頭のいい子に育てるためにオススメなのが、旅行です。隂山英男『子どもの頭が45分でよくなるお父さんの行動』の一部をご紹介します。

 

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家族で旅をしよう

 

家族が体験を積み重ねるために父親は何をしたらいいか、そう聞かれれば、私は即座に「家族で旅をする」と答えます。私自身が旅好きということもありますが、旅には人を育てるいろいろな要素が含まれています。第一、楽しい! 人生は楽しいものと知らせるには旅が一番です。

 

実際、私は上の2人の娘を幼い時に海外に連れ出しています。通常は、ハワイとかグアムが子ども連れの海外旅行のスタート点になっているようですが、それではおもしろくないと思い、3泊4日でフィリピン、別の年には同じく3泊4日で韓国に行きました。

 

フィリピンでは観光名所ではなく、幼い子どもが働いているようなスラム街に連れていきました。韓国では北朝鮮の軍事境界線のある板門店に連れていきました。子どもに当時のことを覚えているかと聞いても記憶はおぼろげなようですが、2人とも大人になってからどんどん海外に行くようになりました。

 

長女は上海まで船で行き、バスで東南アジアに入るというバックパッカーのような旅のしかたをするようになりました。北京で中国語の語学留学をしていた半年間に飛行機でシルクロードの先まで行ったり、新婚旅行にはマチュ・ピチュを選んだりして、わが家で移動距離が一番長いのが彼女です。また次女は、ロンドン留学中に自転車でイギリス全土と東欧・バルト三国を走り回っています。

 

海外に出る意識のハードルが低いのは、私の刷り込みだと密かに自負しています。

 

国内旅行も長期の休みのたびにしていました。パンフレットに載っているような名所旧跡を訪ねる定番の旅ではなく、たとえば舞鶴からフェリーに乗って翌々日の早朝に小樽に着き、地元の市場でエビやイカを買います。それをコンビニで調達したご飯の上に載せて、即席海鮮丼を作って浜辺で食べるようなワイルドな旅です。新鮮な海の幸を安い値段で手に入れてご飯を作る様子は、子どもたちの勉強になったと思います。

 

わが家では妻も旅好きで、小さいころから妻に連れられて九州旅行などに出かけていた長男は、大学時代にはバイクに夢中になり、北海道をはじめ全国をツーリングした結果、3年で8万㎞を走り切っています。

 

旅はなぜいいのでしょう。それは感動があるからです。たとえば家から遠く離れた場所で夕日が沈むのを見て「きれい」と感動する。それが人生の楽しさであり醍醐味ではないでしょうか。

 

旅は家族のあり方の縮図であるとも思います。私は旅に出るたびに家族が一つになっていくことを実感していました。旅に出ると家族の結束が固まります。

 

本書『子どもの頭が45分でよくなるお父さんの行動』(PHP研究所)では、計算が速くなったり漢字を勉強したりする方法を紹介していますが、旅に出て夕日を見て感動するだけで脳は活発に動くので、それ自体が勉強です。

 

以前の私だったら「『夕日がきれい』ということを絵画や作文で表現しましょう。これが体験的学習です」などと言っていましたが、感動している間に激しく動く脳があれば、その時に「地頭」がよくなることがわかりました。

 

「フィリピンのスラム街、汚いなあ」

 

「板門店? よくわからないけどすごい!」

 

それがなぜなのか、調べたい人は調べてもいいけれども、まずはその場を味わって楽しむことが先で、それが勉強なのです。

 

知識を増やすのも大切ですが、豊富な体験は子どもたちの心の財産になります。

 

お父さんたちは家族のプロデューサーとして、子どもの体験を増やしてあげてください。

 

 


 

【本書のご紹介】

 

子どもの頭が45分でよくなるお父さんの行動

 

『子どもの頭が45分でよくなるお父さんの行動』

子どもの学力・地頭力は父親しだいで伸びる! 百マス計算でおなじみの著者が、2女1男を育てた経験から伝授する父親がするべきこと。

 

【著者紹介】

隂山英男(かげやま・ひでお)

立命館小学校校長顧問。一般財団法人基礎力財団理事長。1958年、兵庫県生まれ。岡山大学法学部卒業。1981年、兵庫県尼崎市立園和小学校で教師生活を始め、同城崎郡日高 町立三方小学校を経て朝来町立山口小学校勤務時に「読み書き計算の反復学習」と「早寝早起き朝ご飯習慣」で学力向上をめざす「隂山メソッド」を確立し注目される。2003年、広島県尾道市立土堂小学校校長に就任。2006年、立命館小学校副校長就任。大阪府教育委員・委員長(2008~15年)。文部科学省中央教育審議会特 別委員(2005~14年)のほか、全国各地で学力向上アドバイザーを務める。著書に『本当の学力をつける本』(文藝春秋)、『徹底反復「百ます計算」』『学力は家庭で伸びる』『「だから、子ども時代に一番学習しなければいけないのは、幸福です」』(以上、小学館)などがある。