野菜の栄養、ちゃんと摂取できていますか?じつは野菜の栄養は、食べ方によって9割以上なくなってしまうことがあるのです……!

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冬野菜たちの声を聞いてみましょう

 

現代は、「飽食の時代」と言われています。たしかに、かつては痩せ体型の多かった日本人も肥満に悩む人が増えています。そんな状況なのに「じつは、栄養失調の人が多い」と言ったら、信じてもらえないかもしれません。

しかし現実には、一見そうとはわからない「隠れ栄養失調」の人が増えています。「きちんと食事を摂っているのに、なかなか疲れが取れない」「なんとなく体の調子が悪い」という人は、隠れ栄養失調の疑いあり、です。

ではなぜ、そんなことが起きているのでしょうか? まず、栄養の宝庫である野菜の摂取量が昔より激減していることがあります。現在、日本人の7割が野菜不足だといわれています。忙しい毎日で外食したりコンビニ食に頼りすぎると、どうしても野菜が不足しがちです。

さらに、野菜自体の栄養素が昔より減ってしまっているんです! たとえば、一般に販売されているほうれん草に含まれるビタミンCの量は、50年前と比べるとほぼ3分の1、鉄分は6分の1に低下。大量生産によって土壌に含まれる養分が減ってしまったことが影響していると考えられます。

そしてじつは、「食べ方」にも原因が。とくに野菜は、食べ方や調理方法、保存方法によって、なんと9割以上も栄養をロスしてしまう場合があるのです。

野菜不足の上、野菜自体の栄養価が下がっている今だからこそ、効率よく食べることが大切。そのためにはどうすればいいか、まずは冬野菜たちの声を聞いてみましょう。きっとあなたの助けとなるはずです。

 

 

大根

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大根には消化を助けてくれる酵素・ジアスターゼ、脂質を分解する酵素・リパーゼなどが含まれています。これら酵素は加熱にとても弱く、50〜70℃でその働きが失われてしまいます。

また、重要な栄養素であるビタミンCは水溶性なので、煮込んでいる間に煮汁に溶け出てしまいます。したがって、大根おろしやサラダにして生で食べるのがベストなのです。その場合も、「皮ごと」が大事。ビタミンCは皮の近くに多く含まれているからです。

なお、できれば葉っぱのついたままの大根がオススメ。じつは、根よりも葉のほうが断然、栄養価が高く、ビタミンCはほうれん草の5倍、カルシウムは5・3倍もあるのです。

葉付きの大根を買ったらすぐに根と葉を切り分け、葉はサッとゆでて冷凍保存を。葉は脂溶性のビタミンA(β-カロテン)を含んでいるので、刻んで炒いため物などに入れるといいでしょう。

 

白菜

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白菜の外側の葉にはビタミンC、中心部分にはカリウムなどのミネラル類、根元部分には疲労回復効果のあるGギ ャバABAが含まれています。 

白菜は「中心部分から食べる」ことが重要です。中心部は「生長点」で、収穫されてからも生長しようとして外側の葉から養分をどんどん取り込もうとします。したがって、外側から食べていると栄養もうまみも抜けた部分から食べることになり、その間にもっとも栄養価の高い中心部を腐らせてしまうことにもなりかねません。

加えて、白菜のうまみのもとであるグルタミン酸は中心部に集まっているので(外側の葉の14倍!)、栄養とおいしさを無駄にしないためにもぜひ、中心部から食べてください。

なお、「塩もみ」をすると酵素がよく働き、それを1時間ほど置くとコクやうまみのもとであるアラニンやGABAがグンとアップします(GABAは普通に食べたときの6倍に!)。

 

長ネギ

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長ネギは、生のまま刻んで薬味として食べることも多いと思いますが、オススメの調理法は「焼き」です。ネギには抗酸化力があるのですが、加熱することでそれが2・5倍にアップするのです。網焼きでもフライパンに少量の油を入れて焼いてもOK。いずれもじっくりと焼くことで、甘く、とろりとジューシーになります。

長ネギのおもしろい点は、緑黄色野菜(緑の部分)でもあり淡色野菜(白い部分)でもあること。緑の部分にはβ-カロテンやカルシウム、白い部分には血液をさらさらにし、高い殺菌作用を持つアリシン、インフルエンザ予防に効果が期待できるフルクタンが含まれています。

緑の部分は水分が多いので傷みやすく、白い部分は乾燥してしなびやすいので、保存する場合には緑の部分と白い部分を切り分けて、前者(緑)は刻んで、後者(白)は新聞紙にくるみましょう。冬場は常温でもいいですし、気温が高いときは冷蔵庫の野菜室へ。

 

キャベツ

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キャベツには、胃の調子を整え胃潰瘍などを予防する働きを持ち「天然の胃腸薬」ともいわれるビタミンUをたくさん含んでいます。また、ビタミンCの量も豊富。外側の緑色の濃い葉の部分にもっとも多く含まれますが、芯の周辺にも含まれます。ほかにカルシウムやアミノ酸の含有量も多く、かなり優秀です。

キャベツは生のまま食べると繊維質を消化しにくく、カサが高いためたくさん食べられません。そこでオススメなのはスープです。ビタミンCなど水溶性の栄養素がスープに溶け込むので、スープごといただけばその9割を摂ることが可能。硬い芯も刻んで煮込めば食べやすくなります。

なお、カルシウムの吸収を助けるビタミンKも含有しています。ビタミンKは脂溶性なので、ベーコンと一緒に軽く炒めてからスープにしたり、スープに少量のオイルをたらすと効率よく摂取できます。  

 

きのこ類

 

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じつは、出荷時のしいたけには、カルシウムの吸収を助けるビタミンDは、それほど多く含まれていません。しいたけの「エルゴステロール」という成分が紫外線を浴びることでビタミンDに変化するのです。調理前に30分〜1時間程度、天日干しをすればビタミンDの量は10倍に。食物繊維やビタミンB1も10倍になります。

そのほかのきのこ類にも代謝アップ&美容効果やダイエット効果のある成分が含まれています。

保存は冷凍庫で。冷凍すると、きのこの細胞壁が壊れてRNA分解酵素という酵素が生まれ、うまみのもとであるグアニル酸やアスパラギン酸が3〜4・5倍になります。

ただし、解凍するとうまみや水溶性ビタミンが流れ出てしまうので、調理する際は必

ず凍ったまま使いましょう。

 

【著者紹介】

赤石定典(東京慈恵会医科大学附属病院栄養部係長)

レシピ本のプロジェクトリーダーとして、栄養食事指導によって、病態改善・治療・治癒への貢献を目指す。ベストセラーになった『その調理、9割の栄養捨ててます!』の監修を務めた。

 

『PHPからだスマイル』(PHPくらしラク~る♪増刊号)1月号より

 

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本記事は、『PHPからだスマイル』(PHPくらしラク~る♪増刊号)1月号「健康常識は9割ウソ!」より、一部を抜粋編集したものです。