電車でぐずぐず……人前での言い聞かせ

渡辺弥生
2023.03.10 21:51 2023.03.10 21:51

車窓から外を眺める子

「子どもが他人に迷惑をかける」という事態は、完全に防げるものではありません。そういう場面こそ、経験や失敗を重ねながら、どうすればよいかを学ぶ大事な場面。

それを前提にしたうえで、人前で叱りたくなったときにどうすればいいか、渡辺弥生氏著『人前での叱り方・言い聞かせ方』の一節よりご紹介します。

※ 本稿は『人前での叱り方・言い聞かせ方』(PHP研究所)より、内容の一部を抜粋・編集したものです。

渡辺弥生(法政大学文学部心理学科教授)
筑波大学、静岡大学を経て現職。教育学博士。育児に不安を抱える保護者のカウンセリングや家庭教育講座などの講師も務める。著書に、『子どもの「10歳の壁」とは何か?』(光文社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など多数。

電車でぐずぐず

泣く男の子

電車の中でぐずっている子どもと、困っているお母さんを見かけることがあります。5分程度の短い時間なら、子どもはおとなしく座っていられるでしょう。しかし、ふだん10分も静かにできない子どもを30分や1時間といった長時間静かにさせることはとうてい無理な話です。

車で出かけられればよいですが、電車やバスなど公共の交通機関に乗らなければいけない場合は、子どものお気に入りのおもちゃを持参します。音の鳴らない物、飛ばない物など、静かに遊べるものにしましょう。

5分くらいで一つのおもちゃに飽きてしまう子どもなら、乗車時間に見合った数を持っていきます。ふだんの子どものがまんのカを参考にします。ヒステリックな言い方をせず、「おなかがすいたの」「大好きなクマさんだよ」「静かにしょうね」とクールに言葉を添えましょう。興奮した声は子どもを興奮させて、お母さんの注意をひこうとよけいにぐずる場合がありますから。

そして電車に乗ったら、腕時計を見せて「長い針が3にくるまで乗るよ」と声をかけます。子どもはすぐに忘れますから、短い間隔で伝えるとよいでしょう。それでもぐずってしまう場合は、途中下車をするのが無難です。

【事前の準備や対処法】
・乗車時間の長さに合わせて、子どもが静かに遊べるおもちゃをいくつか持っていく
・簡単に食べられる物や眠い時に抱くといつも安心できるような小さなぬいぐるみを持っていって、機嫌を落ち着かせる
・腕時計を子どもに見せて、「長い針が3にくるまで、電車に乗るよ」などと伝える
・何度か途中下車をしてもよいように、時間に余裕をもって出かける

うるさい!やめなさい!と怒鳴る前に人前での叱り方・言い聞かせ方

「うるさい!」「やめなさい!」と怒鳴る前に 人前での叱り方・言い聞かせ方(PHP研究所)
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