息子に暴言を吐いたり頭を叩いたり......私、母親失格?「マザーズコーチ」の佐々木のり子さん、青木理恵さんが、お母さんの子育ての悩みを一緒に解決します。

 

 

現在38歳シングルマザーです。5歳と2歳の息子二人と三人暮らしです。働かない夫とは1年前に離婚しました。夫の両親から月5万円の養育費はもらっていますが、私も朝8時半から午後5時までパートで働いています。パートが終わると子どもたちを保育園に迎えに行き、帰ってからすぐご飯の準備。下の子が先月くらいからイヤイヤ期に突入したようで、今まで以上に毎日グッタリです。

最近では自分も些細なことでキレやすくなり、何かあるとつい長男にあたってしまいます。「ほんとにあんたってグズなんだから」など人格を否定するような暴言を吐いたり、気がつくと手が出ていて、自分でわかっていても止められない時があります。長男も私が手を挙げただけで、さっと自分の頭を隠そうとしたり、そんな姿を見るととても悲しくなります。このままでは、長男を歪んだ大人に育ててしまうのではないかと不安です。

 

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佐々木コーチ(以下Sコーチ):とても厳しい状況の中で、一人で抱え込んでいて、一杯一杯という感じがしますよね。すでに自分ができることの限界を超えてしまっていて、「助けて!」と叫びたいママの悲鳴が聞こえます。
今はその矛先を抵抗しない長男に向けて八つ当たりし、瞬間的に支配することでストレスを発散させているようですが、これが続くと危険です。
どうしてかって言うと、長男さんが中学生になり力が強くなってくると、今度は大きなしっぺ返しがママにきてしまいます。力で支配すると、力で抵抗されるんですね。長男さん自身の将来も、よりよく築くことができなくなってしまうからです。
このママさんと同じように、子どもに八つ当たりしてしまい、そのあとに自己嫌悪に陥ってしまう方は多いのではないでしょうか? 車もガソリンがないと走れないように、人も自分の中に十分なエネルギーがないと正常な判断ができなくなります。そんな時は、まず現時点で「我慢していること」をリストアップして、自分のエネルギー漏れを直すことからやっていきましょう。

 

青木コーチ(以下Aコーチ):本当に、ママと子どもたちのためにもなるべく早くこういう状況を脱出させてあげたいですから。我慢していることは、話すだけでもずいぶん楽になりますよね。

 

Sコーチ:ええ、我慢を減らすというスキルは我慢していることをリストアップしたあとに、見直してみて、すぐできそうな小さな我慢から行動を起こし、欲求不満を減らしていくんです。
我慢が一つ、また一つと減るだけでも本当に心が軽くなっていくんですよ。今は、体に砂袋をたくさん巻き付けて生きている感じですもの。
まずは、自分が我慢しているリストを作ってみてください。「親友と新しくできたレストランに行く」とか「洋服が欲しい」でも、とにかく我慢していることを紙に書き出して、それをビリビリと破いてみるんです。これだけでもスッキリするんですよ~。
このママさんは、最初に我慢していることを聞いても、我慢(ここでも我慢!)してなかなか出てきませんでした。二回目ぐらいに「美容院に行くこと」が出てから、山のように出てくる出てくる。そしてリストができたら、その紙をビリビリ破いてもらいました。

 

Aコーチ:すごい勢いで破いていましたね。我慢していることを紙に書いて破いただけなのに、「数年ぶりに開放感を感じました」と表情が明るくなっていました。辛かったね。ずっと一人で我慢してきたんだねと言うとまさに号泣。その光景は、今思い出しても泣けてきます。「泣いて、泣いて、空っぽになった時、ふと人に優しくされることを知りました」とおっしゃっていました。
それだけでもずいぶん息子さんへのイライラが治まったそうです。

 

Sコーチ:これ以上頑張れないほど頑張っているのに「頑張って」と言われる応援の言葉は、時としてナイフのように心に刺さりますよね。このママさんも、周囲は応援のつもりで「頑張って」と言っているのに、自分を追い込む言葉のように感じていました。口では「ありがとう」と答えているのに。辛いですよね。
そんな時に一番欲しいのが、その人からにじみ出る「思いやりホルモン」「信じてるよホルモン」です。例えば、何も言わなくても背中をポンと叩いたり、笑顔で送り出したり。そんなことから言葉以上の何か、が伝わっていきます。
親子間も同じです。このママさんは、「言葉で愛情を表現するのは、ちょっと......」と苦手意識が強かったので、最初は作り笑顔でもいい、どんなに朝怒鳴っても、学校へ送り出すときは笑顔で手を振るようにしました。長男さん、最初はママの笑顔にきょとんとしていたそうですが、そのうち長男さんも笑顔で返してくれるようになり、そんな息子さんの笑顔に、ママにも本物の笑顔が出てきたようです。

 

Aコーチ:私も娘が小さく不安で一杯だった時、駆けつけてくれた友人が黙って力強くハグしてくれた時がありました。泣きながら癒され、大きな勇気をもらったことがあります。
そうすると、内側から「大丈夫ホルモン」が出てくるんですね。そうすると、言われた子どもも、たとえ怒鳴られようとも「僕は大丈夫、私は大丈夫」ってだんだん思えるようになってきます。
この方のように、経済的にも精神的にも大変な状況で、自分のイライラを子どもにぶつけてしまい、止められないというご相談はとても多いんですよね。

 

Sコーチ:そう、特に、下の子どもさんが2歳くらいで上の子どもさんが4~8歳くらいまでの二人以上の子育てで、下の子がイヤイヤ期というママのご相談は私のほうも多いです。

 

Aコーチ:それと、ママさんはとても寂しいんじゃないかと思ったの。なので仲間作りはどう? と提案しました。たとえば、一緒にご飯を食べる友達とか、何かあった時に気が紛れる仲間作りもいいかと。
また、同じような境遇でも頑張っているママたちと繋がり、また、そんな中で「自分の目指すモデル」を見つけると、これから先の希望になるわよね。

 

Sコーチ:仲間がいることで、一人じゃないと思うとまた頑張ろうという気持ちになりやすいですよね。
そして、自分の未来のモデルを見つけるというのは、うまく進んでいくためのとてもいいポイントです。モデルになるような人が身近にいればいるほど、私にもできるかもと思えるのでより効果的です。モデルの見つけ方は一人でなくてもいい。この人のこの部分とか、何人いてもいいと思いますよ。

 


 

【本書のご紹介】

 

「ダメ母」の私を変えたHAPPY子育てコーチング

 

『「ダメ母」の私を変えたHAPPY子育てコーチング』

ダメダメな母親だった私たちでも、変われました! コーチングをマスターしたことで子育て上手になった二人組が、そのエッセンスを解説。

 

【著者紹介】
佐々木のり子(ささき・のりこ)
2004年1月、コーチングの手法を悩める女性向けにまとめたマザーズコーチ・ジャパンを設立(2012年3月、NPO法人化)。これまで800人を超えるクライアントの悩みに寄り添い、専門知識と2人の息子を育てた経験を活かしたコーチングが人気の『コーチング界の母』。グループで学ぶマザーズコーチ養成講座では、これまで160人を超える女性コーチが誕生している。現在では、日本のみならずニューヨーク、タイ、スコットランドで受講する女性も。国際コーチ連盟(ICF)認定プロフェッショナルコーチ、ギャラップ社認定ストレングス(強み)コーチ。

 

青木理恵(あおき・りえ)
香港、ロンドン、ニューヨークで20年近い海外生活を送るなか、コーチングだけでなく、英ロンドンのHolistic Healing College でカウンセリングとセラピーの理論およびテクニックを学び、Integrated Counselor Diplomaを取得。のべ4000時間を超えるセッションでは、コーチング技術に癒しの要素も取り入れ、クライアントを導いている。近年では、活動拠点のニューヨークで日本人女性のための学びの場、式部会も主催。国際コーチ連盟(ICF)認定プロフェッショナルコーチ。 NPO法人マザーズコーチ・ジャパン認定講師。『ニューヨークの母』として、2013年からニューヨークでマザーズコーチ養成講座を指導。