育児・教育ジャーナリストのおおたとしまさ先生に執筆いただいた家庭直販書『13歳からの「男の子」の育て方』は、体の変化から、心の変化、性の目覚めまで、思春期の男の子ならではの「行動の変化」に対応する方法をご紹介し、お母さんの気持ちが楽になる1冊としてご好評をいただいています。

 

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何を聞いても「別に……」しか言ってくれない


 

高倉健を気取っているわけではないのですが、思春期になると男の子は急に無口になります。無邪気に自分を表現することがはばかられるようになるのです。

 

さらに、いくら質問をぶつけても、つれない答えだけが返ってくるのが思春期の親子の会話です。
「今日は学校でどんなことがあったの?」と聞いても、「別に……」。
「最近はだれと仲が良いの?」と聞いても、「別に……」。

 

「別に……」は自分の聖域を守るための外堀です。
だれと仲が良いかなんて質問には、本当は答えてもいいのです。
でも、それに答えると次はきっと、「じゃあ、その○○くんとどんなことを話すの?」とか、「○○くんってどんな子なの?」などと話が広がることが予想されます。それがイヤなのです。

 

「それは話したくない」と思うタイミングがきたときに、口ごもってしまうのはイヤだから、最初から「別に……」であしらいたいのです。

 

はい。質問攻めをやめましょう。

 

お母さんは子どものことを全部知りたいと思いがちです。思春期にさしかかる前なら、子どももそれに応じてくれます。

 

でも思春期は、親とは違う価値観を築く時期。自分だけの聖域をもち始める時期です。いくら相手が親だからといって、何でもかんでも話せるわけではなくなるのです。

 

おそらく、これまでの会話のパターンは、お母さんが知りたいことを子どもに根掘り葉掘り聞くようなスタイルだったのではないかと思います。思春期までは子どもにも警戒心がないので、それでうまくいきました。

 

しかし思春期以降は、自分が知りたいことを根掘り葉掘り聞くのではなく、子どもが話したいことにしっかり耳を傾けて利く姿勢に転換しなければなりません。

 

大人同士の会話だってそうですよね。一方的に質問攻めにされたらイヤな気分になるでしょう。

 

そうではなくて、相手の話したいことを上手に引き出すのが本当の会話じょうずです。相手を会話の中心においた大人のコミュニケーション術なのです。

 

それなのに、親が質問ばかりしていると、子どもは自分の話したいことを切り出すタイミングを失います。結果、親子の会話はどんどんなくなっていきます。

 

「別に……」は、「お母さん、ちょっと質問しすぎ」というサインです。子どものほうから話し出すのを気長に待ってください。

 

思春期になったら、子どもを一人前(本当は半人前ですけれど……)の大人だと思って、リスペクトしながら対応しなければならないのです。

 


【出典】『13歳からの「男の子」の育て方』 (PHP研究所)

 

 

【著者】

おおたとしまさ
育児・教育ジャーナリスト。心理カウンセラー。
子どもの誕生をきっかけに「今、子どもと一緒にいられなかったら一生後悔する」と会社を辞め、育児・教育をテーマに執筆・講演活動を開始する。父親による育児・家庭教育、子育て夫婦のパートナーシップ、子どもの叱り方・しつけ方などをテーマに、新聞、書籍、雑誌など、幅広い分野に寄稿をする。また、心理カウンセラーとして、全国の父親から子育ての相談を受けている。
著書に、『男の子 育てにくい子ほどよく伸びる』(主婦の友社)、『男子校という選択』(日本経済新聞出版社)、『パパのトリセツ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など多数。