何を考えているのかわからない思春期男子。しかし、実は思春期は、「ねむっていたあらゆる能力が開花する時期」でもあるのです!

 

思春期の男の子の能力を伸ばすコツを、おおたとしまさ著『「思春期男子」の見守り方』より一部ご紹介します。

 

sisyunnki[1].jpg

 

思春期は超成長期だと考えてみよう

 

困った言動ばかりに意識が向かうと、思春期は困った時期ということになるのでしょう。だから、子育ての雑誌や本には、思春期を「乗り切る」なんていう言葉が踊っています。

しかし、それでは思春期の負の側面しか見ていないことになると、私は思います。

まさに生まれ変わるほどの劇的な変化が起こるのが思春期です。そのダイナミズムは、胎児のころの成長にも匹敵するとすらいわれています。

ある女子校の先生は、「『3歳児神話』という言葉がありますが、3歳児神話よりも〝思春期神話〞にもっと注目すべきだと私は思います。男女に関係なく、思春期をどのように過ごすかは、3歳以前の過ごし方よりも、よほど大きく人生に影響を与えると思います」

と話してくれました。その通りだろうと思います。

 

思春期より前は、子どもは親の管理下におかれて保護される存在として適した生き物でした。腕力も親にはかなわないし、親の価値観を疑うという能力をそもそももっていません。

親がつくったかごの中で、ストレスを感じずに生きることができるように、能力が限定された状態だったといえるのではないでしょうか。

しかし思春期は、自立への準備段階。親がつくったかごを離れ、無限の宇宙を一人で生きていくための準備をしなければなりません。それまで眠っていたあらゆる能力が開花する時期です。

サナギの中で起こっている化学反応に直接触れることはできません。しかし、サナギのおかれた環境を整えてあげることはできるはずです。

思春期という超成長期を過ごすための最高の環境を与えてあげることこそ、親にできることではないでしょうか。

 

友だちを連れてきたら大いにもてなそう

 

親の影響下から逃れたいという独立心が強く作用する一方で、依然として依存心も強いのが思春期。その依存心を満たすために重要なのが、友だちの存在です。

自分と似たような悩みや葛藤を抱える友だちを見て、「自分だけじゃないんだ」とほっとしたり、友だちが起こしたトラブルとその顚末から、さまざまなことを学んだりします。

それぞれの子どもにそれぞれの個性があるものの、つるんでいる友だちはみんな同じようなオーラを発します。運命共同体のような感じがします。

友だちを家に連れてくるということは、第一に、何だかんだ言いながらも、家のことが好きだということです。親としては喜んでいいところでしょう。

友だちを大いにもてなして、居心地よくしてあげれば、さらに気軽に友だちを呼べるようになります。

そして、自分の友だちを親に認めてもらうと、子どもは自分自身を認めてもらえたような気分になります。口には出さなくてもうれしいはずです。

つるんでいる友だちは、わが子の分身のような存在です。その友だちの様子を観察することは、わが家では見せないわが子の外での顔を見るようなものです。

彼らと話すことで、今まで見えなかったわが子の別の顔が見えてくるのです。

「意外と素直なのね」とか、「礼儀正しいのね」という印象を受けたとすれば、きっとわが子もよそではそう思われているのです。

ただし、あんまり頻繁に部屋をのぞき込んだり、無理やり話に加わったりしないように。なれなれしくされると逆に敬遠したくなるのが思春期の男の子の特徴ですから、ご注意ください。

 

大ゲンカのあと、認めてあげよう

 

思春期には親子ゲンカも頻発します。

親は親で、まだ子どもにはわからないことを教えてあげたいと思うもの。

子どもは子どもで、自分なりの考えを親にわかってもらいたいと思うもの。

お互いに自分をわかってもらいたいからこそ、ケンカに発展します。要するに、ケンカの目的は、相手をたたきのめすことではなく、そのあとにある相互理解です。

でも、ケンカの最中はお互いに頭に血がのぼっていますから、余計なことを言ってしまいます。特に思春期の男の子は、自分を表現する語彙も不じゅうぶんなうえに、感情を抑えるのも苦手ですから、ケンカがへたです。

やり合う親だって冷静ではいられません。お互いにおもしろくはないでしょう。

でも、親として自分の考えを少しでもわかってほしいと思うのなら、まず親が子どものことを認めてあげてください。

解決にはたどり着いていなくても、一応お互いの怒りがおさまったらケンカはおしまいです。

少し冷静になれたなら、「さっきはちょっと言いすぎた。君の考えにはまだ賛同はできないけれど、あれほどまでに真剣に考えていることはじゅうぶんに伝わった」などと言ってはいかがでしょう。

思春期の男の子が考えるようなことは、たいてい浅はかです。浅はかな考えそのものを認めるわけにはいかないけれど、その真剣さは認めてあげるのです。

自分のことを認めてもらえれば、子どものほうも、「親の考え方を認めてあげようかな」と思えるようになります。

 

 


 

 

【本書のご紹介】

 

 

 

「思春期男子」の見守り方

 

『「思春期男子」の見守り方』

思春期の息子を持つお母さん必読! 心と体の変化、困った時の対処法、考える力・体力の伸ばし方など、人には聞きづらい悩みに答えます。

 

 

osusume.gif 思春期・反抗期あるある!?息子が壁に穴をあけたら

バイクを欲しがる高校生のわが子......親としてどう対応すべき?

部活が理由なら許す~高校に入る前に親がしてはいけないこと・秋田洋和
 

 

【著者紹介】

おおたとしまさ

育児・教育ジャーナリスト。心理カウンセラー。男子校での男の子の育ち方、教育熱心なあまりに子供をつぶしてしまう親の特徴など、独自の視点で徹底した取材を行ない、書籍やコラムを執筆。講演やメディア出演も多数。心理カウンセラーや中高教員の資格をもち、小学校教員の経験もある。 著書は『ルポ塾歴社会』(幻冬舎)、『男子御三家』(中央公論新社)、『追いつめる親』(毎日新聞出版)、『男子校という選択』(日本経済新聞出版社)など育児・教育分野を中心に40 冊以上。