「何やっているの!」「ダメじゃないの!」という叱り言葉。これだけでは、子どもはなぜ叱られているのかがわかりません。子どもの心に伝わるのはどんな言葉なのでしょうか。

 
 
どうして叱られているのか子どもがわからないのはなぜか
 
お母さんは、どうしても悪いところばかりが目についてしまい、着替えが遅いと「早くしなさい」、食べこぼしには「ダメじゃないの」など、子どもは一日のうちに何度も、同じ言葉で叱られます。
お母さんは「善悪の区別がつくように」という親心から叱っていますが、子どもは「ダメじゃないの」と言われても、何がダメなのか、なぜ叱られているのか、わからないのです。特に男の子は、若い女性の話し声が聞き取りづらいという特性があり、「わからない」にますます拍車がかかります。さらに、同じ言葉や声の調子で叱られていると、慣れてしまい、子どもに響かなくなります。
 
・子どもに伝わる言葉でわかりやすく叱る
 
子どもを叱るときには、「筋道を立てて、わかりやすく伝えながら叱る」ということが重要です。
たとえば、子どもがいけないことや危険なことをしたとき、ただ「ダメ」と言うのではなく、「みんなの迷惑になるからやめようね」「危ないからやめてね」と理由を言えば、子どもも理解できます。
また、長い時間をかけて言い聞かせるのも逆効果です。そんなに長くは、子どもは聞くことに集中できないのです。くどくど言わず、簡潔に叱りましょう。過去のことまで持ち出して「昨日もそうだったし、そういえばこの間も……」と叱っても子どもの心には届きません。
 
・愛情をもってほめながら叱る
 
昔から「七つほめて、三つ叱れ」と言われています。叱るよりもほめる回数を多くするのが子育てのポイントで、やむをえず叱るときは、子どものやる気を削ぐような言葉かけに注意します。「だから言ったでしょ」「グズグズしないの」「何度言ったらわかるの」「ダメな子」などの言葉は使わないようにします。
むしろ子どもの良い面に目を向け、良いことをしたら「○○ちゃん、よくできたね」とほめてあげます。子どもは「やればできるんだ」と自信がつき、苦手なことも克服できるようになります。そして、ほめられることが多くなると、自然と叱られる回数が減ってきます。
 
・子どもを叱る意味
 
頭ごなしに親の感情をぶつけるのは、「叱る」ではなく「怒る」です。「怒る」のでは、親の思いは子どもに伝わりません。一方「叱る」とは、子どものことを考えたうえでの、冷静な行為のことをいいます。
 
お母さんにありがちな6つの叱り方NG
 
こんな叱り方をしているお母さんはいませんか?今日からその叱り方を考え直してみましょう!
 
NG1 子どもの人格を否定する
 
「ダメな子」「イヤな子ね」というような、人格を傷つけるような叱り方はよくありません。人格を否定されるようなことを言われ続けていると、子どもの心はネガティブになり、「自分はダメな子なんだ」と思うようになってしまいます。
たとえば、「そんなことする子はお母さん、嫌いよ」ではなく、「そういうことは、お母さんは嫌いだからしないでね」というように、その子の行為で間違った点を、正確に伝えるようにします。
 
NG2 すぐに叱らないで後回しにする
 
子どもは時間の感覚が、はっきりしないところがあります。お母さんに「この前、どうして○○したの?」「昨日もそうだったよね」と言われても、子どもは「この前?」「昨日?」と思い出せないのです。
過ちはその場で正すのが基本です。たとえば子どもがレストランで騒いだら、ほかのお客さんがいるからと後回しにせず、すぐに「迷惑になるから騒いではいけません」と叱るようにします。その場でけじめをつけることで、何が悪かったのかが子どもにも伝わり、忘れないで覚えていられるのです。
 
NG3 人のせいにして叱る
 
「騒ぐと先生に叱られるよ」「ちゃんと食べないとお父さんに叱られるからね」など、他人の存在を強調して叱るのはやめましょう。
叱るときは、その場にいた人が、自分で判断し、自分の権威と責任で叱ることが重要です。そうでなければ子どもに伝わりません。
最近、スマートフォンのしつけサポートアプリが話題です。鬼から電話がかかってきて、子どもに「早く寝なさい」などと言い、子どもは鬼が怖くて言うことをきく、というもの。人気があるようですが、子どもを怖がらせて言うことをきかせるよりも、お母さんの言葉で叱るほうが、子どもの心にしっかり残るでしょう。
 
NG4 他者と比べて叱る
 
「お兄ちゃんはできたのに、どうしてあなたはできないの」「○○ちゃんは上手なのに、それに比べてあなたは……」と、きょうだいや友だちなどの他者と比較して叱ると、子どもは劣等感にさいなまれ、自分に対してマイナスイメージをもつだけです。
いつも他者と比較されるということは、「あなたはほかの子と比べて劣っているのよ」と言われ続けているようなものだからです。
次第に、「どうせがんばってもダメなんだ」と、努力しなくなってしまいます。
子どもにもプライドがあります。傷つけないように叱ることを心がけてみましょう。わが子を傷つけたいお母さんはいないのですから。
 
NG5 失敗や結果の不出来を叱る
 
いつもやっているお手伝い、たとえばお皿を運んでいて割ってしまったとき、「もう、何やってるの」「もうしなくていいから」という言葉を口にしていませんか。
新しいことや難しいことに挑戦して失敗したときも、うまくいかなかったことを叱りがちです。そんなときは、むしろ「挑戦してえらかったね」「最後までよくがんばったね」と、意欲や過程をほめるようにします。
失敗は決して悪いことではなく、たくさん失敗したほうが、経験を積むことができます。失敗を生かして、次につなげられるからです。
お皿を割ってしまっても、たとえば「よそ見してたから」と自ら気づくほうがとても価値があることなのです。
大切なのは、どうしたらうまくいくかを子ども自身に考えさせること。親も一緒に考えたり、ヒントを出してみるのもいいでしょう。
 
NG6 叱り方に一貫性がない
 
同じことをしても、親の気分次第で叱られたり叱られなかったりすると、一貫性がないため、子どもは混乱してしまいます。また、同じことをしたときに、お母さんは叱るけれど、お父さんは叱らないというのも、子どもが混乱する原因になります。
できれば、身近に関わる祖父母なども交えて、①人に迷惑をかけたり、危害を加えたとき、②相手の心を傷つけたとき、③やるべきことをやっていないときは叱るなど、「叱る基準」を決めておくことをおすすめします。
 
叱るときにはワンクッションおいてから
 
子どもを叱るとき、親は怒りでカーッと頭に血がのぼり、つい感情的になることが多いようです。まずは深呼吸をしたり、10まで数えてみましょう。ワンクッションおくことで、冷静になることができます。我に返るために、今の自分の形相を鏡に映してみる方法もあります。
このように一呼吸おくと、「こんなことで叱らなくてもいいか」と思えることも。そして、おねしょなど叱っても意味のないことは、叱らないほうがいいのです。
本当に叱ったほうがいい場合は、一呼吸おくと、怒りを鎮めて冷静さを取り戻せて、子どもにきちんと向き合って、叱ることができるようになります。
 
・子どもの気持ちに共感し、肯定語で話す
 
子どもに対しては、できるだけ否定語を使わずに、「こうするといいわよ」というような、肯定語で話すように心がけましょう。
普段から、「こうしたかったのね」「これが欲しかったんだね」というように、子どもの気持ちに共感して、それを言葉であらわすことが大切です。子どもは「お母さんは、ぼく(わたし)の気持ちをわかってくれた」と感じて、心が安定します。そうすれば、お母さんの叱り言葉も必ず子どもの心に届きます。
 
・子どもを叱る意味
 
頭ごなしに親の感情をぶつけるのは、「叱る」ではなく「怒る」です。「怒る」のでは、親の思いは子どもに伝わりません。一方「叱る」とは、子どものことを考えたうえでの、冷静な行為のことをいいます。
 
 
【著者紹介】
波多野ミキ
(一般財団法人波多野ファミリスクール理事長)
 
早稲田大学文学部仏文専修、東洋大学文学部教育学科卒業。「母親は子どもにとって最初の先生」という立場から子育て、しつけを提唱。著書に、『子どもが一週間で変わる親の「この一言」』(三笠書房)など多数。

 

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のびのび子育て

「PHPのびのび子育て」は未来を担う子どもたちの健全な成長と幸せを願って、発刊している月刊誌。 2017年1月号の特集は<子どもに伝わらない「叱り方」>です。

 

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