上の息子さんは、質問魔。内心うんざりしながら答える浅野さんですが、ある日、気が付きました。

 

親子

 

「何で?」

 

3歳3カ月の長男は、半年くらい前からこの言葉を1日に何十回と発しました。

 

朝に私が 「パパは仕事に行ったの」 と言えば、「何で仕事に行ったの?」と聞き、雨の日に「雨だからお外で遊べないね」と言えば、「何で雨が降るの?」と聞いてきます。

 

私はその都度、できるだけわかりやすい言葉で、息子に答えるように心がけていました。

 

しかし、いつも穏やかに答えられるわけではなく、

 

「何回も、同じことを聞かないで」

 

「それは、そういうものなの」

 

などと、心ない返事をするときもあったのです。正直なところ、1日に何十回と発せられる「何で?」にうんざりしていました。

 

そんなある日、買い物に行くために骨組みが赤い橋を車で渡っていると、「赤い橋なのに、何で茶色いところがあるの?」と聞いてきました。私は心の中で「経年劣化です」と思いながら、「太陽の光や、雨とかで、色が変わったんだよ」と答えました。すると息子は、

 

「違う。車がたくさん通るから」

 

と返してきました。あまりにもはっきりとした口調なので、思わずどぎまぎしていると、

 

「ママ、間違えちゃったの?」

 

と息子は笑いながら言いました。そこで、「誰が教えてくれたの?」と聞くと、「ママや」と言います。何度聞き返しても「ママが言った」と答えます。

 

どうやら、息子は前にも同じ質問をして、そのときに私が答えたことを覚えていたようでした。私は、自分が言った答えをすっかり忘れていたのです。

 

「そうだね。車がたくさん通って、汚れて茶色になったんだね」と言うと、「そうや」と、元気な声が返ってきました。ミラー越しに息子の満足そうな顔が見えたとき、急に自分を恥ずかしく感じました。

 

息子の 「何で?」は単なる口ぐせで、なぜかを本当に知りたいわけではないし、すぐに忘れると思っていたこと。「何で?」にうんざりしながら答えていたことを恥じたのです。

 

その日から、息子の 「何で?」にうんざりする気持ちはグッと減ったように思います。

 

今も息子は1日に何度も「何で?」と聞きますが、息子なりに解釈ができるようになったこともあります。そして、すぐに「何で?」とは開かずに、かつて私が答えたであろうことを、自分なりに話してくれるようにまでなりました。

 

パパが仕事に行くことについては、「パパ、お仕事してお金もらったかなあ。また、よしとやけい君(弟)に絵本買ってくれるかもしれんなあ」とか、雨が降ることについては、「雨が降っとんなあ。太陽は雲に隠れてお休みしとるね」というふうにです。こんな話を聞くと、子どもの成長はすごいと驚き、何とも言えないあたたかい気持ちになります。

 

この4月から息子たちを保育園に預けて、仕事に復帰する予定です。息子たちと1日中一緒に過ごせるのも、あと少し。この貴重な時間に発せられる「何で?」に真撃に向き合い、答えていきたいと思います。

 

「何で?」の先にある、息子の話を楽しみにしながら。

 

浅野涼子(岐阜県安八部・37歳・公務員)

 

 

 


 

のびのび子育て

「PHPのびのび子育て」は未来を担う子どもたちの健全な成長と幸せを願って、発刊している月刊誌。 2018年月1月号の特集は<グズグズ・ダラダラが止む! こどもに「すぐ効く」最高のひと言>です。

 

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