家族の一員であるねこには、できる限り長生きしてほしいもの。愛猫家で知られる門倉有希さんに、ねこを長生きさせる秘訣を教えていただきましょう!

 

 

「室内飼い」で安全に。長生きねこに育てるための鉄則です

 

私が子どものころは、ねこを飼うといえば「半室内飼い」が一般的でした。寝るのも食事もトイレも家でするけれど、自由気ままに散歩にも出かける。ご近所さんで譲りうけたねこなどは、ときどき「実家」に里帰りまでしていたようです。

 

いまにして思えば、そんな飼い方ができたのも、のどかな地域性に助けられてのこと。都心で暮らしているいまは、ねこを外に出すことはとても考えられません。 屋外に一歩出れば、ねこにはさまざまなキケンが待ち受けています。もっとも心配なのが交通事故。車を運転する人は、道路にねこが飛び出してきてヒヤッとさせられた経験、ありませんか?ねこは強い光が目に入ると体がすくんで動けなくなるそうで、道路を渡りきれずに事故にあうケースは後を絶ちません。外に出るねこの死因でもっとも多いのが、この交通事故ともいわれています。

 

また、ねこ同士が外で出会えばトラブルだって起こります。避妊手術をしていないメスは望まぬ妊娠をしたり、去勢手術をしていないオスは繁殖相手を探して戻らなくなることも。ほかのねことの接触があれば、猫エイズ(猫免疫不全ウイルス感染症)などの感染症にかかるリスクも負います。

 

予期せぬ事態が起こってパニックになることも珍しくはありません。一目散で逃げたはいいものの、帰り道まで考えないのがねこの常(!?)。二度と家に戻れなくなってしまったら、ねこも飼い主も悔やみきれないというもの。

 

一般社団法人ペットフード協会の統計(平成26年)によれば、飼いねこの平均寿命は14・82歳。これを飼育環境で分けると、外に出るねこが13・19歳なのに対し、外に出ないねこは15・69歳という結果が出ています。屋外で出会うさまざまなキケンを回避すれば、2年半も寿命が長くなるのです。

 

外を気ままに散歩するねこの後ろ姿は、ウキウキと弾んでさえみえるときがあります。自由を謳歌させてあげたいと思う気持ち、ねこ好きとしてよくわかります。けれども大切なわがコを守るのも飼い主のつとめ。あらゆるリスクを考えると、やはり愛ねこには外出をガマンしてもらうのがいちばん。長く元気でいてもらうためにも、安全な「完全室内飼い」をおすすめします。

 

ココロもカラダも。欲求を発散できる「空間づくり」

 

外に出ないねこにとっては、家の中が行動範囲のすべて。そう聞くと「さぞかし退屈なのでは?」「満足できるのかしら?」と心配に思うかもしれません。しかしそこは、好奇心旺盛なねこのこと。限られた空間の中でも、つねに楽しいことを見つけだしてしまう天才です。

 

少なくともうちのねこたち(来たばかりのルネは除いて)は、狭いながらも「楽しいわが家」で退屈することなく毎日を過ごしてくれているようにみえます。もともと、7匹すべてがほとんど家の外を知らないコたち。ウラン (オス)とハイジ(メス)は赤ちゃんのときに保護されたコで、それ以外のコは生まれたときから室内暮らし。最初からこの生活が当たり前と思っているのでしょう。居住空間はけっして広くはありませんが、それぞれが自分のお気に入りの寝場所を見つけ、お気に入りの遊びを見つけて、ねこらしく活動的に過ごしています。そこが安全で快適な場所とわかれば、ねこは十分に満足して暮らせるのだと思います。 もちろん、その才能を発揮するには、それなりの環境を整えてあげることが前提です。私自身、ねこの生活空間をできるだけ充実させるために、これまでいろいろと考え、試してきました。狭い室内でも気持ちよく動き回ることができるように、部屋を立体的に構成したり、みんながお気に入りスペースを見つけられるように、ねこが立ち入れる場所をできるだけ多く作ったり。ココロの欲求を満たすために、できるかぎり、一匹一匹とのスキンシップにも時間をかけるようにしています。複数のねこを飼う場合は、愛情不足がストレスにつながることも珍しくないからです。

 

一方、外の世界を知っているねこを室内飼いにする場合は、欲求を満たしてやるためにさらに心を砕く必要があるかもしれません。特に、もともと野良だったねこなどは習慣が抜けきれずに外に出たがるものです。いきなり外出ができなくなれば、しばらくは不満を感じることもあるはず。室内の運動スペースを充実させることはもちろんですが、刺激的なおもちゃをプレゼントしたり、一緒に遊んでストレスを余すことなく発散させてあげてください。  

 

「おそとにだして!」とかわいい顔で訴えられればつい甘くもなりますし、出人口にデン!とすわり込んでの無言の要求には、根負けしてしまうこともあるでしょう。 けれど、刺激とひきかえに、愛ねこは安全な生活を手に入れるのです。外に出さないと決めたなら、断固として拒否するのも親ゴコロ。

 

野良だったねこちゃんの外出好きに手を焼いていたあるオーナーさんは、たまたまの引っ越しを機に、アッサリと完全室内飼いに成功したそうです。環境が変わること自体がねこにとってはストレスにもなりますが、どうせストレスを感じるならそんな荒療治もやむを得ないかも!?新しい生活空間をくまなく探検して回るうちに、かつての外出習慣も塗り替えられてしまうのでしょう。どうしても外出好きが収まらないねこには、飼い主ともども、生活環境をガラリと変えてみるのもアリなのかもしれません。 ちなみに、私はいま「猫共生型」のマンションに住んでいます。「ペット共生型住宅」とは、読んで字のごとくペットを飼育することを前提に作られた住宅のこと。単にペットを飼ってもいい「ペット可住宅」とは違って、専用設備や独自のサポート体制を備えているところが多く、たとえば動物病院やペットショップが同じ建物に入っていたり、入居者同士の交流ができたりなど、ペットにも飼い主にも住み心地のよい配慮がされています。

 

私が住んでいるのは共生型住宅でもさらに「ねこ専門」のマンション。部屋の中にはキャットウォークがあり、壁は爪とぎでボロボロにされないようなツルツルの素材でできています。床はねこの足腰にも負担の少ない、ややクッション性のある素材のため、高いところから飛び降りても安心していられます。 このように部屋の随所に、ねこにやさしいさまざまな工夫が凝らされているので、ねこたちとの暮らしも(狭さはさておき)満足。ペットを家族として迎え入れる人が増えている昨今、この手の賃貸住宅は増加傾向にあるようです。これから愛ねことの住まいを選ぶという人は、参考までにぜひ調べてみてはいかがでしょうか。

 


 

【本書のご紹介】

 

『長生きねことの暮らし支度』

ねこも年を取るとさまざまな変化が現れる。小動物介護士の資格を持ち7匹のねこと暮らす著者が、ねこと長く幸せに暮らすコツを紹介。

 

【著者紹介】
門倉有希(かどくら・ゆき)
1973年福島県生まれ。1994年『鴎...カモメ』でデビュー。1996年第6回NHK新人歌謡コンテストにて『女の漁歌』でグランプリを受賞し、その年の第47回NHK紅白歌合戦に初出場を果たす。1998年にリリースした『ノラ』はいまだにカラオケランキングの上位をキープし、約80万枚のロングヒットとなっている。近年ではライブ活動にも力を入れており、2014年10月にはシンガポールで初の海外コンサートを行う。2015年2月『門倉有希プレミアムベスト~気まぐれ女の恋心~』をリリース。8匹のねこと暮らす愛猫家。

 

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※門倉有希プレミアムベスト~気まぐれ女の恋心~(Victor)の詳細は門倉有希オフィシャルサイトへ。