家庭直販書『これからの女の子に身につけてほしいこと』は、自由学園女子部部長・近藤正美先生が、これからの女の子に必要な「率先力」「責任感」「実行力」「やさしさ」の4つの力を紹介。その育み方を解説した1冊です。
 

 

本書の中で近藤先生は、「女の子を育てるにあたって覚えておいてほしいこと」をいくつか挙げておられます。本ページでは、3回にわたってご紹介してまいります。
 

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●女の子は自分を見てほしいc-papa-girl250.jpg

お母さんの頭のなかには、自分がかつて子どもだったころの記憶や思いがさまざまにあるはずです。かつて似たような経験をしたり、似たような思いを抱いたことがあるなら、子どもに共感できると思います。子どもに何か嬉しいことがあった場合は何の問題もなく、一緒に喜べばよいのですが、子どもが何らかの形でつまずいたときが問題です。
 

一般的に、お父さんは女の子に甘いといわれます。それは、お父さんは娘の話すことをよく聞いているからなのだろうと思います。お父さんはお父さんなりに女の子の気持ちをわかろうとしているのですが、性別がちがうこともあって、ほんとうのところはよくわかりません。結果的に、娘の言うことを全部受け入れてしまうから、お母さんからすれば「お父さんは甘い」と感じるのでしょう。

 

対してお母さんは、自分の経験に照らし合わせて、「つまりこう言いたいんでしょう」と子どもの気持ちを勝手に解釈してしまいます。それがまちがっている場合も多々あります。何度もくり返すようですが、血がつながっていても、娘とお母さんは別の存在だからです。お母さんの解釈がまちがっていると、「お母さんは何もわかっていない」とすれちがいが起きてしまうのです。また、それが正しい場合でも、子どもは不満に感じます。「自分の言いたいことを、お母さんは全部しゃべってしまう」と、自己主張の権利を奪われたような、もやもやした憤りを感じるのです。

 

子どもは、自分の言っていることをお母さんが理解してくれているか、受け入れてくれているかということが、直感的にわかります。ふだんの生活を通して、お母さんならこう考えるだろう、お母さんならこう思うだろうということは、子どもなりに感じ取っています。お母さんがどんな価値観をもち、何を大事に思って日々生活しているかということを知っているからこそ、お母さんがほんとうに自分を見てくれているかどうか、直感的にわかるのです。

 

これは、大げさにいえばお母さん自身の生き方の問題です。子どもが何かの問題につまずいたとき、お母さんの反応や対応を見て、「お母さんは世間体ばっかり気にするから」と、がっかりするというようなことは、典型的なケースです。お母さんがアドバイスしたり共感したいと思っても、「お母さんは世間体を気にして言ってるんだな」「私のためじゃなくて、お母さんが恥をかかないために言ってるんだ」と、子どもが受け取ってしまったら、何を言っても子どもの心には届きません。子育てというのは、お母さんの生き方が丸ごと子どもに問われているようなものなのです。

 

●女の子は共感してほしい

子どもが何かにつまずいて、苦しい胸のうちを打ち明けたとき、つい「女性としてのあるべき姿」を諭してしまうお母さんがいるかもしれません。女の子は、特に共感を求める気持ちが強いように思います。つまり、何か意見を言ってほしくて相談したり、思いを打ち明けたりしているのではなく、自分が思ったこと、感じたことに「そうだよね」と、ほんとうは最初に言ってほしいわけです。けれども、お母さんは同性の立場から、「ああしなさい・こうしなさい」とアドバイスしたり、あるべき姿を押しつけたりしてしまいがちです。

 

ひょっとすると、何か困ったことやつまずきがあったときに、まずは「そうだよね」と言ってあげられるのは、どちらかというとお父さんなのかもしれない、と私は思います。中学校1~2年生という年ごろの女の子は、多くの場合お父さんを嫌いますが(高校生くらいになると、お父さんに対する見方が変わってきてずいぶんやさしくなるのですが、娘が中学生の時期のお父さんはほんとうにかわいそうです)、学校生活を見てみても、女子生徒が相談しやすいのは、どちらかというと男性教師であるように感じます。やはり、同性同士だとつい厳しさが出てしまうのでしょう。これは男同士でも同じことがいえます。

 

女の子には、まず「悲しかったね」「そのとおりだね」と、共感してあげてください。批判やアドバイスは必要ありません。もし娘がなかなかお母さんに心を開いてくれなかったら、お父さんに助けを求めるのもいいかもしれません。

 

(次回につづく)

 

【出典】『これからの女の子に身につけてほしいこと』 (PHP研究所)

 

【著者】

近藤正美  こんどう・まさみ
1950年東京都生まれ。1975年に学校法人自由学園男子部に数学教諭として就任。その後、女子部教諭を経て、2009年より女子部部長。「思想しつつ生活しつつ祈りつつ」と「生活即教育」を教育理念とする一貫教育を進めている。