1年前に夫と離婚し、7歳と2歳の娘を育てているシングルマザーです。職場では、営業職でこの秋から部下も1人つきました。仕事がめいっぱい忙しく、保育園の19時のお迎えにぎりぎり間に合わせるので精一杯。

 

離婚をして子育てをしている、ということを職場は理解してくれるものの、甘えてばかりもいられません。休みの土日は、アクティブな娘たちにつきあって、公園で遊んだり、食材のまとめ買いをしたりしているうちにあっという間に終わってしまいます。
 

そんな慌ただしい日々を過ごしていたので、同じ部署の同僚に「そろそろ髪を切ったら?」と言われ、そういえばずっと美容室に行っていなくて、ぼさぼさの頭をしていたな、とわが身を振り返りました。

 

 

土曜日の公園は、パパと子どものペアばかり。私は砂場で娘と座りながら「ママ、美容室に行きたいの。でも、あおちゃん連れて行くと、お店でじっとしていないでしょ。だから、きっと無理だよね」とつぶやいてしまいました。しっかりもので、いつも私の話をうんうん、と聞いてくれる長女は急にその場から立ち上がり、「いいよ。ママ行ってきたら? あいちゃんがあおちゃんといっしょにお留守番してあげる。もし泣いても抱っこするから大丈夫!」と宣言しました。

 

最初は、そうはいっても無理だよ、と思っていましたが、昼寝をしている間なら大丈夫かも、という思いがふくらんできました。

 

美容室に電話してみると、いつも髪を切ってくれる担当の人も、ちょうど空いていることが判明。チャンスです。私は、下の子を寝かせ、おやつを食卓に並べ、下の子のお気に入りのDVDもプレーヤーにセット。これだけあれば、目が覚めてもなんとかもたせられるはず。長女に「じゃあ、ママ行ってくるね。おみやげ買ってくるから」と小声でささやいて、出かけました。

 

美容室では、1人だけの開放的な気分。でも、しばらくすると携帯に着信がありました。家からです。すぐにかけ直すと、長女が「あおちゃんが、ママがいないって泣いちゃったー」と慌てた様子。長女の声の向こうには大泣きする下の子の声が聞こえてきます。

 

早々に切り上げてもらい、コンビニでアイスを2個買って、焦って自転車で家へ。「ただいま」と言うと、なぜかリビングのカーテンがしめられ、家は薄暗い状態。長女が下の子の手をひいて玄関に来て「ママ、ごめんね、ごめんね」と謝るのです。

 

どうやら、宅配便の人のチャイム音で下の子が起きてしまったそう。ママがいないときは玄関は開けてはダメ、の決まりは守ったけれど、宅配便の人に家にいることを気づかれてはいけない、とカーテンをしめ、下の子の口を覆ったので、とつぜんのことにびっくりした下の子が大泣きしてしまったというのです。

 

玄関のチャイムは鳴るし、下の子は泣くしで、どれほどドキドキしたことでしょう。下の子だって、突然ママが家からいなくなるなんて、はじめての経験でした。悪いことをしてしまった、と思いました。アイスを食べさせながら、「ごめんね、さびしかったよね」と言うと「こんどはちゃんとお留守番するから」と神妙な顔の上の子。思わず抱っこして「ううん、もういいんだよ。いっぱい怖い思いさせちゃってごめんね。お姉ちゃんだけど、あいちゃんだってまだ7つだものね」と言うと、娘の目から涙がぽと、ぽと、とこぼれました。

 

平日、朝も夜も「早くしなさい」が習慣になり、笑顔を忘れていた私。週末は、お父さんと子どものペアを見るたびに胸の奥がつーんと痛くなり、公園には長居したくないと思っていました。そんな話を、面談のときに担任の保育士さんにしていると、「思い切って、たまには旅行にでも出かけるといいんじゃないかしら」とアドバイスしてもらいました。

 

そこで、連休を使って、温泉への1泊旅行へ! はじめて乗る特急電車に、娘たちもおおはしゃぎです。休日も暇さえあればパソコンに向かっていた私ですが、旅館では仕事をしたくてもできません。トランプをしたり、ゴロゴロしたり、近所を散歩して猫を抱っこしたり、とふだんやっていなかったこと、でも、時間をちょっと作ればできることをたくさん発見し、リフレッシュしました。

 

離婚してから「○○できない」と、できないことを数えるような考え方ばかりしていた私ですが、ちょっと気持ちを切り替えれば、子どもたちのためにできることはたくさんあります。日常のなかで、子どもと向き合って遊ぶ時間を増やしたい。そのためにもママは、健康第一でがんばっていこうと思っています。

 

中村千絵(神奈川県川崎市・33歳・メーカー勤務)
「PHPのびのび子育て」10月号「あたたかな日々」
~負けそうな私を立ち直らせてくれたできごと~  より

 


 

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