5歳3ヶ月の長男についてです。ある日、幼稚園での様子をこっそり見に行くと、そのときは各自自由に遊ぶ時間でした。

先生が「みんな集まって」と言うとほとんどの子供たちは今まで遊んでいたものを片付け、先生の周りに集まってきました。しかし息子は今までしていたブロック遊びをなかなかやめず、先生に2、3度言われてしぶしぶやっと片付けをしていました。

 

また、先生が何かお話しているとき、まったく関係ないほうを見ていたり、先生が直接息子に何かを聞いているときも足をぶらぶらしたり体をゆすったりしてなかなか答えません。

 

家にいるときも、たとえばテレビを見ていてわたしが「おいしそうだね、いいね」などと話しかけると「ゆう君(息子の名)嫌い!」と、わざと言ってきたりします。主人が話し掛けても同じです。

 

ある程度反抗期もあるとは思うのですが、こうでないお子さんもたくさんいらっしゃるし、将来、学習のほうに影響してくるのではないかと心配していますが、先生のご意見をお聞かせください。よろしくお願いします。

(37歳、女性、主婦)

 

 
 

孝子先生からのアドバイス

(1)先生の話を1回ではなかなか聞かないし、答えない
(2)わざと反抗的な言葉を返してくる
 

という二つのご質問ですね。

 

まず、(1)先生の話を1回ではなかなか聞かないし、答えないというご質問ですが、「聞く力」はあらゆる学習の土台となりますので、これは身につけていきたいものですね。お子さんだけでなく、今、人の話を聞けない子どもが増えています。

 

なぜ、聞かないのでしょう?

答えは、簡単!自分にとって、都合の良い話ではないからです。これが、自分の興味のあることだったら、きっと目を輝かせて聞くのではないかしら? 「好きなことは聞く、嫌なこと、面倒くさいことは聞かない」こういう心理は、人間誰もが持っているものだと思います。もちろん、私も…。だって、とっても楽なことですもの…。

 

しかし、嫌なことや苦しいこと、めんどうくさいことを乗り越え、がんばることで自分が大きく成長していけるのです。「我慢をする」「自己を抑制する」ことがとても大切です。これらの力を働かせないと、「聞く力」は、育ちませんし、聞こうとする態度も身につきません。

 

ご質問のお子さんが「我慢できない子」と決めつけているわけではありませんが、ここ何年、傾向として本当に多いのです。何でもほしいものは手に入る、経済的な豊かさや少子化という現状が、我慢できない子を育ててしまっているのかもしれませんね。生活の中で、我慢をする場面を意図的に作ってみてはいかがでしょうか。

 

また、ご質問の中から、先生の話を1回で聞いて、すぐ行動できないということも読み取れます。これは、話し手が何度も何度も同じ事を言ってしまうと、1回で聞こうという意思が働きません。今、聞かなくても、また、言ってくるだろうと思うことでしょう。どんな時でも、今、聞き逃したら、大変だという状況にもっていくことも大事ですね。話を1回で聞けない時、子どもは「今、なんて言ったの?」と聞き返してきます。そうすると、大抵、もう一度同じことを言ってしまうものです。「今、お母さん、なんて言ったかなあ?」と返し、問いかけ、1回の指示でなるべく聞くことができるようにしていきたいものですね。

 

次に、(2)わざと反抗的な言葉を返してくるというご質問ですが、お母さんのおっしゃる通り、反抗期ということもあるかと思います。この反抗期は、大人の立場から見ると、反抗的でいうことを聞かないと感じる行動ですが、子どもの立場から見ると、自立したい! もっとお兄さんになりたい! という気持ちの表れの一つなのです。そんな時、「どうして、いつもそういう態度をとるの!」と大人はいらいらして言ってしまいがちですね。でも、そんなふうに怒られることで子どもは余計に不平・不満を感じ、反抗的な行動としてでてしまいます。

 

子どもは、自立したい!と思う一方で、不安があるものです。ですから、子どもの心の中は、結構複雑に葛藤し、揺れに揺れているのでしょうね。そんなストレスの発散場所が、お母さんやお父さんという身近な方々なのでしょう。

 

さて、その反抗期に、どう対応していくかということですが、一つ一つの行動に目くじらを立てずに、一枚うわてになり、冷静に対応していくのが一番です。一緒にいらいらしないということですね。そして、内容によっていろいろありますが、これは許せないという時は断固として許さない態度が必要ですね。また、さらりと言葉を返しておしまいということも必要です。わざと「ゆうくん、嫌い」と言った時に「どうしてそんな言い方をするの!」と怒るのではなく、「そうなの? お母さんは、好きだけどなあ。」とさらっと流すだけでいいのです。いらいらして怒ったら、逆効果になります。

 

また、反抗期の接し方も大事ですが、どんな時には素直に話を聞き、答えるのかという時を振り返ってみることの方が大切です。好きな遊びをしている時、お母さんにたくさん誉められたときなどなど……。そういう時を見逃さずに、親子の信頼関係を今以上に深め、お子さん自身が、両親に愛されているという安心感をたくさん抱く中で、反抗的な行動は少なくなってくると思います。

 

最後に、どんなに反抗的な態度をとっても、お子さんは、「お母さん、大好き」であり、「愛されたい」と思っていることを忘れないでくださいね。たくさん無条件に愛し、たくさん認めてほめる機会を増やしてください。お子さんのマイナス部分を攻めるより、プラスの部分を見出し、ほめることが子育てをしていく上でのコツ!です。 

 

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斉藤孝子
さいとう たかこ
1963年生まれ。現在、 シングルエイジ教育研究会 主任研究員。

1990年から1992年の2年間、衛星チャンネルで公開授業を放映。
各種雑誌での執筆の傍ら、幼稚園などの研修や教材開発を手がける。
かぞくの雑誌「きらら」、シングルエイジ教育誌に連載中。
「幼児は表現の天才」(アドア出版)「母と子と先生と」(創教出版)「生き方の原理原則を教える道徳教育」(明治図書)などにも執筆。2児の母。