負の感情は、自分の心のクセを見つめる大きな気づきを与えてくれます。傷ついた心をケアして、明日へのエネルギーに変換するための方法とは?

 

女性

 

感情の正体に気づけば怖くない

 

「毎日がつまらない」「寝ても疲れが取れない」「こんなはずじゃなかった」「急に涙が溢れてくる」「身体が鉛のように重い」……こう感じることがあるなら、それは心が疲れを溜めている証です。悲しい、つらい、きついといった負の感情を、私たちは無視しがちです。なぜなら、感じてしまうと今日のタスクがこなせなくなるから、これくらいでへこたれていたら夢は叶えられそうにないから、立ち上がれなくなりそうだから……などと思うからです。しかし、そうやって抑え込んだ負の感情はどんどん溜まり、不具合を起こします。

 

たとえ負の感情を無視できたとしても、その感情が生まれたという事実は消えません。溜まりに溜まった負の感情は、爆発寸前です。私たち現代人は、今にも爆発しそうな負の感情を抑えるのに、エネルギーの7割を使っていると言われています。つまり、人生を前に進ませるためのエネルギーは3割しか残っていません。それなのに、進みが遅いとさらにアクセルを踏むので、ブレーキとアクセルを同時に踏んでいる状態です。これではエンジンは焼けきってしまいます。改善しない疲れやつらさ、無気力の原因はここにあるのです。

 

感情を丁寧に扱うようになると、感情にふたをするエネルギーは不要になってきます。そして、人生を前に進ませるためのエネルギーが増え、もっとラクに力を発揮できるようになるのです。

 

ここでは、特に扱いづらい三つの負の感情について、向き合い方をご紹介していきます。

 

「絶望」は理想への近道

 

絶望とは、自分の理想や希望と、現実との開きによって生まれる感情です。「きっとこうなるはず」といった理想が高ければ高いほど、現実とのギャップに絶望を感じます。

 

絶望がもたらす気づきとは、自分が望んでいたものと現実のあいだには開きがあるという事実です。しかし、今が理想の状態ではないだけで、これからもずっとそうだとは、「絶望」は言っていません。開きがあるだけですから、高めた理想を低くして現実に近づけるのも一つの手ですし、現実から理想に至るまでのステップを計画立てるのも有効です。計画を立てる際は、ステップは小さいほどいいでしょう。

 

もし、とうてい無理だと理解したら、理想を捨ててしまうのも一つの選択です。

 

「恥」は美意識の確認

 

恥とは、自分が自分の美意識や価値観にそぐわない行動をしたときに生まれる感情です。逆に言えば、恥にはその人の生き方に対する美意識や価値観が露呈されるということです。

 

何を恥と感じるかには、あなたの生き方の価値観や美意識がはっきりと出ます。「私はこう生きたい」または「こんな生き方はしたくない」といった境界線が明確にわかるのが、恥を感じるときでしょう。

 

自分の真の欲求を自分で理解するのは、そう簡単ではありません。自分の欲求がわからないときは、嫌なことを明確にし、削除していくという方法があります。そのときヒントになる感情の一つが恥です。これまでの行動を、自分の価値に見合うものに改めるタイミングがきていることに気づかせてくれるのです。

 

「自己嫌悪」は行動の修正に役立つ

 

自己嫌悪には、「今の自分は、現実の自分とは違う」という主張があります。理想の自分や、自分が認知している自分とは違う行動をしてしまったときに生まれる感情です。

 

本来、自己嫌悪は、自分が認知している好きな自分と、好きな自分がやるとは思えない行動をした自分とのギャップに対して感じるものです。「次回は間違わないようにしよう」という行動の修正に役立ちます。

 

しかし、強すぎる自己嫌悪を感じる場合には、「自分はダメだ」と発言することで何も行動しなくて済むという利得があったり、ミスが許されて周りの注目を集めたりといったメリットを見出している可能性があります。

 

許されたい、行動したくない、責任を回避したいといった幼児性があるのかもしれません。

 

【著者紹介】

城ノ石ゆかり(じょうのせき・ゆかり)

1968年、熊本県生まれ。株式会社ngoro-ngoro代表取締役社長。20歳のころ自分を見失い、大学を中退して放浪の旅へ。マザー・テレサとの出会いを契機に心理学を学び始める。著書に『未処理の感情に気付けば、問題の8割は解決する』(実業之日本社)がある。

 

 

『PHPスペシャル』11月号より

 

SP1711

 

本記事は、PHPスペシャル2017年11月号特集「明日は笑顔になれる 心の休ませ方」より、一部を抜粋編集したものです。