子どもには子どもの人間関係があります。大人が介入しすぎず、遠くから見守ることも大事です。

ベテラン園長先生・加藤富美子さんのアドバイスを、幼稚園でのエピソードとともにご紹介します。

 

 

ningenkankei.jpg お友だち関係

 

「先生!Dちゃんと遊んでくるー!!」

 

笑顔でお友だちのところへかけていくEちゃん。

実は彼女は、ついこの前までお友だち関係で悩んでいました。

 

「お友だちが仲間に入れてくれないの」と先生のところへEちゃんが相談に来ました。

 

「え? 誰が?」

「DちゃんとFちゃん」

「どうしてかな?」

「わからない。私が悪いことしたかなと思って、DちゃんとFちゃんに 『ごめんね』って言っても、変な顔されるから、やっぱりごめんなさいが足りないのかなと思って何度も『ごめんね』って言ったの。そしたら『何のこと?』って聞かれて......もう、私どうしたらいいかわからない」と、泣きだしてしまいました。

 

お友だち関係のことはできるだけ自分たちで解決させたいと思い、先生はEちゃんに、「Eちゃんは、お友だちに何か悪いことしたと思う?」とたずねました。

「してないと思うけど......わからない。でも、何回も何回も『ごめんね』 って言ってるのに許してくれないんだもん」

 

「そう......それだけ『ごめんね』って言っても一緒に遊んでくれないんだったら寂しいね」

「うん。寂しい。だってお友だちいないんだもん」

 

「お友だち?Eちゃんのお部屋にはお友だちいっぱいいるでしょ?」

「うん。でもみんな遊んでくれるかどうかわからない」

 

「みんなのこと、嫌い?」

「ううん!!みんなとも遊びたい」

 

「じゃあ、お部屋のいろんなお友だちに 『遊ぼう』 って声をかけてみたら?」

「うん......少し恐いけどそうしてみる。先生、見ててね」

 

「わかった。大丈夫。Eちゃんだったらきっとできる! 頑張ってね!」

 

 

次の日から、Eちゃんはお部屋のいろいちなお友だちに、「一緒に遊ぼ!」とか、「仲間に入れて!」とか声をかけました。

 

みんなからは、「うん! 遊ぼ!」とか、「仲間に入れてあげるよ!!」という返事。

 

いつの間にか、Eちゃんはいろいろなお友だちと楽しく遊ぶようになりました。

 

「先生、いっぱいお友だちがいるって楽しいね」とEちゃんはニコニコしながら、今の気持ちを先生に話してくれました。

 

実は、先生は、少し前にEちゃんのことをそれとなくDちゃんとFちゃんに開いてみていました。

DちゃんとFちゃんは、Eちゃんの悪口など一切言わず、むしろ、Eちゃんのことをお友だちと思っているみたいでした。

 

Eちゃんはちょっとした勘違いで「DちゃんとFちゃんが遊んでくれない」と思い込んでいたようです。 DちゃんとFちゃんは「何もしていないEちゃんが、どうして 『ごめんね、ごめんね』 って謝るんだろう」 って思っていたようでした。

 

EちゃんとDちゃんとFちゃんのちょっとした心のすれ違いでした。

 

アドバイス

 

特に年長ぐみの女の子たちによくある、お友だち関係のトラブル。急いで解決しようとしないで、状況を見守りながら、ゆっくりと解決の糸口を探してみてはいかがでしょう。たくさんのお友だちと遊ぶことの楽しさ、そして「自分のまわりにはたくさんの友だちがいる」ということにも気づかせてあげてください。

 

 


 

 

 

【本書のご紹介】

 

 

 

ママ、「早くしなさい!」って言わないで


『ママ、「早くしなさい!」って言わないで』

言うことを聞かない、落ち着きがない、泣き虫、弱虫......。「うちの子、心配」という方に必見。パパやママのひと言で子どもは変身します。

 

 

【著者紹介】
加藤富美子(かとう・ふみこ)

長崎市出身。学校法人愛光学園三和幼稚園理事長・園長として、園の経営・運営にあたる。 三和幼稚園は、長崎では入園希望者が「入園待ち」をするほど人気の幼稚園。保護者に対しても惜しまず子育てアドバイスをするなど、園長への信頼も厚い。自身の子育て経験を活かし、幼稚園・認可外保育所の園長として幼児教育を通じて、保護者や地域との関わりに20年以上、携わっている。