
いくら言っても片づけてくれない、そんな家族への対処法
「何度言わせるの!?」と怒る前に、できることがあります。
◆言ってもきかない 家族には 「しかける」
「勉強しなさい」と言われた子どもは、
「今しようと思ってたのに~、言われたからやりたくなくなった」
と答えるのがテッパン。
人はなぜか、他人に言われるとやりたくなくなってしまうようです。
ならば、言わずに言うことを聞いてもらおう、動いてもらおうというのがしかけ作りのねらいです。
実は、世の中にはそんなしかけが数多く存在します。
例えば、銀行のATMなどでは、床に描かれた矢印や靴の形によって並ぶ位置が決められていて、わたしたちはあたりまえのようにそれに従っています。駐車場でも、白いラインで四角く区切られているので、そこに車をとめます。わたしたちは、街なかで無意識にしかけにはまっているわけです。
逆の例もあります。街角や雑木林の死角に、ゴミがたまっているようなところがありませんか? 自動販売機で飲み物を買って、飲み終わるあたりの場所にゴミ箱が設置してあれば、ゴミ箱に捨てなさいと言われなくてもみんなそこに捨てますよね。
お家の中でも同じことが言えます。
どうしても家族みんなが脱ぎ散らかしてしまうソファの上やイスの背もたれ。ならば、そこにはそもそもソファやイスではなく、脱ぎ散らかした洋服や、着かけ(一、二度着ただけで、まだ洗濯しない洋服のこと。「洗濯未満」とも呼びます)を入れるカゴや専用のかける収納グッズを置いておくといいのです。これがしかけです。
人は忙しいと、面倒なことは極力したくありません。使ったモノは、よく使う棚の上、手が伸ばしやすい腰高のテーブルの上などに、ちょい置きしたくなるもの。
ここにしかけを作ると効果的なのです。
point:イスの背もたれに代わる魅力的なしかけを作れば、「片づけなさい」と言う回数もストレスも減ってどんどん家事がラクになる
◆勝手に片づくしかけ方
しかけには3つの要素があります。
【収納グッズ】
同じ形でそろえた引出しやカゴは、家族それぞれのカラーやマークを決めて、「ここは自分のモノを入れるところ」となわばりをハッキリさせ、責任も持ってもらいます。
*いつも使うバッグやランドセルをかけるフックや入れるカゴ
*とりあえず大事箱、迷い箱
*着かけの洋服をひっかけるバーやフック
*脱いだパジャマを放り入れるオープンボックス
【動線】
家族がモノを置きがちな動線上に収納家具やグッズを設置。場所や高さがそれぞれ合っていて使いやすければ、何も言わなくても使ってくれます。
*ふだん、モノをちょい置きしてしまう廊下やダイニングテーブルのすみなど、動線にカゴを設置してみよう。拾う必要がなくなり、掃除もラクになります。
【ことば】
命令口調ではなく、こういう理由だから○○してねというお願いや、○○してみたらという提案型もいいですね。家族が意外な改善案やアドバイスをくれることも。
*「ここに置いてくれたら、洗っておくよ」
*「いつもここに置くと、探さなくてすむよ」
*「いつものところに置いてくれると助かるわ」
【本書のご紹介】
『「片づけなさい!」と言わずに家族が勝手に片づけるすごい方法』
著者:カール友波(整理収納アドバイザー2級認定講師)
お片づけは、がんばらない! 不思議と散らからないコツ、なぜか夫や子どもがひとりでに片づけてしまうしかけ、片づけやすい部屋づくりなど、目からウロコのアイデア満載しています。