弊社の近くに、千代田区立麹町(こうじまち)小学校があります。学校の敷地内に、幼稚園、区の出張所、区民館、備蓄倉庫が併設されています。 

 

学校の授業がない時間帯に図工室や家庭科室などを区民が使うこともできます。子どもも大人も集まる施設として、千代田区のコミュニティスクールと名付けられている学校です。

 

東日本大震災で多くの地域が甚大な被害を受けました。避難した方々への支援とともに、いま、まちの復興に向けた動きがスタートしつつあります。政府は「東日本大震災復興構想会議」をたちあげました。復興にあたっては、まちを元どおりにするだけでなく、社会のモデルとなるような新たなまちを創造しようとの声があがっています。

 

そのような新しいまちづくりのなかで、学校はどのような役割を果たすことができるでしょうか。

 

もともと学校は、子どもだけでなく大人も集まる場として地域の核になり得る施設です。学校行事や授業参観、学校ボランティアなどさまざまな機会に保護者は学校に集まります。子どもが学校に通っている保護者以外にも、卒業生をはじめ学校となんらかのかかわりがある人が地域には大勢いるでしょう。学校は、“地域の人々を集められる潜在力”を持っているといえます。

 

このような“潜在力”を発揮し、まちづくりの中心となる場を学校が提供してほしいと考えます。そのためには、冒頭の麹町小学校の例のように学校の複合化を進める必要があるでしょう。地域の集会所や図書館、高齢者福祉施設などを学校と同じ場所に建設するのです。地域の人々がそこに集うことで、世代を超えた交流も生まれるに違いありません。

 

さらに、施設の建設だけでなく、まちづくりを担当する職員の配置も必要です。たとえば島根県雲南市では、学校に教育支援コーディネーター、地域コーディネーター、社会教育コーディネーターといった人材を置き、地域と学校との連携や家庭の教育力向上のための取組を推進してきました。同じように、まちづくり活動を支援する職員を配置することが望まれます。

 

震災で多くの学校施設が被害を受けました。建物の被害を受けた公立学校は約5,940校、そのうち建て替えなどが必要な学校は約200校とされています。文科省は、早急に復旧事業に着手するよう被災した自治体に要請しています。

 

授業を通常どおり行うためには早期に学校を建て替えなければなりません。同時に、元どおりに復旧させるだけでなく、学校を地域コミュニティの中心に位置づけるような構想が求められます。

 

子どもたちの笑顔が大人を元気にさせ、元気な大人の姿が子どもの学ぶ意欲を刺激します。子どもも大人も集まる学校が、新しいまちづくりの中心になると考えます。 

 


 

schooltop.jpg亀田 徹  (かめだ・とおる)

PHP総研 教育マネジメント研究センター長/主席研究員

学校経営の質の向上とそれを支援する教育委員会の役割が主な研究テーマ。子どもや保護者にとって満足度の高い教育を提供する学校づくり、教職員が元気になる学校づくりを目指す。現在は、民間の経営手法やコーチングを取り入れた学校経営プログラムの開発と実践に取り組んでいる。