自分のおもちゃに触った子を押し倒す~叱らず伝えられる魔法のカード

岩立京子
2023.03.23 15:02 2023.03.23 15:02

けんかする子ども

あきらめの気持ちで声をはりあげていませんか? いくつもの心に届く方法を知りましょう。それらを「ここぞ!」という場面で使えたら、子どもは変わるんです。

「PHPのびのび子育て」8月号から岩立京子著「叱らず伝えられる魔法のカード」をご紹介する第1回です。

※本稿は、『のびのび子育て』2014年8月号から一部を抜粋し、編集したものです。

岩立京子(いわたて・きょうこ、東京学芸大学教授)
東京学芸大学教育学部卒業。専門は発達心理学、幼児教育。乳幼児期の発達やしつけなどについて研究している。1男1女の母。著書に『いい母は、いい子をつくれない』(経済界)などがある。

叱りすぎでは届きません

多くの親は、我が子に優しく接したい、ほめて育てたい、叱らないで互いに気持ちよく過ごしたいと思っています。

しかし、実際に子育てをしてみると、子どもはいけないことをしたり、言うことを聞かなかったりして、親が叱らねばならないことも少なくありません。

ただ、やみくもに叱っては、効果がないばかりか、叱れば叱るほど、言うことを聞かなくなる場合もあります。

親も、1日中、叱ってばかりで疲れ果ててしまったり、そういう自分に嫌気がさしてきたり、親としての自信を失いがちです。ここでは、叱らずに伝える魔法の方法について考えてみましょう。

1.自分のおもちゃに触った子を押し倒してしまうトシくん(4歳)

「なんでそんなひどいことするの!」と頭をかかえてしまいそうですよね。

自分のおもちゃに触った子を押し倒す~叱らず伝えられる魔法のカードの画像1

幼児は言葉の発達が未熟で、相手の気持ちに気づきにくく、心のコントロール力も弱いので、欲求を満たすためにぶったりしがちです。この特徴を理解した上で、「トシくんが押しちゃったから、マコトくんが倒れて、痛いって泣いちゃったよ。ごめんねって言おうね」と相手の気持ちに関心を向けさせる言葉がけをします。

「ほめ習慣」が子どもの「聞く力」を高める

すぐに手が出る子は他者から叱られやすいので、叱り言葉に慣れてしまい、叱る人の言葉を聞かなくなります。

このような場合、日頃からほめるようにすると、ほめてくれる人の話をよく聞くようになりますので、「『だめー』『やだー』ってお口で言おうね」と相手を攻撃しない関わり方をくり返し、教えます。

それがある程度できたら、「すごいね」「さすがお兄ちゃん」と認めると、次第に、その子の自尊心や自信が、自己コントロールにつながっていくでしょう。