子育て期間中も子どもが無事に大学を卒業したあとも、子どもも親もずっと幸せに暮らすためには、大切なお金をどのように扱えばいいのでしょうか? 氏家祥美先生『子どもの年代別 大学に行かせるお金の貯め方』から転載でご紹介します。

 

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ファイナンシャルプランナーをしている私のもとには、教育費のご相談がたくさんあります。まだお子さんが小さくて、将来の教育費をこれから準備していきたいというご夫婦には、具体的なお金の話に入る前に、
「これから、どんな子に育ってほしいですか?」
「将来、どんな教育をしてあげたいですか?」
と最初に聞くようにしています。
多くの場合、第一声は、
「とりあえず、大学までは行かせてあげたい」
というもの。ところが、大学進学までの教育についてもう少し詳しく聞いてみると、理想とする教育方針や子育ての「常識」が、夫婦で微妙に食い違うことも少なくありません。
 
たとえば、東京の大学で知り合ったSさん夫婦の場合。同じ大学内で知り合ったご夫婦ですが、ご主人は緑豊かな地域でのびのびと育ち、高校までずっと公立の学校に通っていました。普段の勉強は学校の授業と宿題が中心で、大学の受験勉強も通信教育や参考書を使いながら仲間と一緒に図書館でしました。予備校に行くのは模擬試験程度でしたが、それでもご主人も、その友人も希望の大学に進学できました。
そんなご主人が自分の体験から、
「高校までは公立で十分。とにかく子どもにはのんびり育ってほしい」
と言うと、奥さんはびっくりした表情でこう言います。
「私は中学校から私立に行って、すごく楽しかったわ。エスカレーター式だったから、高校受験の苦労もいらなかった。この子も中学から私立に行かせてあげたい」
ご主人は、納得がいかない表情で聞いています。
 
ご相談を受けでいて思うのですが、人は自分がそれまで育ってきた環境をベースに、子どもの教育を考えます。そのため、「勉強のできる子は、地元の中学校から公立の進学校に通う」のがスタンダードな地域で育ってきた人は、多くの場合何の疑問もなく公立第一主義で教育プランを考えています。それに対して、学校の選択肢が多い都市部で育ち、小学生のうちから進学塾に通って私立中学に進学した人にとっては、私立中学受験がスタンダードになる傾向があります。
 
いつから私立に通わせるかによって、教育コストは雲泥の差になります。直前になってびっくりすることのないように、早い段階で教育に関する価値観を夫婦ですり合わせておきましょう。もしくはどちらの可能性もあるのなら、お金のかかるコースに備えておいたほうが安心です。
 
また、ときどき気になるのが「お兄ちゃんは大学に行かせたいけれど、妹には大学までは必要ない」というように、子どもの性別で教育方針を変えているケースです。家庭内で稼ぎ手と家庭の守り手という役割分担がうまくいっているご家庭で、よく耳にするセリフです。
 
今の小学校では、クラス名簿も男女混合で、小さい頃から男女平等が浸透しています。良妻賢母教育にカを入れてきた女子大学がキャリア教育主義に方向転換をするなど、世の中はこの10年で大きく変わってきています。子ども達が大人になる時には、今よりもっと進学も就職も男女の垣根がなくなるのが時代の流れでしょう。
 
お子さんが小さい時の教育方針は親が決めますが、ある程度の年齢になってからは、進路選択においては子どもの意思が一番重要になります。将来の教育費を考える時には、夫婦それぞれの「当たり前」を疑うと同時に、時代の変化も見据えながら、いろんな可能性に対処できるようにしておきたいですね。
 
 
 
【出典】『子どもの年代別 大学に行かせるお金の貯め方』 (PHP研究所)
 
 
【著者プロフィール】
 
氏家祥美 うじいえ・よしみ
ハートマネー代表。ファイナンシャルプランナー。立教大学卒業後、旅行代理店、専業主婦を経てファイナンシャルプランナーの資格を取得。女性のためのお金と仕事の相談室「ハートマネー」の代表となる。All About「女性のためのお金入門」ガイドを務めるほか、女性誌にも多数登場。仕事や家族の暮らしにも目を配ったライフプランの作成と家計の見直しが得意。2児の母でもある。監修本に『手取りが減った人のお金のルール』(主婦の友社)などがある。
 
 

 
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