『人づきあいの「黒感情」整理術』(袰岩奈々)では、さまざまな感情の中でネガティブな感情を「黒感情」を名づけ、それが起こるワケと対処法を解説しています。その一部をご紹介します。

 

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夫へ黒感情は、扱いが難しいもののひとつです。愛情が基本となって作られた関係なので、お互いの一挙手一投足から愛情を量ろうとしてしまう面があります。また、ケアしたりケアされたりする関係の中で、どちらがどれくらい労力をかけているかを比べるようなことも起こりやすいのが夫婦という関係です。
恋愛の初期は自然に「やりたくてやっていた」ことが、徐々に「やらなくてはならなくなてやる」ことに変わることもあります。関係を長く継続するためには、自然にわき起こる愛情だけでは不足することがあるのです。
また、至近距離にいるので、お互いの感情に影響されやすい面もあります。
不機嫌な態度で近くにいることが続けば、自分のせいだろうかといぶかしく思ったり、不機嫌さをぶつけられて腹が立ったりするでしょう。あまりにも落ち込みが続いていれば、何か力になれないだろうかと気をもんだり、何もできることがなければ無力感を味わったりもします。
 
長く暮らす中で感情は蓄積されます。日常の生活の中での言葉のはしばしや態度の中に、黒感情を引き起こすものがあれば、それが溜まっていくのです。長年の恨みを晴らすかのような、熟年離婚や退職離婚のようなことも起こります。黒感情が溜まりに溜まって、暗黒感情となった結果でしょう。
 
言いたいことが言えない関係は黒感情を蓄積させることになります。また、言っているのにきちんと聞いてもらえないという場合にも、黒感情がわき起こります。話した結果、何かを具体的にしてもらわなくても、聞いてもらっただけですっきりするということはよくあります。
 
夫に話を聞いてもらうためには、まずは自分の中に相手への批判的な気分や不満感があふれそうになっていないかを確認します。自分の中の黒感情に気づかないまま話すと、意地悪な感じやあてこすりなどが混じってしまうからです。まずは、自分の内側の不満や批判など、感情を整理しておきます。
 
たとえば、「日頃は忙しくて話すチャンスがないし、休みの日もゴロゴロしてて、話しかけても面倒くさそうにしている」状況を見て、なんか嫌だなあと思っているとします。その状況について、もう一歩、踏み込んで自分がどんな気持ちになっているのかを見ていきます。
 
「子どもの進路のこととか、老後のこととか、いっしょに話したいことがあるのに話せないのが不安」「どんな話でもいいので、会話できることが夫婦ってものだと思うのに、ほとんど会話がないというのはおかしい。腹立たしい」「もっと子どもにも人生のことや、勉強のことを話して欲しい。ダラダラ、ゴロゴロしている姿しか見せていないと、子どもに示しがつかない。やきもきする」など。
夫のどのような状態について、どう感じているかを言葉にしてみます。どんなことでもいいので、書き出していったり、友だちと話したりしてみます。こうやって、言葉にしていくうちに自分が何に対して不満をもっているのか、本当はどうして欲しいのかがはっきりしてきます。言葉にしていく際には、どんな感情も感じてしまうものなのだから仕方ないものとして、見てみます。もちろん、それらを全部伝えるわけではありません。自分が内側にどんなものを抱えているかを見るだけです。
こうやって内側を見てみると、いろんなものがからまっていることに気づくでしょう。それらを整理していくと、「本当は何が伝えたいのか」がはっきりしてきます。
「淋しい」気持ちや「一人で決めなくてはいけない不安」なども出てくるかもしれません。これらに気づきながら、夫への批判や非難は脇によけて、「気持ち」を伝え「どうして欲しいか」を伝えてみるのです。
すぐ相手から「わかった」と答えてもらえるわけではないですが、批判をまじえずに言いたいことを表現できるということは、ほっとする感じを味わったり自信につながったりします。
 
 

 
 
【出典】『人づきあいの「黒感情」整理術』 (PHP研究所)
 
 
【著者】
袰岩奈々 ほろいわ なな
教育相談員、大学での学生相談員などを経て「カウンセリングルームプリメイラ」を開設。学生、女性などのカウンセリングや、企業・学校教育関係者を対象とした感情・コミュニケーションをテーマにした研修も数多く実施している。また、さまざまな女性誌ほか育児雑誌・教育雑誌で心理関係記事にたずさわる。現在、ハワイ在住で2児の母でもある。
著書に『人づきあいがうまくいく「言い方・話し方」』(PHP研究所)、『わが子が伸びる魔法の口ぐせ』(大和出版)などがある。