毎日の暮らしにかかわる税金の知識をQ&A形式でわかりやすく解説した家庭直販書『[2013年版]かんたん税金ブック』。本書は、税理士・野村正雄先生のご執筆により、1989年に『暮らしの税金ハンドブック』として発刊し、今回の発刊まで23年にわたって皆様に利用いただいています。その中から、ここでは「共働きの夫婦が住宅を買ったときは?」というケースをご紹介いたします。

 

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Q 

私と妻は共働きなのですが、このたびマイホームを購入します。購入価格は3,000万円で、妻が1,000万円を負担してくれます。
私1人の名義で登記しても税金上問題はありませんか?

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だれの名義にすればいい?

夫が資金の全額を用意したのであれば、夫名義にしても税金上の問題はありません。しかし、ご質問のように購入資金を夫婦共同で出した場合、実際の購入資金の負担割合と登記の持ち分割合が異なっていると、贈与税の問題が生じてきます。


すべて夫名義で登記→ 贈与税231万円

負担割合により共有登記→ 贈与税0円

 

【計算例】

1,000万円 - 110万円(基礎控除)= 890万円

890万円 ×40%(税率)-125万円(控除額)=231万円


ご質問の場合、あなた一人の名義にしますと、妻の負担分1,000万円は妻から夫への贈与とみなされ、あなたは贈与税を231万円も払わなければなりません。そこで、土地および建物を夫2/3、妻1/3の共有名義にしておけば、贈与税の心配はありません。


共有名義にしておくメリットは?

土地および建物を共有名義にしておくことのメリットの1つは、数年後に売却して多額の売却利益が生じた場合の税金が、夫も妻も各々3,000万円の特別控除が認められて、単独の名義に比べてかなり有利になることです。また、夫婦どちらかに万一のことがあった場合、相続を受けた配偶者は、小規模宅地等の評価減を受けることにより相続税が安くなるという利点もあります。

 

なお、マイホーム購入に際してかかる税金には不動産取得税、固定資産税、登録免許税などがありますが、共有名義で登記しても単独名義で登記しても負担は同じです。

 

住宅ローンを共働き収入で返済した場合は?

この場合、預金等の実質所有者が明確でない場合、返済額を夫婦の所得按分で負担したものとみなされ、借入者である夫が妻の負担分だけ妻から贈与を受けたものとしてみなされます。つまり、借入金も夫婦の所得按分によって返済されていると考えてください。収入割合、資金出資割合を総合して共有登記にすれば何も問題は生じないということです。

 


【出典】 「[2013年版]かんたん税金ブック」 (PHP研究所)

 

【著者】

野村正雄 のむらまさお
1980年、税理士開業。現在、野村会計事務所、(株)野村経営、代表取締役。
団体、法人、個人の税務及び会計、資産運用、経営計画等の相談、税務顧問、監事およに全国で講演活動中。
著書に『暮らしの税金ハンドブック』『かんたん税金ハンドブック(1992年版~2012年版)』『かんたん保険税務のQ&A』『かんたん!らくトク確定申告』『[改訂新版]かんたん相続ハンドブック』(いずれもPHP研究所)他がある。