感情の整理がうまくいくと、自然と片づくようになります。

 

 

「自分がない」と部屋が荒れる

 

わたしはこれまで、部屋が片づかない人の心理に特化して、数多くのケースに関わってきましたが、そうした中からの統計として、部屋が片づかない人は「自分よりも他人を尊重する」という心理傾向にあるケースが多いことに気づきました。物事を判断するときや、相手との関わりにおいて、「自分」ではなく「他人」に基準を置いて意思決定を行なっているのです。

 

そういった人は、よく言うと思いやりがある優しい人なのですが、悪く言うと、「自分がない」優柔不断な人でもあるのです。そしてこの「自分がない」ということが、部屋が荒れる大きな原因にもなっているのです。

 

「自分がない」ということは、自分が感じていることに素直になれていないということです。自分の感情を押さえ込みながら過ごしていて、他人との関わりにおいても、あまり自分の感情をストレートに表現をすることがない。「自分がない」状態だと、そのときに感じたことを、そのときに表現することがなく、常に感情を自分の中に溜め込むことで、その場をやり過ごすパターンが多くなります。そうなることで、本当は表現すべき感情さえも押さえ込んでしまい、気がつけばそれらが溜まりに溜まることによって、あとで大爆発して大きな問題となるケースも少なくありません。

 

常日頃から感情の整理を

 

そうやって感情を押さえ込むことで自分がなくなってしまうことが、部屋が荒れていくことに直結していきます。自分の感じていることを大切にできないから、本来自分が大切にしたいことを脇に置きながら、他人に合わせて物事を判断することが多くなり、本来必要のないものを背負ったり、取り入れたりしてしまうのです。  

 

だからこそなのですが、そういった「押さえ込んでいる感情」を吐き出すようにして、常日頃から感情の整理をうまく行ないながら「自分の精神状態を安定させていく」ことが、余計なものを取り込まない「冷静な判断力」を常に保つことにもなり、物理的な環境を整えていくための大きな一歩にもつながっていきます。

 

子育てをされている主婦の方は特にそうなのですが、思い通りにいかない子どもとの関わりの中で黙々と毎日を過ごすことで、自分の感情がおざなりになりやすいものです。単純に人と何気ない会話をするだけでも感情の整理につながるのですが、子どもを見ながら黙々と家事をしていると、そういった「誰かと会話をする」という気分転換すらできないもの。だからといって我慢をし続けると心にも身体にもよくないので、セルフケアとして感情の整理を日々意識することが大切です。

 

感じていることを、言葉に出してみよう

 

感情の整理を行なうためにいちばん大切なことは、今、感じていることに正直になるということです。今、この瞬間感じたことを、そのまま表現する――例えば、腹が立つと感じたら、「腹が立つ!」と言葉で表現する。逆に楽しかったら、「楽しい!」と素直に言葉で表してみる。自分の中に湧き上がる感情に善し悪しをつけずに、素直に表現をしていくことの繰り返しが、日々の感情の整理につながっていきます。

 

ただ、ここで間違ってはいけないのが、感じたことを素直に表現することは大切なのですが、「愚痴や悪口を言う」のとは違うということです。

 

純粋に「自分はこう感じた」と表現していくことが大切であり、誰かに矛先を向けた形で愚痴や悪口を言うことは、逆にどんどん自分をおとしめることになってしまいます。ですから、ここで感情の整理を行なうためのポイントを見ていきながら、実際に感情の整理を簡単に行なっていきましょう。

 

今、自分が感じていることを自由に書いてみる

 

感情の整理は、「今、何を感じているのかを確認する」ところから始まります。これは、通常の片づけにおける整理にも通じることですが、いきなり何かを変えようとはせずに、「現状を確認する」ということが、心理的にも物理的にも、物事を整理する上でいちばん大切なポイントなのです。

 

まずは現状を客観的に捉えていくためにも、今、感じていることをできるだけたくさん書き出していきましょう!

 

【例】 

・子どもの面倒を見るのが大変! 

・ゆっくりできる時間がほしい! など

 

できれば白紙を用意して、そこに思いつく限りの自分の気持ちを表現していくと、それだけでスッキリとした感覚が生まれてくると思います。そうして感情を書き出したものを客観的に見たあとは、その紙をビリビリと破って、ごみ箱にきれいサッパリ捨てましょう。そうすることで、「感情を処理した」という行為が具体的にイメージでき、気持ちを整理することができます。

 

自分の心で感じていることを文字にして形にすると、そこに客観性が生まれます。

 

そうやって客観的に自分の気持ちを感じていくことの繰り返しが、感情を整理することにつながっていき、心にゆとりを生み出します。

 

感情の整理が進むと 「衝動的な行動」が減ります。「衝動買い」を繰り返して、ものがどんどん増えてしまう原因は、感情を押さえ込んでいることにあるからです。

 

女性はもともと男性に比べて、感情表現が豊かな性質があるため、それがうまくできなくなってしまうことが、生活のバランスを崩すことにつながっていきます。だからこそ、片づかない状況があるときは「自分の気持ちに向き合うサイン」だと思って、感情の整理を行ないましょう。

 


 

【本書のご紹介】

 

あなたはなぜ、片づけられないのか?

 

『あなたはなぜ、片づけられないのか?』

何度やっても片づかないのは、あなたの考え方が原因です。考え方が変わらないと、同じ状況を繰り返します。空間心理カウンセラーが、片づかない原因を根本的に解決します。
※家庭直販書です。一般書店では販売していません。


mokujiwoyomu.gif


【著者紹介】
伊藤勇司(いとう・ゆうじ)
空間心理カウンセラー、日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー、魔法の質問認定講師。引っ越業で働きながら、日本メンタルヘルス教会で心理学を学ぶ中で「部屋と心の相関性」に着目し、現場で観た1000軒以上の家と、そこに住む家族や人との関わりの中から見出された「空間心理」をもとに独自の理論を確立。片付けの悩みを心理的な側面から解決する「空間心理カウンセラー」として2008年に独立。セミナー、講演、セッションは開業以来、約7000名に実施。クライアントは9割以上が女性で、主婦から企業経営者、作家などまで幅広い。「初対面でも安心して心を開ける」と、親しみやすい人柄で支持を得ている。
著書に『部屋は自分の心を映す鏡でした。』(日本文芸社)がある。