好奇心旺盛な子どもからの、「なぜ?」の質問。あなたはどう答えていますか?

 

 

子どもの 「なぜ? 」への答え方

 

Iくんは幼稚園の年長さん。最近、自分の身のまわりのあれこれに「不思議」を感じて、人の顔を見たら「どうしてだと思う?」と疑問を投げかけます。みんなで子ども向けの博物館に行ったときも、展示物のあちこちで「どうして?」を連発していました。すると、親切な博物館のおじさんがやってきて、Iくんの「どうして?」のすべてに対して、理路整然と完全に説明してくれたのです。するとIくんは、「どうして?」と言うのをやめてしまいました。

 

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×こんな接し方は気をつけて!

子どもの「なぜ?」に、すべて正確な知識で答える

 

○ こんな接し方をしてみたら?

子どもの「なぜ?」に、本気になって共感する

 

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「うちの子は『なぜ?』と言わないのですが......」

親御さんからこんな相談を受けることがあります。

そもそも、子どものなかにはじめから「なぜ?」があるわけではありません。

子どもは感じたままを感じ、動きたいまま動こうとします。しかし、時には自分が思うとおりの結果にならないことがあります。

 

まだ「なぜ?」という言葉にはなっていないかもしれません。でも、子どものなかには、「なぜ」という言葉になる前の思いが、生活のなかでたくさん生まれていると思います。そのとき表情などから読み取って、「なぜだろうね」「不思議だね」と問いかけていると、疑問についてじっくり考える習慣が身についてくるかもしれません。

また、子どもは、親が「こうしてほしい」というレールからよくはみ出すものです。「それはダメよ」「これはこうするのよ」「今はこうしてちょうだい」などとレールのなかに収めようとするたびに、子どものなかには「なぜ?」が生じています。そんな子ども自身が作り出した「なぜ?」に共感してほしいと思います。

大人からすると、子どもが抱く「なぜ?」は、科学的なことであったり、いろんな知識や知恵に結びつくものであったりを期待しがちですが、実際はもっとささいなことが多いものです。

たとえば、幼稚園の「衣替え」のとき、「なぜ今日から冬服を着ないといけないの?」と思ったり。本人は夏服のほうが気に入っていたりすると、「寒くなるからよ」と言っても、「今日はまだ寒くないじゃん」と納得しません。

たんに「わがままを言っている」「我を張っている」というのではなく、その子にはその子なりの理由があったりしますから、親もいっしょに「なぜ」を考えるようにすると、子どもへの理解につながるものです。

 

そういう目で子どもと接していると、子どもはほんとうに自分の「なぜ?」に対して愛着を持っていることがわかります。

先日も、ある子がものすごい大発見をしたような表情で、私のもとに駆けつけてこう言いました。

 

「ねえねえ、すごいよ! ティッシュって、こうやって箱から出すと、また同じものが出てくるんだよ!」

そこで私も「えっ?ほんとうなの?」と言って、試してみます。

「あっ、ほんとだ! 不思議だねー」

 

子どもに調子を合わせて形式的にそう言っているのではありません。その子が不思議に思ったことに、自分も本気で向きあってみると、ティッシュが出てくることもたしかに不思議に感じられるのです。

ですから、子どもが「なぜ?」「どうして?」と言ってくるたびに図鑑や事典やネットで正しい知識を仕入れて説明する、ということを続けると、子どもから「不思議だな」と思う感動が消えてしまうことになるのです。

 

「どうしてだと思う?」が口ぐせのようになっていたIくん。ある日、猫が屋根からさっと飛び降りるのを見て、「猫って、どうして屋根から落ちてもケガしないと思う?」と友だちに聞いて回っていました。

Iくんには、Iくんなりの答えがありました。ところが、それを言うと、友だちからは「おかしいよ」「じゃあ、○○のときはどうなの」と反論されたり、矛盾点を指摘されたりします。

するとIくんは、考えを練りなおします。「わかった。△△だからだ」。友だちからまた突っ込みが入ります。「でも、○○のときは××するじゃないか」。

そこからまたIくんは「ああでもない、こうでもない」と考えを広げていきます。考えてはこわされ、また考えてはこわされる。そんなふうに連鎖していくこと自体が楽しいのです。Iくんは「考えること」そのものを楽しんでいるのです。

そんなIくんに対して、博物館の"親切な"おじさんのように理路整然とした解説をしてしまうと、Iくんの「考える」作業は断ち切られてしまいます。こうして、子どもから「なぜ」が消えるのです。

大人は正解を急ぎがちですが、心にちょっとゆとりを持って、子どもの「なぜ」の世界を共に楽しんであげてください。

 


 

【本書のご紹介】

 

 

子どもの考える力をぐっと引き出すお母さんの話し方

 

『子どもの考える力をぐっと引き出すお母さんの話し方』

頭のいい子は、ワクワクするような体験と、お母さんの言葉で育つ! 本書では「失敗を乗り越える力」「とことん考えることを楽しめる力」が身につく接し方を紹介します。
※家庭直販書です。一般書店では販売していません。


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【著者紹介】

未来奈緒美(みき・なおみ)

2007年より虹色教室をはじめる。教室運営の傍ら、工作やブロック、算数などのワークショップをとおして子どもたちに自分の頭を使って考えたり創造したりする楽しさを広める活動をしている。