すぐに泣きだして、何もできなくなってしまうHちゃん。その原因は、お母さんが普段口にする言葉にありました。 ベテラン園長先生・加藤富美子さんのアドバイスを、幼稚園でのエピソードとともにご紹介します。

 

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お母さんの言葉

 

「先生、Hが泣いてない。ほら、笑ってる!本当に、先生が言ったとおりだった」

 

と、楽しそうにお友だちと踊っているHちゃんを見てお母さんは泣きました。

 

お遊戯会でのできごとです。

 

Hちゃんは年少ぐみの女の子。

 

小学校一年生に、とってもしっかりとしたお姉ちゃんがいます。

だから、入園前から、「お姉ちゃんは大丈夫なんだけど、この子は大丈夫かしら」とか、「この子には、まだできないかもしれない」ということを、いつもHちゃんの目の前でお母さんは話していました。

 

案の定、Hちゃんは泣きました。

「何もできない」と泣きました。

「何もしたくない」と泣きました。

 

でもそれは、お母さんの前でだけだったのです。

 

幼稚園に来ると、とても明るくておしゃべり上手で、何でもできるHちゃん。

お母さんに幼稚園での様子を知らせると、お母さんは喜んで見に来るのですが......、お母さんを見つけたHちゃんは泣くのです。

何もしなくなって、ただただ泣くばかりです。

 

がっかりして帰るお母さん。

 

運動会はとうとう、涙で何もできませんでした。

日ごろはあんなに上手なのに......。

 

悩むお母さんに言いました。

「目の前で『Hちゃんはできない』とか、『この子は私がいると全然だめ』とか言わないようにしたらどうでしょう? そして、何も心配していないよっていうような態度をとってみてはいかがでしょうか?」

 

お母さんは、そのようにしました。

 

そして、お遊戯会を迎えました。

 

Hちゃんはお母さんに言いました。

 

「もう大丈夫!ママが見ててもHは上手にできるよ!!見ててね、ママ!」と。

 

アドバイス

 

子どもにとって、お母さんの言葉は絶対です。 だから、できるだけプラスの言葉を使いましょう。 「あなたはできない」とか「できないかもしれない」という言葉をかけていては、「本当に自分はできない」と思い込んでしまいますよ。

 


 

【本書のご紹介】

 

ママ、「早くしなさい!」って言わないで


『ママ、「早くしなさい!」って言わないで』

言うことを聞かない、落ち着きがない、泣き虫、弱虫......。「うちの子、心配」という方に必見。パパやママのひと言で子どもは変身します。

 

【著者紹介】
加藤富美子(かとう・ふみこ)

長崎市出身。学校法人愛光学園三和幼稚園理事長・園長として、園の経営・運営にあたる。 三和幼稚園は、長崎では入園希望者が「入園待ち」をするほど人気の幼稚園。保護者に対しても惜しまず子育てアドバイスをするなど、園長への信頼も厚い。自身の子育て経験を活かし、幼稚園・認可外保育所の園長として幼児教育を通じて、保護者や地域との関わりに20年以上、携わっている。