『気づいてあげたい 子どもの伸び時・伸ばし時』の著者・佐藤るり子先生は幼児教室の講師。日々、子どもたちといっしょに過ごし、子どもたちの成長を見つめておられます。子どもの、年齢では捉えきれない「伸び時」について、お話を伺いました。

 

 

――佐藤先生は、「この本で、初めての試みに挑戦した」とおっしゃいましたが、いったいどのようなことなのですか?

 

佐藤先生 それは、「伸び時・伸ばし時」の年齢の基準を、表記していないことです。普通こうした書籍は、「2歳頃はことばの爆発期」などと、子どもの年齢を指標として発達段階を紹介しているものが多いのです。でも、今回はその目安を、あえてとっぱらいました。

 

――確かに年齢は一つの目安です。どうしてそうされたのですか?

 

佐藤先生 年齢を目安にすると、子どもの姿を素直に見られなくなってしまうからです。「うちの子は3歳になるのに、まだうまくしゃべれない」などと気にされるお母さんがいらっしゃいますし、一方で「周りの子よりたくさんしゃべれるわ」と安心しきってしまうお母さんもいらっしゃいます。

 

 ――悩みすぎてしまうだけではなく、変に得意になってしまう場合もあるのですね。

 

佐藤先生 育児書の情報や周りの子などと比べてしまうのは、仕方のないことなんです。ただ、比較しすぎると、不必要に叱りすぎたり、あるいはほめすぎて、子どもの伸びる可能性を閉ざしたりすることになってしまう……それを知っておいてほしいと思って、年齢にとらわれずに子どもを伸ばす方法をたくさん取り上げました。

 

―「たくさん」とおっしゃいましたが、ほんとうにたくさんの方法が載っていますよね。遊びと言葉かけの方法が、なんと238個も!でも正直、これを全部実行するのは、ちょっと大変すぎる気が……。

 

佐藤先生 すべてを本の通りに行なう必要はありませんよ。本の中から“工夫のエッセンス”を見つけて、それをお子さんとの関わりに活かしていただければ、と思っています。ほんとうはこれでも足りないくらいなんです。ただ、私は読者の方々のお子さん一人ひとりに直接お会いできるわけではないので、どの子にも必ず当てはまる、特に大切な働きかけをピックアップしています。“いいとこどり”をしてほしい書籍です。

 

 ――厳選された中から、それぞれのお子さんに合わせた遊びと言葉かけの取り入れ方ができるのですね。でも自由度がある分、どのように取り入れたらいいか迷ってしまうお母さんも、いらっしゃるのではないでしょうか?

 

佐藤先生  そのために、「ジャンプをするようになってきたら」、「人見知りをするようになったら」などと、“伸び時のサイン”を目安として載せています。こうしてお子さんの姿を見ていれば、変化を見逃してしまうこともあまりないでしょう。変化が現れた時期にこそ子どもの「伸ばし時・教え時」です。子どもは適切な刺激を待っています。そして、さまざまな事柄を楽しんで吸収することができるのです。また、教える側のご両親も教えやすいという利点があります。

それに、日々変化するお子さんの様子を見るのは、親御さんにとってとても楽しいことですしね。

 

――子育てを、より楽しむことができますね。

 

佐藤先生  その「楽しむ」ということが、とても大切なんです! お母さんが精神的に楽に過ごしていれば、それがお子さんにも必ず伝わりますからね。“明楽元素(めいらくがんそ)”という言葉があるでしょう。“明るく楽しく元気で素直に”という意味です。お母さん方には、是非こうあってほしいものだと思います。

 

――お母さん方は、特に初めてのお子さんだと、楽しむどころではない場合もあるかと思いますが……

 

佐藤先生  誰でも最初は“子育て1年生”です。お子さんと一緒に、学んでいけばいいのです。そんな心持ちでいれば、何事も楽しめますよ。例えば先に述べた、「言語の爆発期」。「なぜそんなことが起こるのだろう」とお子さんを観察してみるといいですね。「伸び時・伸ばし時」は、訪れるその前に、兆候が現れますから。

 

――「○歳頃には△△ができるようになって…」という知識にしばられることなく、子育てを楽しく考えられますね。

 

佐藤先生  そうですね。お子さんの年齢よりも、「今できること」、「これからできそうなこと」に目を向けてください。そして、遊びの中でお子さんをのびのび成長させてあげてください。何事も、楽しめないと気持ちが“閉じ”てしまい、子どもはせっかくの伸びるタイミングを逸してしまいます。そうではなく、お子さんの心を“開く”こと――そんな子育ての手助けになるように、この本を執筆しました。みなさんの気持ちを楽しくすることができれば嬉しいです。

 

聞き手:PHP研究所 教育出版部 大井美紗子

 


 

【出典】 『気づいてあげたい 子どもの伸び時・伸ばし時』 (PHP研究所)

 

【著者】

佐藤るり子(さとうるりこ)

首都圏の私立幼稚園教諭を経て、民間の幼児教育事業部にて講師及び教室長を担当。講師育成や教育プログラム開発などを手掛ける。現在、東京・自由が丘にある幼児才能開花教育「まいとプロジェクト」の代表として教材開発や講師を務める。幼児教育とともに、お母さんを対象とした「マザー・カウンセリング」にも熱心に取り組む。ホームページでは「るりる~先生」として、幼児の教育相談やアドバイスなどを行なっている。著書に『毎日が楽しくなる子育てのルール』(エクスナレッジ)などがある。

幼児才能開花教育まいとプロジェクト http://www.might-project.com/