毎日の暮らしにかかわる税金の知識をQ&A形式でわかりやすく解説した家庭直販書『[2013年版]かんたん税金ブック』。本書は、税理士・野村正雄先生のご執筆により、1989年に『暮らしの税金ハンドブック』として発刊し、今回の発刊まで23年にわたって皆様に利用いただいています。ここでは、「子どもがいる人が再婚したときは?」というケースを転載いたします。


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離婚した前夫との間に生まれた長男をつれて再婚しました。新しい夫に万一のことがあっても、長男には遺産を受け取る権利がないと聞きました。これは本当でしょうか。

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現在の長男の相続権は?

最近、非常に多い相談例です。それではわかりやすく説明しましょう。
 

長男は自動的に新しい夫の養子になるわけではありませんので、「長男」と「夫」とが養子縁組をしていなければ、新しい夫と長男は親子ではなく、長男から見れば“母の夫”ですから、新しい夫に万一のことがあっても長男には相続権はありません。この場合、法律の規定により、夫の遺産の半分は妻であるあなたに、残りの半分は長女に相続する権利があります。
 

なお、あなたの前夫に万一のことがあったときは、あなたには相続権はありませんが、長男は前夫とは血がつながっていますから遺産を受け取る権利があります。
長男にも新しい夫の遺産が相続できるようにする方法としては、次の2つが考えられます。

 

<対策1>長男に財産を譲るように、新しい夫に遺言書を作成してもらう。

<対策2>新しい夫と長男が養子縁組を行なう。

 

どちらの方法でもよいと思いますが、相続税の観点から見ると、<対策2>が有利になります。

 

【計算例】夫の遺産が3億円の場合

夫と長男が養子縁組をする⇒  相続税 2,147万円

夫と長男が養子縁組をしない⇒ 相続税 2,707万円

※養子縁組をすると、妻、長男、長女の3人が法定相続人となります

 

なお、長男は、新しい父と実父のそれぞれの相続権があることになり、両方から財産がもらえます。


孫との養子縁組

孫と養子縁組をした場合は、相続を1世代飛ばすことになり、亡くなった人の養子となった孫が相続などで財産をもらった場合は、本来の相続税に2割が加算されます。

※本問のケースのような、いわゆる配偶者の連れ子は2割加算の対象にはなりません。
 

 


【出典】 『[2013年版]かんたん税金ブック』 (PHP研究所)

 

【著者】

野村正雄 のむらまさお
1980年、税理士開業。現在、野村会計事務所、(株)野村経営、代表取締役。
団体、法人、個人の税務及び会計、資産運用、経営計画等の相談、税務顧問、監事およに全国で講演活動中。
著書に『暮らしの税金ハンドブック』『かんたん税金ハンドブック(1992年版~2012年版)』『かんたん保険税務のQ&A』『かんたん!らくトク確定申告』『[改訂新版]かんたん相続ハンドブック』(いずれもPHP研究所)他がある。