その一言が、知らないうちに子供を傷つけているかも?『言ってはいけない! 親の「ひと言」』より、子どもが傷つくひと言と、その理由、対処法をご紹介します。

 

もう、やらなくていい

 

急に雨が降ってきました お母さんが、干していた布団をあわてて入れなから、小学校2年生になるまいちゃんを呼びました。

 

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まいちゃんは、お母さんから呼ばれて、嫌な顔ひとつ見せずに、洗濯物を入れ始めました。いつもお母さんがやっているように、ひとつずつ、軽く折りたたんで、そっと床に置く、ということを繰り返していました。これは、時間がかかります。でも、せっかくきれいに乾いた洗濯物をくちゃくちゃにせずに済む、とお母さんがいつも言っています。それなのに、今日のお母さんは様子が違います。まいちゃんは、いつもと違うお母さんの様子にわけがわからず、戸惑っています。

 

お母さんは、急に降ってきた雨に濡れないようにすることを最優先にしているので、いつもとやり方が違います。ちょっと雑でも、どんどん家の中に入れてしまうことが大切です。お母さんは、この状況に臨機応変に対応したようです。ですから、ゆっくり丁寧にやっているまいちゃんを見て、びっくりしてしまいました。

 

まいちゃんとお母さんのそのとき大切にしていることが、ずれてしまったようですね。お母さんは、このずれに気がつかなかったのか、修正しようとせずに、いったんお願いしたことをやめるように言いました。いったんお願いした手伝いなどを、完了しないうちにやめさせることが重なると、「自分は役に立たない人間である」 という意識を子どもに植え付けてしまいます。

 

解決策1:頼んだことは最後まで子どもに任せる

 

小さいときから、子どもにちょっとした役割をもたせることは大切です。それは、役割を達成したときに、人から感謝されるからです。人から感謝されることによって、自分が大切な人間だという意識が出てきます。しかし、いったん任された役割を下ろされてしまったら、どうでしょう? 大人だって、任された仕事を「あなたはもうやらなくていいです」とはずされてしまったら、かなり落ち込みますよね。自分は役に立たない、価値のない人間だと思ってしまいます。任せる、ということは、少しくらいやり方が違ったり、遅かったりしても、最後までやらせる、ということです。

 

解決策2:任せた内容に変更があることを伝える

 

その時々の状況に合わせて、行動を調整すること、つまり臨機応変に対応することは、まだまだ小学校の低学年くらいだと難しいものです。いったん覚えたいつもと同じやり方を柔軟に変えることは、かなり勇気のいることです。ですから、いつもとちょっと違うときには、その変更点を伝えて、どうしてもらいたいのか、あらかじめ具体的に伝えることが大切です。

 


 

【本書のご紹介】

 

言ってはいけない! 親の「ひと言」


『言ってはいけない! 親の「ひと言」』

感情に任せてつい言ってしまう言葉を、子どもはどのように感じ、成長にどのように影響していくのかを、教育学博士・臨床心理士である著者が、事例や対応策とともに紹介しています。
※家庭直販書です。一般書店では販売していません。


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【著者紹介】
小笠原恵(おがさはら・けい)
東京学芸大学特別支援科学講座教授。 教育学博士・臨床心理士・臨床発達心理士。 大学院修了後、都内教育センターで11年間心理士として勤務ののち、現職。 大学勤務の傍ら、知的障害のある学齢の子どもたちの臨床や保育園、小中学校の巡回相談、ペアレントトレーニング等の相談活動を行なっている。
著書に、「うちの子、なんでできないの?」(文藝春秋)ほか。