どんなに子どもを想っていても、どんなに努力をしたとしても、子育てにつまずくことはある。そんなときに他人の力を借りることも必要だということを身に沁みて感じたのは、廣中邦充和尚との出会いがきっかけでした。 

 

初めてお会いしたのは昨年の6月。和尚の講演会に行ったときでした。講演の前に少し挨拶の時間をいただき、待ち合わせの場所に向かったところ、先客がひとり。話が終わるまで遠慮しようと席を離れようとしたとき、和尚に同席するよう促され、一緒にお話をうかがうことに。その方は和尚に、非行に走っている娘の相談をしているお母さんでした。

 

内容は深刻で、そのお母さんは涙ながらに悩みを訴えておられました。しかし、不思議なことに、その場に重苦しい空気はありません。和尚がいくつかのアドバイスをした後、そのお母さんは晴れ晴れとした表情で帰っていかれました。自身の活動の“最前線の場”に私を立ち会わせてくれた、和尚の思いを真摯に受けとめ、講演会場に向かいました。

 

いじめ、不登校、リストカット、薬物乱用……。あらゆる問題が子どもたちの周りに溢れ、時代の変化とともにその内容や解決策も複雑化しています。そんなトラブルを抱える子どもたちを自分の寺に住まわせ、一緒に生活しながら更生させている廣中和尚。

 

講演のために全国を回り、どんなに遅くなっても何時間もかけて自分で車を運転し、寺に帰ります。「ボクがいないと眠れない子がいるから」「子どもたちの明日の弁当の準備があるから」と言って。

 

廣中和尚はいつでも子どもたちと命がけで向き合っています。「頑張っているのに」「こんなに努力しているのに」と嘆く方に、この和尚の姿を見てほしいと思います。“命がけ”という言葉がどのようなことを意味するのか。

 

1月号からはじまった連載「やんちゃ和尚の『こそだて心得帖』」では、廣中和尚と子どもたちとのエピソードとともに、和尚からの子育てアドバイスを紹介しています。半年間、ぜひお目通しください。

 

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