ケンカして物に当たる夫、自分の矛盾を認めずキレる上司、悪口ばかりのママ友……。彼らは一体なぜそうなってしまうのか!? 

藤井雅子さんの『「なぜか怒っている人」の取り扱い説明書』から、厄介な人への対処法をご紹介します。
 
ケンカしたあと、壁を殴ったり、物を投げたりする夫
 
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ケンカしたあとに、物に当たる人がいます。
 
壁を殴ったり、ぬいぐるみを投げたり、バーンと音を立ててドアを閉めたり……。
 
直接暴力を振るわれるよりはましですが、イヤな気分が残ります。
 
これは心理学で「行動化」と呼んでいるもので、ストレスや心理的葛藤をうまく表現できなかったり、対処できないことを、行動で表現しているのです。
 
こういう人は、コミュニケーションスキルが乏しいので、「あなたがなにを望んでいるのか知りたいから、なんでもいいから話してくれない?」などと、こちらから話を聞き出してあげる工夫が必要になります。
 
ただ、壁を殴ったり、乱暴にドアを閉めたりなどしているときは聞く耳を持てないので、しばらくは相手にせず、放っておきましよう。「言いたいことがあるなら、言えばいいのに」などと言葉で攻撃してしまうと、事態はさらに悪化します。
 
とはいえ、そんなことをされれば、こちらにもイヤな気分が残ります。そういうときは「あー、出てったわ。負けを認めたな……」「あんなやり方しかできないなんて、カツコわるーい」と心の中で呟きながら、とりあえず、自分のイライラを収めるとよいでしょう。
 
そして、冷静になったときに改めて話し合いの場を設け、お互いの理解を少しでも深めていくようにすることが大切です。
 
物に当たるのは、気持ちを上手に表現できないから。冷静になったときに、改めて話し合いを。
 
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指示に一貫性がなく、それを指摘するとキレる上司
 
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若手社員が、上司に対して抱く不満のナンバーワンは、「言うことに一貫性がない」ことなのだそうです。
 
上司の指示がコロコロ変わると、仕事に支障をきたすので、「さっきはそんなこと、おっしゃってなかったじゃないですか」と指摘すると、「なに言ってんだ、仕事は生き物なんだ。変わって当然なんだよ!」と自分の言動を正当化したり、ひどいときには、「お前がちゃんと聞いてないから悪いんだ」「オレだっていろいろ忙しいんだよ!」などと、開き直ったり……。
 
立場の弱い部下は、それ以上反論することもできずに、しぶしぶ指示に従うしかなく、ストレスがたまる一方です。
 
上司にしてみれば、決してわざと違うことを言っているわけではないのでしょう。自分の判断に自信がなくて、言うことがコロコロ変わってしまうというケースもあります。また、思いつきや衝動で指示を出していて、自分の中でも整合性がないことに気づいていない、ということも考えられます。
 
気分次第で指示を出している人は、もともと感情の起伏が激しい上に、自制心が弱く、自分でもコントロールが利かないタイプなのだと思われます。
 
あるいは、部下に指摘されて、自分の言ったことがバラバラだと気づいてはいるものの、自分ではどうにもできずに、結果、「あいつらが理解できないのが悪い」とか「そういうこともある」などと居直っている場合もあります。
 
いずれにせよ、上司が自分の矛盾を認めず、部下が常に忍従を強いられるのでは、たまったものではありません。
 
・事実のみを、淡々とやりとりする
 
こういうとき、部下はどのような対応をすればよいのでしょうか。
 
「部長は、あのとき○○って言ったじゃないですか!」と反論するのはNGです。言葉に批判を込めてしまうと、相手も臨戦態勢に入るので、冷静な話し合いができなくなってしまいます。
 
かといって、「意図をくみ取れなかった私が悪いんですね。申し訳ありませんでした」とがまんして引き下がる必要もありません。
 
「事例性」にのっとって、淡々と事実についてのやりとりをするようにしましょう。
 
事例性にのっとる、というのは「いつ・誰が どうした」などの、5W1Hを基本とする具体的な事実関係を中心に話をするということです。
 
たとえば以前、「この書類1枚でいい」と言ったはずなのに、今日になって「もっと資料を用意しろ」と言ってきたとしましょう。そう言われたら、「〇日に、部長は、この書類1枚でいいとおっしゃいましたよね。だから私はこれを準備したのですが……」と日時や指示の内容を、具体的に述べます。
 
上司が「いやいや、できるだけ出してって言ったはずだ」と否定してきた場合は、「この前は1枚でいいとおっしゃいました。でも、他の資料も必要なんですね。必要ならば、今からそろえます。いつまでにやればよいでしょうか」と事実確認に的を絞って、冷静に話を進めましよう。
 
「間違いなく、部長は1枚でいいっておっしゃいました!」「いや、そんなこと言った覚えはない」というように、言った 言わないで争っても、証拠がない限り、どうにもなりません。とくに、相手が感情的になっている場合は、 その感情に巻き込まれてしまい、怒りの応酬となって、収拾がつかなくなります。
 
「私はこう思った」という感情は抜きにして、事実だけを述べ、そこに行き違いがあったのであれば、これからどうすればいいのか、という話し合いに持っていくのが賢明です。
 
このようなやりとりがしょっちゅう起こるような上司の場合は、常にメモをとりながら指示を聞き、いざというときの証拠に残しておくのもよいでしょう。
 
感情的に反論してもムダなので、具体的な事実だけに絞って冷静に話を進めましよう。
 
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気に入らない人の悪口をまき散らす幼稚園のママ友
 
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「幼稚園に困ったママ友がいて、おつきあいにとても苦労している」
 
こんな話をよく聞きます。
 
とくに、ボス的な存在の人が、自分の思う通りにならないと気がすまないタイプだとやっかいです。自分に属さない人には敵意をあらわにし、他のママたちと集まってはヒソヒソと悪口を言ったり、嫌味を言ったり……。悪口のターゲットにされてしまった人は、幼稚園へ送り迎えに行くのも気が重く、毎日が憂鬱になりかねません。
 
こういう人は、自分と違うことをする人、違う考えを持つ人を脅威に感じ、攻撃してきます。かといって、1対1で面と向かって言う勇気はないので、遠回しに嫌味っぽい言い方をしたり、本人のいないところで悪口を言いふらしたりと、ネチネチ攻撃するわけです。相手の評判を落として、自分の評価を上げようという、自信のない人がよくする屈折したやり口です。
 
こうした「お山の大将」タイプは、いつも自分が注目されていたい、なんでも思い通りにしたい、ちやほやされたいと思っています。裏を返せば、それは自分に自信がないからです。自信がないなら、地道に努力して力をつければいいものを、それをせずに相手の足を引っ張るとても卑怯なやり方だといえるでしょう。
 
そういう卑怯で幼稚な人は、相手にしないのがなによりです。
 
「あの人は、頭が幼稚園レベルなんだ」と思って、相手にせず、スルーしてしまいましょう。この手のタイプには、反応しないことが一番の防御になるのです。
 
ネチネチと陰で攻撃するのは卑怯で幼稚な証拠。相手にしないことが一番の防御です。
 
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【本書のご紹介】

 

「なぜか怒っている人」の取り扱い説明書


『「なぜか怒っている人」の取り扱い説明書』

何かと大声で怒鳴りちらす、すぐにムスッとして黙り込む、物にあたる……一緒にいると厄介な「なぜか怒っている人」の心理とその対処法。

 


【著者紹介】
藤井雅子(ふじい まさこ)

心理カウンセラー。慶應義塾大学文学部人間関係学科卒業後、大手総合商社人事部、日本語教師、弁護士秘書を経て、2004年より現職。2006年、女性のためのカウンセリングルームオープン。
企業やクリニックでの臨床、EAP(従業員支援)コンサルティング、休職者支援、企業研修、セミナー、講演、執筆などメンタルヘルス全般で活動中。主なテーマは、自分らしく生きること、感情のコントロール、コミュニケーション、アダルトチルドレン。
 
著書に『オヤジの取説』(共著、ゴマブックス)、『人はなぜ怒るのか』(幻冬舎新書)。