人の目を気にして、自分よりも他を優先させてきた結果、本当に好きなものがわからなくなっている人もいるのではないでしょうか。自分を大切にできるようになるために必要なこととは――。

 

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自分なりの「好き」を見つけよう

 

「自分を大切にするってどういうことかわからない」という声をよく聞きます。「自分を大切にする」とは、自分の個性を知り、受け入れていくこと。そして自分なりの「好き」を見つけて、それに費やす時間を増やしていくことだと、私は考えています。

10~20代の頃、自分の思いを誰かに表現することが苦手で、内向的な性格だった私は、社交的になりたい、もっと自分を表現したいという思いを常に持っていました。そして、好きなことを見つけて、それが仕事になったらどれだけ楽しいだろうと、わくわくしていたのです。

しかし、それはすぐに見つかりませんでした。何かをやりたいという漠然とした気持ちはあるのに、その何かが全くわからない。「自分には何もない」という感覚に、もどかしい思いをしました。

今思えば、人目を気にして自分の気持ちを抑え、実は好き嫌いがはっきりしていた自分を否定していたのだと思います。

 

自分を大切にすると、人にも大切にされる。

 

20代後半で心理学・カウンセリングに出合って、自分を見つめ直していく過程で、自分を受け入れることの大切さに気づきました。内向的なところも、自分の好きも嫌いも「それでいいんだよ」とひとまず許し、受け入れる。これができるようになって随分と楽になり、あれもこれもと好きなことがわかるようになっていったのです。

私の好きなこととは、人の心についての探究と文章を書くこと。それは、思い返してみると、子供の頃から好きだったものでした。「好き」がなかったのではなく、見えていなかっただけだったのです。

「好き」で満たされると、心に余裕が生まれます。すると、周りの人に優しく接することができます。人と自分は鏡の関係ですので、自分を大切にすると、周りの人からもまた同じように大切にされるのです。

ここで、自分の「好き」を見つけ、増やすための4つの方法をご紹介します。

 

(1)経験を増やす

 

「好き」がわからないのは、単に経験していないから、ということも多いです。今の自分の行動範囲を広げていくといいでしょう。頭で考えてもわからないものなので、食わず嫌いをせずに、まずやってみる軽さが大事です。

一生懸命続けていくうちに、思わぬ魅力を発見して好きになっていくこともあります。データを集めるようなつもりで、いろいろなことに取り組んでいきましょう。「好き」は、年齢を重ねるごとに変化していく可能性もありますので、昔は好きだったけど今は違うこともあるでしょうし、その逆もまたありえます。

 

(2)自分の感情を感じる手間を惜しまない

 

仕事や毎日の生活に追われていると、それに必死で、自分が今何を感じているのかを振り返る余裕がなくなります。とくに社会生活の中では、自分の感情を抑えて過ごすことが多いですよね。でも、感情を抑えていると、いつしか自分の「好き」がわからなくなってしまいます。

「好き」を見つけるためには、感情を抑えないことが大切です。時々は、映画や本、漫画を見るなどして情緒的なストーリーに触れ、感情を意識的に動かしてみるのがいいでしょう。「今、自分はどう感じているのか?」を問いかける癖をつけてみるのもいいですね。

 

(3)自分の中にある「こうすべき」というルールに気づく

 

自分の中に制限があると、「好き」を見つけることが難しくなります。たとえば、「意味のあることでないとしてはいけない」とか「役に立つことをするべきだ」というようなルールがあると、それが制限となり、ルールに当てはまらないものに気づかなくなるのです。

小物などちょっとしたモノづくりが本当は好きだったとしても、「それをして何の意味があるの?」という気持ちを持っていると、「好き」をなかったものにしてしまいます。そうした制限が自分の中にないかどうか、まずは考えていきましょう。

 

(4)些細なことでも、まずやってみる

 

「好き」を見つけようとすると、仕事につながるような大きなことでなければならないと構えてしまう人がいます。かつての私もそうでした。でも、大きなことをやっている人でも、最初の一歩は些細なことから始まっています。「この先何になるかなんてわからないけれど、でも、取り組むことが純粋に楽しいから」という理由だけで始めてみてもいいのです。

続けていくうちに、ご縁に恵まれて広がっていくこともありますし、ほかの好きなものが芋づる式に見つかっていくこともあります。まずは難しく考えずに、とにかく続けてみましょう。

 

【著者紹介】

高見 綾(たかみ あや)

心理カウンセラー。大学卒業後、民間企業の経理・財務業務に従事するが、自身の悩みを解決するためにカウンセリング・心理学にかかわるようになる。著書に『ゆずらない力』(すばる舎)がある。

 

『PHPスペシャル』10月号より

 

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本記事は、PHPスペシャル2017年10月号特集「毎日を『好き』で満たそう!」より、一部を抜粋編集したものです。