東北地方太平洋沖地震により亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。

 

大きな被害を受けた地域のひとつである岩手県釜石市では、津波に襲われたにもかかわらず、ほとんどの小中学校で子どもたちを無事に避難させたとの報道がありました。 

 

過去の地震での避難率があまりに低かったことを教訓に、数年前から市の教育委員会が中心となって防災教育に取り組んできたそうです。各学校では避難地図を作成し、繰り返し避難訓練を行ってきました。警報と同時に子どもたちは避難先の高台に急いだとのこと。日ごろからの備えがいかに大事かがよくわかります。

 

地震当日、首都圏では学校の対応に混乱が見られました。通常、災害が発生したときは、子どもを引き取りに保護者が学校に行くことになっています。文科省のガイドラインでは「保護者への引渡しができない児童等については、学校において保護する」と明記されています。けれども、地震発生がちょうど下校時刻と重なったこともあり、保護者を待たず下校させる学校もありました。余震が来るかもしれない状況のなか、保護者の在宅を確認せずに下校させた対応には問題があったと考えます。

 

一方で、保護者が迎えに来るのを待ち、地震の翌日まで子どもを残した学校もありました。電車も道路もストップして引き取りに行けない保護者もいたからです。

 

学校の対応はまちまちであり、子どもの居場所を把握できずに心配された保護者の方も多かったことでしょう。

 

災害発生の時間と状況に応じて、子どもたちの安全確保のために学校はどう対応するか。あらかじめ災害時の対応マニュアルを作成し、その内容を保護者に伝えてもらうことが望まれます。学校の対応を知っておけば、それに合わせて各家庭でも災害時の対応を決めておくことができるからです。

 

しかし、学校の災害対応マニュアルを作成している市町村は全体の約60%に過ぎないという調査結果もあります。いまからでも、すべての市町村でマニュアル作成に取り組むべきです。

 

マニュアル作成の次に求められるのは、マニュアルの見直しです。

 

たとえば今回、下校時の対応に問題があった学校では、これを教訓にマニュアルの修正を行ってほしいと思います。保護者と連絡がとれないときの対応を考えることも必要です。子どもの引き渡しは保護者への連絡が前提になっています。今回のようにほとんど電話がつながらないという事態はおそらく想定外だったに違いありません。連絡がとれないときは災害用伝言サービスを利用することなどを学校で決めてもらってもいいでしょう。

 

大事なのは、教訓をむだにせず、災害への備えをつねに見直していくことです。

 


 

schooltop.jpg亀田 徹  (かめだ・とおる)

PHP総研 教育マネジメント研究センター長/主席研究員

学校経営の質の向上とそれを支援する教育委員会の役割が主な研究テーマ。子どもや保護者にとって満足度の高い教育を提供する学校づくり、教職員が元気になる学校づくりを目指す。現在は、民間の経営手法やコーチングを取り入れた学校経営プログラムの開発と実践に取り組んでいる。