気の進まない誘いや強引な要求……「断りたいけど断れない!」と頭を悩ませていませんか?

 

女性

 

なぜ私は断れないの?

 

断るのが大好き! という人は少ないと思いますが、断ることにそんなに抵抗を感じない人もいれば、なかなか断れないという人もいます。まさに人それぞれ。こうした私たちの個人差は、性格と呼ばれたり、その人らしさと呼ばれたりします。そしてそのベースにあるのは、その人の価値観だという考え方があります。

価値観とは、何をよいこととして何を悪いこととするのか、また、何を危険として何を安全とするのか、さらには○○のような場面ではどのように行動すべきか、など、あなたが今採用している価値基準や考え方・行動様式の集まりのことです。この価値観によって、あなたの反応や行動が決定されると言われています。

そうは言われても、自分の中にそんな独自のルールがあるなんてピンとこない人も多いかもしれませんね。私たちのほとんどは、日常生活の中でいちいち価値観に照らし合わせて判断している自覚はないと思います。どちらかというと、そのときどきの出来事に、その場で自動的に反応しながら生活している。実感としてはそんな感じでしょうか。

それでもあなたには、「あなたらしさ」という一貫性があります。つまりあなたのパターン(性格)があるのは確かです。

もしあなたが“断るのが苦手”であるなら、それもあなたのパターンのひとつです。ではこうしたパターンはどのようにして形作られてきたのでしょうか。そしてそれを変えるにはどうしたらよいのでしょう。

 

意識的な学びと無自覚な学び

 

あなたの価値観や行動パターンは、これまで学んできたことの集積、もしくは取捨選択によってつくられてきたと言えます。しかし、その自覚はないかもしれません。というのも私たちの学びには無自覚なものもあるからです。

生まれてから今まで、私たちは数えきれないほど多くのことを学んできました。赤ちゃんの頃は、歩き方や話すことなどを学びましたし、大きくなると学校で勉強したり、友人関係の中で人付き合いのコツを学んだりしてきました。

こうした学びの中で、知識学習や素敵な人を見習うなどは、自分の意志で身につけた意識的な学習です。

それとは別に、あなたが自分でも知らないうちに経験から学んだものもあります。これが自覚のない無自覚な学びです。

もしあなたが、断ることに強い抵抗を感じるなら、以前に断って懲りたり、断られて辛い思いをしたり、断らせてもらえなかったり(強制されたり)、などの経験をした可能性があります。

“断って懲りる経験”とは、あなたが断ったら相手がひどく怒ったり、傷ついたりなど、何かしら面倒くさい事態になることです。“断られて辛い思いをした経験”とは、断られることで裏切られた印象をもったり、もしくは批判的・攻撃的な断り方をされたりという経験です。“断らせてもらえない経験”というのは、断っても聞いてもらえなかったり、言いくるめられたり、強引な言葉や態度で動かされたりすることです。

断るのが苦手な人は、このようなことから意識的に、もしくは無自覚に、次のような価値観が形成された可能性があります。

「断るのは悪いこと(断ってはいけない)」「断ると相手を不快にさせる(相手を不快にさせてはいけない)」「断ることはわがままだ」「断ることは裏切りだ」「相手の意向に添った行動をしないと危険だ」などです。

 

認識と現実のギャップ

 

無自覚な学びの多くは、無自覚なまま採用されて知らないうちに自分のパターンとなります。つまり意識的な検証をしていない価値観が私たちの中に存在するということです。また、意識的な学びも長年見直さずに使っていると、今の自分の状況に合わなくなってくることがあります。

どちらにしても私たちが学びとった価値観は、ときに思い込みとなって私たちの行動を不必要に制限することがあります。

思い込みとは強く信じ込むことで、そこには多少なりとも現実とのギャップがあります。

もしあなたが「私が断ると相手が不快になる」と信じていても、実際には不快にならない人もいます。それどころか、率直に断ってくれる人のほうが付き合いやすいと考える人もいます。

もしあなたが「断るといつも嫌な思いをする」と信じていても、相手や状況によってはそうでなかった経験もあるはずです。

本来、価値観とは、私たちが生きていくために有効な考え方や行動様式であるはずなのですが、ときに、生きるのに不便な思い込みへとふくらんでいってしまうことがあるのです。ですから私たちは、自分の不便な思い込みをまずは自覚し、そのうえで検証&修正する必要があります。

自覚するためには、自分がなぜ断れないのかという自分のパターンを見つめることです。

そして検証するには、今までと違う考え方に触れることです。こんな考え方があるんだと知ることは、自分の考え方の偏りを自覚したり、思い込みがゆるんだり、新しい価値観が芽生えたりするきっかけとなりえます。

さらに修正するためには、今までと違う行動を試すことです。これには勇気がいりますが、実践して、思い込んでいたのと違う結果を実感できれば、本当の意味での自己変革へとつながっていきます。

 

 


 

【本書のご紹介】

 

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『相手を不快にさせないお断りのしかた』

著者:中垣俊子(コルネット主宰)

 

断ることで自分の評価が落ちると思っていませんか? 断ることは自分を大切にするということ。そして、信頼できる誠実な関係を築くということをわかりやすい日常事例で解説しています。