やっぱり不安な老後のお金。この「不安」の正体と、しっかり向き合ってみましょう。

 

 

 

 

老後が不安なのはなぜか?

 

 

「老後破産」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。ショッキングな言葉ですが、日本の悲しい一面であり、現実に起きていることです。こんな言葉を聞くと、「自分の老後は大丈夫だろうか?」と誰もが不安になると思います。

では、65歳で現役を退くとして、貯金がいくらあれば、老後に破産することなく、つつがなく一生を終えることができるのでしょう。

3000万円でしょうか。「5000万円ぐらい」「1億円あれば」と答える人もいるかもしれません。でも、人によっては1億円でも足りないかもしれません。

たとえば、年間1000万円つかうような生活を現役時代におくっていたとします。生活を変えずにいたら、10年で1億円をつかいきってしまいます。そういう生活だと、年金が入ってきたとしても、たいした支えにはならないでしょう。生活をダウンサイジングできればいいのですが、それまでの生活を急に変えることは意外にできないものです。

「貯金がいくらあれば、老後に破産することなく、つつがなく一生を終えることができるのか?」

この問いに対する答えは、人によって違うのです。生活が違えば、当たり前ですが必要な「生活費」も違います。

「私は、それほど贅沢はしていない」とみんな思っていますが、何を贅沢と思うかは人それぞれ。生活費は、人によってかなり高低差があります。「家族で外食」が贅沢だと思う人もいれば、毎週、家族で外食する人もいますよね。一年に何回も旅行に行く人もいれば、一回も行かない人もいるでしょう。

それが、いいとか悪いとかではなく、人によって満足できる「生活」は違うものなのです。旅行に行かなくても満足な人もいれば、温泉に入って、おいしいものを食べるのが生きがいという人もいます。

ここで質問です。あなたの現在の生活費はいくらですか? 月間でも年間でもいいので答えられるでしょうか。収入からおおよそ逆算できますが、いくらですか?

この質問にすぐに答えられる人は、自分の生活レベルを自分できちんと理解している人です。しかし、意外に答えられない人が多いのではないでしょうか。では、何にいくら使っているかまで知っていなくても、総額いくら使っているか分かりますか。

自分の生活費がいくらか分からなければ、老後に備えて貯金がいくらあれば安心なのかも分かりません。人は、よく分からないものに対して不安を抱くものです。だから漠然と老後が不安になるのです。

逆に言えば、自分が楽しく暮らせる生活費が分かっていれば、それをもとに必要な金額を計算して、老後に備えることができます。自分が満足できる「普通の生活」をすると年間いくらかかるのか。まずはこの金額を知ることが、老後の不安を解消するはじめの一歩なのです。

 


 

【本書のご紹介】

 

知っているようで知らない、お金の貯め方・増やし方

 

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【著者紹介】

小宮一慶(こみや かずよし)

経営コンサルタント。株式会社小宮コンサルタンツ代表。十数社の非常勤取締役や監査役、顧問も務める。1957年、大阪府堺市生まれ。1981年、京都大学法学部卒業。東京銀行に入行。1984年7月から2年間、米国ダートマス大学経営大学院に留学。MBA取得。帰国後、同行で経営戦略情報システムやM&Aに携わったのち、岡本アソシエイツ取締役に転じ、国際コンサルティングにあたる。その間の1993年初夏には、カンボジアPKOに国際選挙監視員として参加。1994年5月からは、日本福祉サービス(現セントケア)企画部長として在宅介護の問題に取り組む。1996年に小宮コンサルタンツを設立し、現在に至る。 主な著書に、『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』『ビジネスマンのための最新「数字力」養成講座』(以上、デイスカヴァー・トゥエンティワン)、『「1秒!」で財務諸表を読む方法』(東洋経済新報社)、『一番役立つ!ロジカルシンキング』『「ROEって何?」という人のための経営指標の教科書』(以上、PHPビジネス新書)など多数。 日本証券アナリスト協会検定会員。名古屋大学客員教授。