
大事なのは「ときめき」!?片づけでHAPPYになる方法【安藤貢×ひすいこたろう】
片づけに大事なのは「ときめき」!?「ときめき片づけ」協会代表の安藤貢さんと、人気カウンセラーひすいこたろうさんが、「片づけ」と「人の幸せ」のつながりについて、とことん話し合いました。

・片づけは人生の棚卸し
ひすい 安藤さんが片づけコンサルタントというお仕事を始められたきっかけは何だったんですか?
安藤 私はもともと、『人生がときめく片づけの魔法』(サンマーク出版)などの著書で有名になった近藤麻理恵さんの片づけレッスンを受けていました。
ひすい え? じゃあ、もともとは片づけが苦手だったんですか?
安藤 いえ、私の場合は、苦手ではなかったんですが、もっとスッキリ暮らしたいなと思って。
ひすい じゃあ、片づけエリートさんなんですね(笑)。
安藤 いえいえ、そんなことはないです(笑)。でも、いわゆる“汚部屋”という感じではなかったですね。
ひすい やっぱり、スッキリした部屋にするには、片づけを好きになるのが大事なんですか?
安藤 大事、というか、片づけって本当は楽しいはずなんですよ。
ひすい え? 楽しい?片づけが楽しくなるポイントってあるんですか?
安藤 まずは、「片づけ」と「掃除」を分けて考えることですね。この二つを混同していらっしゃる方が多いんですけど、本来は全く別のものなんです。近藤麻理恵さんが著書で書いていますが、掃除の対象は埃や汚れですが、片づけの対象は「物」なんですよ。
ひすい なるほど。
安藤 埃や汚れは自然に溜まっていくものですが、「物」は、自然に集まるのではなく、なんらかの理由があってそこにあるんです。
ひすい 確かに「物」って、自分が持ち込むなり、誰かにもらうなり、そこにあるからにはそれ相応の理由がありますよね。
安藤 つまり、「片づけ」というのは、そういう物を一つひとつ見ながら、これからもそこに残して大事にしていくのか、感謝をしながら手放すのか、という問いかけを自分に重ねていく作業なんです。
ひすい そこが、楽しくなってくるんですね?
安藤 そうですね。持っている物を見極めることは、自分を知り、認めることにつながります。「ああ、私はこんなにときめく物に囲まれていたんだな」と気づくと、楽しく前向きな気持ちになってくるのです。
・「ときめきの感度」を上げる
ひすい 片づけを面倒くさいと感じていた人もすぐに楽しい気持ちに変わっていくんでしょうか?
安藤 いえ、すぐにではないです。時間がかかりますし、本気で片づけたいという決心も必要ですね。
ひすい スイッチが入るのに少し時間がかかるということですよね。
安藤 はい。今まで溜め込んだものを初めて見直すわけですから。
ひすい 残すのか、手放すのかって、そう簡単には判断しにくいものもありますよね。いろいろ余分な迷いも出てくるじゃないですか、これはあったほうがいいかなとか。
安藤 迷うものは残してもいいんですよ。誰でも最初は、何を大事にして生きていきたいか、というところまで思いが至っていないのが普通なので、ほとんどの方はいっぱい迷われます。
ひすい これは高かったなとか、誰それにもらったなとか?
安藤 ええ。でも、一つひとつ物を見極めることを続けていくと、本当に大切にしたいことがわかってくるんです。片づけって自分を知っていく作業なんですよ。
ひすい なるほど! つまり、何が好きなのか、何を大切にしたいか、何に執着をもっているのか、そういう自分の内面がだんだんわかっていくわけですね。
安藤 そうです、そうです。
ひすい そうすると、迷わなくなるんですか?
安藤 はい。ある時点から急に。洋服の一着めで、残すか手放すかを五分以上悩んでいた人が、びっくりするくらいテキパキと進められるようになるんですよ。
ひすい それはどんなスイッチなんですかね。
安藤 お客様は「ときめきがわかってきました!」と言われますね。
ひすい 自分の「ときめき」の感覚がつかめてくるんですね?
安藤 はい。たぶん、それまでそういうことを考えたことがない人は、自分が何にときめくかの判断ができないんだと思うんです。どれにもときめくような、どれもこれも、ときめかないような……と。
ひすい つまり、片づけは、「物を通してときめきの感度を上げる」その過程なんですね。
安藤 おっしゃる通りです。
・自分の中の「幸せの軸」に気づく
ひすい ときめきの感度を上げるコツってあるんですか?
安藤 ひたすらやるしかないですね。ただ、片づける順番は大事です。衣類、本、書類、小物……ときて、思い出の品は最後です。
ひすい なぜその順番に?
安藤 判断の基準になる「ときめき」がわかりやすい順ですね。
ひすい 確かに、思い出の品は一番難度が高そう。
安藤 ええ。あとは、必ず手に取ることです。
ひすい ただ見るのではなく?
安藤 はい。例えば、洋服も、全部取り出して一度山にして、そこから一つひとつ手に取るんです。そうして頭ではなく体で感じる、というステップを、それこそ洋服の数だけ踏んでいきます。
ひすい 正に100本ノック!
安藤 はい、正にそのイメージです(笑)。でも、そうすると確実にときめきの感度は上がってくるんですよ。
ひすい いま、ふと思い出しましたが、『マトリックス』という映画に、「どうしたいか、何をしたいか、どっちを選ぶのか」というようなセリフが再三出てくるんですね。それって、幸せに生きる上で、すごく大切な問いだなと思うんです。
安藤 ええ、確かにそうですよね。
ひすい でも、世の中のさまざまな価値観に知らず知らずのうちに染まってしまうと、自分自身の価値観のセンサーが眠ってしまう。そうすると、どうしたいのか、何をやりたいのか、すぐに答えは出せませんよね。
安藤 そもそも何が幸せかもわからなくなりますしね。
ひすい 「ときめきの感度」って、そのセンサーだと思うんですよ。つまり、ときめきの感度を上げることは、自分が幸せに生きるために必要なセンサーを手に入れることなんでしょうね。
安藤 正に、そうなんです! 最初は「これでいいですか?」「こうしてもいいですか?」と私たちに質問攻めだった方でも、片づけを最後までやりきってしまうと自分の判断にとても自信がもてるようになって、ほとんど質問してこなくなるんですよ。
ひすい 自分の中にあるHAPPYの軸に気づくからでしょうね。
安藤 そうですね。だから片づけをすると、みなさんHAPPYになるんです。
・ときめき片づけはリバウンドしない
ひすい 僕は心理学を学んできているのですが、心理学ってひとことでいうと、自分の感情を客観視する技術なんです。
安藤 客観視……?
ひすい そう、客観視です。片づけを通して「物」に向き合うと、何を大切に生きてきたか、何に執着しているか、なぜ捨てられないのか、自分の内側が客観視できますよね。「物」に自分の内側が投影されるといえばいいのかな。だから、片づけって、自分の見えない心を整理整頓する技術なんだなと安藤さんのお話を聞かせていただき感じました。
安藤 自分の持っている物って、本来は自分の価値観を反映した物であるはずなのに、違うとしたら、自分を大事にしていないことになるんですよね。実は誰でも、そこのことにうすうす気づいているから、イライラしたり、もやもやしやすくなってしまうんです。
ひすい そうそう。
安藤 でも片づけという作業を通じて、自分の持ち物を価値観にぴったり合わせてあげると、本当に気持ちがいいんですよ。だから片づけをやりきった人って絶対にリバウンドしないんです。
ひすい ときめき感度が上がっているから、余計な物も買わなくなるでしょうしね。
安藤 圧倒的に物の量も減るので、掃除も楽になったとみなさん喜びます。収納も上手になる方が多いですね。引き出しの中の衣類を色がグラデーションになるように並べて、女子力を上げている! という方もいます。
・ときめきを大事にすれば、家族仲もよくなる
ひすい 自分のときめきを大事にするようになると、人のときめきも大事にできますよね。
安藤 それは確実にそうです。離婚寸前のご夫婦がお互いに片づけをしたら、ラブラブに戻ったという実例もあります。
ひすい 神道でも、「解きと結び」という概念があって、結ぶためには、必ず解きが先なんです。解いたあとに結びがある。その解きにあたるのが片づけなんでしょうね。
安藤 そう、片づけはゴールではなく、HAPPYになるための前提です。だから、いつまでも片づけのことを気にしているなんて損なのですよ。片づけはさっさと終わらせて、そのあとのそれぞれの物語につなげてほしいのです。
ひすい 片づけを通して自分のときめきを見つめ直して、HAPPYの軸を手に入れるんですね。
【著者紹介】
安藤 貢(あんどう・みつぐ)
近藤麻理恵さんの個人レッスン卒業後、ときめき片づけを学び、一般社団法人日本ときめき片づけ協会発足時からコンサルタント養成に関わる。2015年より現職。特に、子供向け、企業研修など、片づけをきっかけに本当にやりたいことに向き合うための講演に力を入れている。
ひすいこたろう
『子どもはみんな天才だ!』(PHP研究所)、『絶望は神様からの贈り物』(SBクリエイティブ)他著書多数。インターネットにて『3秒でHappy? 名言セラピー』を無料配信中。
「PHPくらしラク~る」は主婦が何気ない毎日をラクに楽しく過ごせるように応援する生活情報。 2016年6月号の特集は<人生がときめく 片づけ&スッキリ収納>です。
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