2人の娘さんのママである中村さんは、日々、繰り返される姉妹ゲンカに、心を悩ませていました。ある日、ケンカの仲裁に疲れ切って、涙をこぼしてしまいます――。

 

 

私には5歳と2歳の娘たちがいます。元気な娘たちに恵まれ本当に幸せに感じますが、平日はフルタイムの仕事の後、娘たちを保育園に迎えに行き、帰れば夕食の準備にお風呂と大忙しの日々を送っています。夫は帰りが遅く、子どもたちを寝かしつける時間にようやく帰ってくるといった具合です。

女の子同士なので、お人形遊びやお絵かきなど、2人仲良く遊んでくれることもありますが、いつも妹がお姉ちゃんのおもちゃを横取りし、お姉ちゃんがそれを取り返そうとして結局ケンカになり、2人とも泣いてしまうというパターンです。

ケンカの仲裁は難しく、妹には「ちゃんとお姉ちゃんに貸してってお願いしたの?」と聞き、お姉ちゃんには「一緒に使わせてあげたらどうかな?」などと声をかけているものの、なかなかうまくいきません。どちらも自分の主張を通したいので、私の言うことを聞いてくれません。お姉ちゃんは妹が生まれてからガマンすることが増え、妹はイヤイヤ期の真っ最中。どちらの気持ちも理解できるので、私はどうするべきなのか、正直わからなくなっていました。

仕事でどっぷりと疲れていた、ある日のことです。疲れのせいか少し体調も悪い中、私は食事の準備をしていました。娘たちは2人で遊んでいましたが、毎度おなじみのおもちゃの取り合いが始まりました。私はやれやれと思いながら、食事の準備を中断し、それぞれの言い分を聞いてなだめようとしましたが、案の定、2人とも自己主張ばかりで聞く耳をもちません。

「それじゃあ、気を取り直してみんなでお風呂に入ろう」と提案しました。子どもたちはしぶしぶでしたが、大好きなピンク色の入浴剤でなんとか気を引き、お風呂に入り始めました。ところが、お風呂場でもまたケンカが始まってしまったのです。理由は先ほどと同じくお風呂のおもちゃの取り合いです。

怒鳴り散らすのもなんだか違うと思うけれど、なだめても聞いてもらえない。私はもう疲れてしまったなと思い、2人の口論を聞いていると、ポロポロと涙が勝手にあふれてしまいました。でも、お母さんが子どもの前で泣いてはいけないと思って、髪を洗っているふりをして涙を見られないようにごまかしていました。

すると、お姉ちゃんが私の異変に気づき、「ママ、どっか痛いの?」と声をかけてくれました。どう説明していいのかわからず、「ううん、なんでもないよ。ママもわからないけれど、涙が出ちゃって」と答えると、ハッとしたような顔で「ケンカしてたから、ママのココロが痛い痛いになったんだね。ごめんなさい」と、やさしく私の胸元に手を当ててくれました。それを真似て妹のほうも「痛いの痛いの、とんでいけ」と肩に手を当ててくれました。私は2人のやさしい小さな手が心地よく、もうちょっとこのままでいたいと思い、もう涙は止まっていましたが、泣いたふりを続けました。こんなにやさしい気持ちがあるのだから、ケンカしても大丈夫。人を労わる気持ちは、しっかり育ってくれていると感じました。

「ママ、あなたたちの前で泣かないようにしてたのに、失敗しちゃった」と娘たちに言うと、「ママ、失敗は成功のもとなんだよ」とお姉ちゃん。まさか5歳の娘にそんなふうに諭されるなんて思ってもいなかったので、感動するような、笑っちゃうような不思議な気持ちになり、再び泣き笑いしてしまいました。

私は今まで、良いお母さんになりたくて、感情的にならないように頑張ってきました。でも、お母さんだって泣くし、笑うし、怒るってことは隠すことでも悪いことでもないんだと思えるようになり、少し気持ちが楽になった出来事だったのです。

 

中村ミホ(沖縄県浦添市・33歳・会社員)

 

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