戦後生まれのいわゆる「団塊の世代」(1947〈昭和22〉~1949〈昭和24〉年生まれ)が65歳以上となるのが2015年。65歳以上人口が3,277万人、高齢化率は26.0%、75歳以上人口が1,574万人、後期高齢化率は12.5%となる見通しです。

 

そうした状況において、子育て世代といえども、介護と無縁というわけにはなかなかいきません。 

 

また、現在でも、高齢者には明治生まれから昭和生まれまで、さまざまな世代がいらっしゃいますが、2015年には、高度経済成長期に青年期をすごすなど、さらに新しい時代を経験してきた世代が加わり、高齢者の生活様式、考え方、価値観は、いっそう多様化すると考えられています。

 

一方、在宅介護の現状に目を向けてみると、介護に要する時間は、一日あたり平均5.9時間。そのうち、主な介護者が介護を行う時間は平均4.2時間、一日に5時間以上介護するケースが全体の約2割を占めるなど、介護する人の負担がかなり大きいことがわかります。さらに、総介護時間が一日に12時間以上必要とする人も、全体の15%以上にのぼります。

(以上、すべて厚生労働省の資料による)

 

『お世話する人・される人がラクになる ちょうどいい介護』は、特に在宅介護の毎日で、「人のお世話」をがんばっておられる方々にお届けしたい一冊です。

 

人のお世話は、やりがいや自己の成長といった、きれいな言葉だけでは語れません。しかしその一方で、私はそうした苦労も実感したうえで、なおもこの仕事にひかれ続けています。こうした体験から、人のお世話をする方が、少し気楽になれるようなヒントを、そして、人のお世話を続け、なおかつ自身の糧にもできるような、そんなヒントを伝えられたらと思います。

(「はじめに」より)

 

本書の第1章では、「若くて元気な人が疎ましい」「『死にたい』と言う人ほど、死にたくない」「『申し訳ない』気持ちが強いほど、『ありがとう』が言えない」など、「お世話される人」の気持ちに、第2章では、「気が合わない人をお世話するつらさ」「世話をせず口だけ出す人が許せない」「多くを求められるのが怖くて、やさしくできない」など、「お世話する人」の気持ちにそれぞれ共感しながら、不安や苦労を少しずつでも軽くできるような「心の持ち方のヒント」が綴られています。

 

第3章「私はこんなふうにしています」にある著者自身の経験もあわせ、本書におさめられた、「お世話する人」と「お世話される人」の“悲喜こもごものエピソード”に気楽にふれていただければ、読者の皆様の心に、あたたかい一条の光が、すっと静かに差し込んでくるはずです。

 

いままさに介護に携わっておられる方も、また、将来のいつかかかわることになる方も、ぜひ、ご一読ください。

 

PHPエディターズ・グループ

 


 

【出典】『お世話する人・される人がラクになる ちょうどいい介護』

                                                                             (PHP研究所)

 

【著者】

宮子あずさ (みやこ・あずさ)

1963年、東京都生まれ。83年、明治大学文学部中退。87年、東京厚生年金看護専門学校卒業。同年から2009年3月まで東京厚生年金病院に勤務。経験は内科、精神科、緩和ケアの3病棟(看護師長を7年歴任)。また、在職中から大学通信教育で学び、短大1校、大学2校、大学院1校を卒業。経営情報学士(産能大学)、造形学士(武蔵野美術大学)、教育学修士(明星大学)を取得している。現在は、精神科病院で訪問看護に従事しつつ、看護雑誌を中心に文筆活動、講演等を行う。研究も含め、テーマは「看護師が仕事の意味を味わいながら、息長く働ける状況づくり」である。

著書に『看護婦が見つめた人間が死ぬということ』『看護婦が見つめた人間が病むということ』『ナースコール』(以上、講談社文庫)、『看護婦だからできること』(集英社文庫)、『気持ちのいい看護』(医学書院)など多数がある。

〈ホームページ〉ほんわか修士生活