「おかあさん、寝られへん……」

きょう聞いた怖い話が頭にこびりついたり、宇宙人がきたらどうすべきかと怯えたり、翌日が心配だったりする日もあって、子どものころはたびたび寝付けなくなりました。

 

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「だいじょうぶ、だいじょうぶ」

 母はきまって、そう言って笑いました。

 

この世の終わりのような面持ちの私に、

“とりあえず目だけつぶっていたら?”とか、“あしたはあしたの風が吹く♪”とか、

たいそう軽い言葉とふるまいで、返してくるのでした。

 

悩みの解決にむかうアドバイスはひとつもない。だけど、求めていることをよくわかってくれていたなぁと感じます。

 

不安を受けとめ、ふわっと流してしまう。その力は絶大だったなぁ、と思うのです。

 

母がそこにいてくれるだけで、だいじょうぶ、と言ってくれるだけで、わたしは心底、安心しました。

 

どんなにすばらしい助言よりも胸にひびくのは、いつだって、“すべてをうけいれてくれている”という「実感」と「幸福」をまとった「だいじょうぶ」なのかもしれません。

 

 (T)

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