「いい人」になりがちな人づきあい。取り繕って、我慢してまで「いい人」になろうとして疲れているなら、「いい人」にならなくたっていいのです。

 

 

苦手なことは人にまかせていい!

 

何か頼まれて「できない」と言ったら、「使えない人」「不親切な人」と思われるのではと深読みして断れない。反対意見を言ったら仲間外れにされるのではと深読みして、イエスマンになってしまう。その結果、自分を犠牲にして心が消耗してしまう......。

こういう人は、「頼まれごとは真面目に全部引き受けないと関係が悪くなる」と思い込んでいます。しかし、その頼まれごとは、あなたにしかできないことでしょうか。あなたの「いい加減」が、誰かにとっては「ちょうどいい」かもしれないですし、たとえあなたがいなくても、たいていのことは回ります。

あなたが思うほど、人はあなたのことを気にしていません。苦手なことは人にまかせていいのです。いつも全速力では心の体力がなくなります。

「苦手なものは苦手」「できないものはできない」と正直に認めて素直に伝えれば、相手も悪いようには捉えません。その代わり、あなたが好きなこと、得意なことでカバーしましょう。

 

「完璧」はとうてい無理だと思っていい!

 

人に認めてほしいばかりに、「~すべき」という価値観に翻弄されて闇雲にがんばってしまう。しかし、やがて無理が出てくると、「どんなにがんばっても認めてもらえない」とマイナスの妄想が勝手に膨らみます。そして、目標を実現できない自分にも、評価してくれない相手にも不信感が募ります。

こういう人は、「相手の信念や価値観、評価基準は自分と同じである」と思い込んでいます。しかし、すべての人から完璧に認められるのは無理です。「こうやったら人から認められるんじゃないか」「私はこうするように望まれているんじゃないか」と深読みしても苦しくなるだけです。

他人の評価を気にして自分に高いレベルを要求し、誰からも好かれよう、認められよう、尊敬されようとすると、自分の首をしめることになります。人間は完璧ではありません。一生、未完成です。それよりも、相手との一瞬一瞬を大切に積み重ねていけば、自然とあなたは認められますよ。

 

気配り上手はやめていい!

 

人の欲求をすかさず感知できるというのは、気配り上手だからです。しかし、家でも会社でも地域でも、いつでもどこでも気を配りすぎると、いくつあっても身がもちません。 

こういう人は、「誰よりも自分が気配りをしないといけない」と思い込んでいます。しかし、誰か一人だけががんばって気配りをしているようでは、人間関係は崩壊します。

「さっき『疲れた』とつぶやいていたのは、『代わりにやれ』ということかしら」「『〇〇って知ってる?』って聞かれたけど、『調べといて』ってことかしら」などと深読みすることをいったんやめてみましょう。自分が笑顔でできる範囲の気配りだけにおさめて、人とつきあってください。

人との関係は、最低限のことができていれば、それ以上のことは、余裕があるときだけすればいい。「気配りができた/できなかった」で一喜一憂しなくていいのです。本当に必要なときにだけ、「気配り力」を使いましょう。

 

本当に大切にしたい人だけを大切にすればいい!

 

全員からいい人に見られようとがんばってしまう人がいます。その結果、自分にとって何が大切で、本当に大切にすべき人は誰なのかがわからなくなってしまいます。

こういう人は心配と不安ゆえに、「すべての人を大切にしなければならない」と思い込んでいます。しかし、時間は有限です。

自分の心を、本当に大切な人との関係に費やすほうが幸せになれるのに、全員から認められようと自分を浪費するなんてもったいないことです。

人から気に入られようとどんなにがんばっても、相手の性格や考え方は変えられません。

相手の心を深読みして疲れ切った心を、解放してあげましょう。最も大切なのは、自分の心を大切にすること。そして、自分を本当に大切に思ってくれている人の気持ちを大切にすること。ネガティブな深読みは偏った感情です。大切な人との時間さえ大切にできればいい。それだけで、あなたらしい気楽な人づきあいができるはずです。

 

【著者紹介】

中島輝(なかしま・てる)

心理カウンセラー。統合失調症やパニック障害など多数の困難を乗り越え、その経験をきっかけに独学で心理学やセラピーを学ぶ。著書に『堂々と逃げる技術』(学研プラス)、『エマソン 自分を信じ抜く100の言葉』(朝日新聞出版)などがある。

 

『PHPスペシャル』2017年9月号より

 

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本記事は、PHPスペシャル2017年9月号特集「気にしない練習」より、一部を抜粋編集したものです。