ふと思い立ち、自分の周りを見回してみる――。すると、改めて私たちは多くの物に囲まれて生きていることがわかります。毎日使う歯ブラシや鏡から、年に一度くらいしか着ない服、十数年前に感動してこのかた読み返したことのない本、しまいこまれたままの手紙や写真、使うことなく溜まるばかりの紙袋……。

 

若いころなら、たくさん買って、たくさん使い、いらないものはさっさと捨てる、という“物の循環”がつくれていた人も、いつしか、そうやってテキパキと物とつきあうことがむずかしくなる。これは、決してめずらしいことではありません。

 

体力が落ちるからだけでなく、歳を重ねると、物との関係性が深まるからです。

 

『小さく豊かに暮らす 物の捨て方 のこし方』は、そんな方々に向け、小さくも豊かな暮らし、つまり今持っている物とじょうずにつきあう方法を提案します。本書を読んでいただき、次のシンプルな手順を経れば、台所道具、洋服、クリーニングのハンガー類、紙袋・紙箱などのカテゴリごとに、所在をなくしていた物、物、物が、収まるべきところに収まってくれるはずです。

 

1)それぞれの物にまつわる物語を読み、自分と物との歴史を確認する。

2)「こんな物、ありませんか?」の項目にチェックして、実は持てあましている物を思い浮かべる。

3)解説を読み、今の自分にとって「捨てる」か「のこす」か、選ぶ。

4)「捨て方」と「のこし方」のアイデアを読み、すぐに捨てる、あるいはのこして活かす。

 

今回ご執筆をいただいた辰巳渚先生は本書の「あとがき」で次のように綴られています。

 

手に取るたびに、「こうしなさい。できないあなたは、だめね」と叱られるような本は、若い人にはよくても、自分の生き方をつづけてきた方には、疲れるだけかもしれません。文章がたくさんで、理屈で説得するような本は、その場では納得しても、「でもね、ものごと、理屈どおりにはいかないのよ」と、あきらめたくなります。

そこで、詩集のような本をつくりたいと考えました。

大切な物、いとおしい物、捨てがたい物の写真を眺めて、心が温かくなるような。そこに添えられた文章を読むと、自分の思いを確かめられるような。

〈あとがき〉より

 

なかには、他の人が見れば明らかに不要と思われる物を、本人はどうしても捨てる気になれないということがあります。それは、物がその人の人生をあらわしているから。

 

「とにかく捨てればいい」という発想は、長い人生を歩んできた方にはもったいない。今ある物と心地よくつきあうための「捨てる」「のこす」のお手伝いに、ぜひ本書を活用してください。

 

PHPエディターズ・グループ

 


 

 

小さく豊かに暮らす 
物の捨て方のこし方

洋服、紙袋、お土産など長年、捨てたくても捨てられなかった物を気持ちよく手放す秘訣を紹介しています。子どもや、高齢の親の持ち物が片づけられずに困っているときにも役立つ1冊です。