭教育支援センター ペアレンツキャンプの代表理事として、個々の家庭教育支援や不登校支援だけではなく、文部科学省や教育委員会など国や地域の家庭教育支援や不登校支援の在り方についての検討委員(最年少)を歴任している。

さらに日本の子どもたちだけではなく、アジアの子どもたちの支援活動も行っている。
主な著書 『ころばぬ先の家庭教育 きょうからできる家庭カアップ 小学生編』(文芸杜ビジュアルアート) 『ころばぬ先の家庭教育 長期不登校になる前に学んでおきたい親の対応法 中学生編』、『「ころんでも立ち上がれる子」はあなたが育てる―不登校の小学生が悩む「学校が怖い」「学校へ行きたくない」の正体―』(牧歌舎)

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