「小さな子どものときにこそ、上質なおはなしに、たくさん触れさせてあげたい」

そんな想いを持ち、これまでたくさんの子どもたちにおはなしを語り聞かせてきたのが、『子どもの気持ちにやさしく響く12カ月のおはなし』の選者である藤井いづみさんです。

 

語りの活動で全国をめぐる傍ら、自宅に「まめの木・本とおはなしの部屋」をつくり、子どもたち、ときどきは、おとなたちに向けておはなしを語っておられます。

 

本書では、藤井いづみさんがこれまでの活動を通して、子どもたちが喜んで聞いてくれると太鼓判を押せる63のおはなしを厳選しました。子どもにとって未知の世界である中国やロシア、アメリカのインディアンに伝わる昔ばなし、幼稚園や小学校でのお友だちや先生、好きな子のことをうたった詩、動物や野菜が主人公になった、ちょっと不思議でコミカルなおはなし、日本に古くから伝わる民話など。

 

1年を通じてバラエティーに富んだおはなしを楽しめるよう、4月からはじまって3月まで、ひと月ごとにぴったりのおはなしを収録しています。巻末には、「子どもの気持ちを励ます」「子どもの学びをうながす」など、テーマ別の索引をつけているので、その日の気分に応じておはなしを選ぶこともできます。

 

子どもが絵本から読み物へと移行するとき、その壁は大きく感じられるものです。その時期に、ある程度の長さのおはなしを耳から聞いていると、その壁を大きな抵抗なく乗り越え、読書好きになりやすいといわれています。また、読書力や想像力を育てるだけでなく、身近に人の声を聞く気持ちよさもあいまって、一種のスキンシップになり、読み手と聞き手の信頼関係が深まります。

 

本書にあるおはなしは、「子ども向け」という枠を越え、おとなが読んでもおもしろく、心を動かされるものばかりです。藤井いづみさんとおはなしを編んでいる間、いいおはなしを味わうのに年齢は関係ないのだと、あらためて感じたことを覚えています。フジマツミキさんの素敵なイラストとともに、親子で楽しんでいただける一冊です。

 

PHPエディターズ・グループ

 

 

【出典】 『子どもの気持ちにやさしく響く12カ月のおはなし』 (PHP研究所)

 

 

【著者】

藤井いづみ

語り手、白百合女子大学非常勤講師。1986年より語りの活動を始め、1992年に自宅に文庫「まめの木・本とおはなしの部屋」を開く。1991年より昔ばなし大学語り講師を務め、同年、野間読書推進賞を受賞。おはなしが子どもたちの心をおおらかにはぐくんでくれることを願い、語りの活動を続けている。著書に『子どもにとどく語りを』(小澤昔ばなし研究所)他がある。