上の子が下の子を叩く……こんな時、頭ごなしに叱るのは逆効果かもしれません。お母さんたちの悩みに、東ちひろ先生がお答えします。

 

 

 

 

Q.最近、上の子が私にかくれて下の子を叩くことがあります。下の子はまだ1歳です。びっくりして私が怒ると上の子がすねてしまいます。「人がイヤがることをしたらダメ」と強く言うのですが、まったく効き目がありません。下の子がケガでもしたら大変です。育児書にはよく「上の子を大切にしましょう」と書いてありますが、どうしたらいいのかがわかりません。上の子が赤ちゃんのときには、下の子同様にかわいがっていたのに......。

 

A.

これはやめて! 「なんで叩くの!?お姉ちゃん(お兄ちゃん)でしょ!」

こうすればいいよ! 男の子には「ママとデートね」女の子には「今日は女子会ね」

 

子育てはふたり目から一気にハードになってきます。なぜなら、ママがすることが増えてきて、上の子の世話にまで手が回らないからです。

上の子がひとりのときには、すべての愛情を注いでいたママも、子どもがふたりになるとバタバタになるんですね。

ベビーはなにもできないので授乳もおむつ替えもママが当たり前のようにするでしょうが、ママが手一杯になると、上の子には「頼むから自分でできることは自分でやってほしい」「できることであれば、私の用事を手伝ってほしい」とすら思います。もう、ママはキャパシティーオーバーです。

また、上の子は今まで仮に100%の愛情をママからもらっていたとしても、下の子の出現で上の子と関わる時間が目減りしてしまいます。ということは今までの愛情が「目減り」した気がするのです。下の子が生まれて以来、上の子がママと関わる時間が「マイナス」になっているからです。

このママが言うように「上の子が赤ちゃんのときには抱っこもおんぶもたくさんした」と思っても、この頃の子どもは「今」に生きているのです。1歳児の頃のことははるか遠い昔のことで覚えていないのです。一方、下の子は、生まれたときから自分の上には知力・体力が勝った上の子がいます。その上の子とママを取り合うことが前提で生きています。そのため、かわいい顔をしないとママが振り向いてくれない、上手に甘えないとママがイヤがる、と無意識に知っているのです。そのため、下の子は総じて甘え上手です。

 

上の子だって抱っこされたい!

 

一方上の子は、自分の意思とは関係なく、「上の子役」を仰せつかり、ママの愛情ダントツ首位の座を弟・妹に明け渡し、立つ瀬がありません。ちょっとすねたい心境です。また、4歳児になると大人からの、自分への要求水準が高まります。ベビーはおむつにおしっこをしてもいいけれど、自分はトイレに行くことを強要されます。そんなこと当たり前、と思われるでしょうが、上の子は、どんなときもきょうだいは平等に扱ってほしいと思っているのです。 下の子がママに抱っこされるのであれば、自分も抱っこしてほしいのです。あわよくば1歳児の頃に戻りたいと思っているわけです。

そんなときには、上の子に手厚く接していきましょう。下の子を心配するママもいますが、下の子は授乳でもおむつ替えでもママからのスキンシップをもらっています。そのため、よほど手がかかるベビーでなければ、落ち着いて成長することが多いのです。

 

しかしながら、上の子が、心配な4歳児だとしたら、この先心配な5歳児になり、やがては心配な6歳児になる可能性があります。それが、上の子を大事にしましょうといわれる所以なのです。

 

でも、とかく、こんなふうに接しがちです。

 

NG例

「なんで下の子を叩くの! あなたは悪い子だね。お姉ちゃんなのに......」

「自分が叩かれたら、どんな気がするかわかるでしょ」とママに叩かれる。

 

愛情とやさしさは"おすそ分け"です。自分(上の子)がもらっていないと下の子にはあげることができません。それはどれだけ口酸っぱく「下の子を叩いたらダメ!」と言ったとしても、です。

では、どうすればよいのでしょうか?

 

OK例

「ママのだーい好きな○○ちゃんを抱っこしてもいい?」(言葉と行動でママの愛情を伝える)

下の子のお昼寝時間に、男の子だったら「ママとデートね」「デートは大好きな人といっしょにいることよ」と言っておやつを食べる。女の子だったら、「今日は女子会ね」と言っておやつを食べましょう。

 

つまり、特別に密な時間を確保するわけです。そして、目に見えたことを言葉にして伝えましょう。この頃は、下の子が十分できないことで、上の子ができることがたくさんあります。

 

「ご飯終わったね」

「おー、もうトイレ行ったの?」

「今日はお絵かきしているのね」

 

と、目に見えたことを言葉で伝えるだけです。これは子どもを認めることになるので、子どもの心がぐっと安定してきます。

子どもを評価するのではなく、無条件の愛情を注ぐのです。この先下の子が大きくなると、「自分だってできるよ」と言うようになるので、今がやりどきですよ。まずは3日間取り組んでみましょう。そして、お子さんの様子を観察してみましょう。

 

osusume.gif Q.上の子に我慢させている~子育て相談室

子育てのイライラは「べき思考」から起こる~榎本博明

子育てで目指せばいいたったひとつのこと

 


 

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【著者紹介】
東ちひろ(ひがし・ちひろ)
幼稚園講師、小学校教諭、中学校相談員、教育委員会勤務を経て、現在は「一般社団法人.子育て心理学.協会」代表理事。上級教育カウンセラー、日本カウンセリング学会認定カウンセラー、(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。
心理学とコーチングを使った独自のアプローチ方法で、お母さんのための電話相談を行ない、これまでに2万件以上の実績がある。相談を受けた93%の子どもの状況が改善し、不登校児童・生徒の75%が完全に学校復帰をしている。子どものタイプに合わせた即効性のあるアドバイスは、クライアントから「たった1回のアドバイスで、言うことを聞かない子どもが"やる気"になった」と好評を得ている。一男一女の母。
著書に、『子どもが伸びる! 魔法のコーチング』(学陽書房)、『男の子をぐんぐん伸ばす! お母さんの子育てコーチング術』(メイツ出版)、『「言うことを聞かなくなってきた子」の育て方』『子どもが「甘えていいとき・わるいとき」』(以上、PHP研究所)がある。