5歳の息子は、最近、はじめてのおつかいを経験しました。でも、最初はちょっと失敗しちゃったんです。 

 

おつかいをテーマにした絵本を読んだことがきっかけで「おつかいしたい、おつかいしたい」とさかんに言うので、「じゃあ、今日おつかいしてみる?」と言うと、「やったー!」と走り回っています。幼稚園から帰宅後、「おつかい、おつかい」とはりきる息子と、おつかい作戦を決行することに。


ところが、いつも遊びに使っている息子のお気に入りの財布が、どこにやったのやら、見つかりません。そこで、幼稚園バッグの外ポケットに100円玉を1つ入れ、「お金はここに入れたからね」と確認しました。

 

 

おつかいの品物は、バナナです。バナナはいつも、

お店のレジのそばにあるので、間違わないはずです。手をつないで歩くと、息子の手は汗でぐっしょり。緊張しているのかな? 私は歩道に立ち、「がんばってね」と見送りました。


ちょうど夕方の混み合う時間帯で、レジにはすでに3人が並んでいました。その後ろにちょこんと並び、小さくこっちに手をふる息子。がんばれ、がんばれ。


ところが、順番が来ても、息子はなにやらもじもじとしていて、なかなか買い物が終わらない様子です。息子の後ろには、何人も人が連なり、どうしたものかと見ていると、息子が泣きそうな顔でこっちを見たので、急いで駆けつけました。


「ママ、お金どこにやったの!」と怒り口調の息子。どうやら、お金が外ポケットに入っていることを忘れ、空っぽのバッグの中身をしきりに探していたのでした。


急いで100円玉を息子の手のひらにのせ、バナナを買ってお店の人に謝りました。お店を出た後、「バナナ、いちおう買えたね」というと「買えてない。おつかい、できなかった」と怒る息子。本当だな、ごまかしてはいけないなと思い、「そうだよね、ごめんね、ママが悪かった。やっぱりお金をお財布に入れればよかったね」と頭をなでると、突然大きな声で泣き始めました。


抱っこすると、心臓がドクドクと大きな音を刻んでいるのが伝わってきました。ひとしきり泣いて、会話ができる状態になったのでよくよく聞いてみると、「後ろのおじさんが、『お金、持っていないんじゃないの?』って怒った」とのこと。お金を持っていたのに、うまくいかなくて、失敗してしまったことが悔しかったのだとわかりました。

 

その夜、2人で財布を探しました。やっとのことで見つけ出して、次の日、再びチャレンジ。今度は、息子の希望で「肉まん」のおつかいをお願いしました。


恥ずかしがり屋で、近所の人にご挨拶もできないのに、「肉まんください」なんて言えるのかな、と思いましたが、本人がやると言うのだから、やらせてみることにしました。


店の外で待っていると、レジの列に並びながらまたこちらをチラチラ。前の日のことがありますから、ちゃんとお金を出せるのか、とこちらもハラハラです。


でも、ちゃんとレジ袋を持って、すごい勢いで自動ドアから駆けだしてきた息子。弾けんばかりの笑顔です。おつりとレシートは握りしめたままで、財布にしまってはいなかったけれど、上出来!


近くの公園のベンチに座り、あつあつの肉まんを半分こしながら食べました。「きのうは、おじさんにお金持ってないって言われたけど、今日はちゃんと渡せたからね」と、息子。とても得意気に話しています。考えてみれば、きのう、うまくいかなくて悔し涙を流したことは、かえってよかったのかもしれません。最初からなんでもうまくいくわけではないし、社会にはいろんな人がいる。悔しくて泣いてしまうようなことも、1つひとつ学びながら、大人になっていくのでしょう。


夜、息子が折り紙に、「まま いつもありがとう」と書いてプレゼントしてくれました。「と」が反対だけど、どっしりと大きな字でした。うれしかったです。私もそのそばに「けんちゃん いつもありがとう」と書いて、壁に貼りました。
 

 

古沢淳子(茨城県水戸市・29歳・主婦)

「PHPのびのび子育て」12月号「あたたかな日々」

~ 子どもの成長におどろいた話 ~ より 

 


 

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