その「健康にいい言葉」、そのまま信じて大丈夫ですか?

 

フルーツ

 

研究が進み、体にプラスとなる成分や健康にいい食べ方などについて新しい情報が次々と明らかになってきました。

しかし、「◯◯が体にいい」といっても、たとえば7割の人には当てはまるかもしれませんが、そうではない人も3割いるかもしれません。自分がその3割だとしたら、お金を無駄にすることになります。

私が特に懸念しているのは、たとえば血圧にしてもコレステロール値にしても「高い」ことばかり問題にされ、「低い」ことの危険性への関心が薄いことです。じつは、塩分などは年齢が上にいくほど、「足りない」ことが問題なのです。

ここで紹介する「危険ワード」をチェックすれば、きっと「本当の健康」に近づけます。

 

危険ワード1:低塩・減塩

年齢が上がるほど、塩分の「摂取不足」が心配。最悪の場合、命を危険にさらすことに。

 

高血圧症の予防には、塩分を摂りすぎないことが大切。しかし、「健康のために」と減塩の必要のない人まで「低塩・減塩」の食品に手を伸ばすのは危険です。

とくに、高齢者は要注意。腎臓には、余分な塩分(ナトリウム)を排出し、逆に塩分が少ない場合には溜めておく機能があります。ただ、加齢によりこの機能が衰えるため、やみくもに減塩すると塩分が不足。その結果、食欲減退や疲労感が生じ、もっと進むと頭痛や錯乱状態を引き起こす「低ナトリウム血症」という状態に陥ることも。ひどい場合には、昏睡状態に陥る危険性があるのです。

日本人の平均食塩摂取目標量は1日あたり約8グラム。この量を目安に、塩分の摂りすぎはもちろん「塩分不足」にも気をつけましょう。

 

危険ワード2:コレステロールカット

コレステロールはやや高めの人のほうが長生き。低すぎるとガンのリスクが高まります。

 

コレステロールは心筋梗塞のリスク要因ですから、コレステロールを減らせば心筋梗塞の危険性が減るのは確かです。

しかし、コレステロールには別の一面があり、その値が高いほどガンのリスクが少なくなるというデータがあります。日本人の死因の第1位はガンで、ガンで亡くなる人の数は心筋梗塞や脳梗塞のそれを合わせた数より多いのです。ガンを防いで長生きをするには、コレステロールは「やや高め」のほうがいいのです。

また、コレステロールはうつ病を抑制する可能性があるというデータもあります。日本人の20代、30代では男女ともに自殺が死因の第1位。自殺はうつ病と密接に関連していますから、心を健やかに保つためにもコレステロールは下げすぎないことが大切なのです。

 

危険ワード3:糖質ゼロ

体重を落とすのには効果的ですが、免疫力が落ちる恐れも。

 

糖質(炭水化物)を摂らなければ、たしかに体の脂肪は燃えやすく、早いスピードで体重を落とせます。多すぎる内臓脂肪はさまざまな病気の要因になるので、そうならないためにも糖質をある程度コントロールすることは大切です。

しかし最近、私たちの体に非常に重要な役割を担う免疫細胞が、内臓脂肪を含め体内の脂肪分から作られることがわかってきました。ですから、ウイルスや細菌などから身を守るために、脂肪を減らしすぎないようにしましょう。

なお、糖質ゼロをうたう食品に使われている人工甘味料の中には発ガンリスクや血糖値を上げるものもあり、まだ安全とは言い切れません。むしろ、自然の糖質を適度に摂るほうがより安全だと考えられます。

 

危険ワード4:大豆イソフラボン

女性には効果が期待できますが、男性は摂りすぎに気をつけましょう!

 

大豆イソフラボンは、女性ホルモンと同じような働きをするため、女性の体と心のバランスを整え、内面的にも外見的にも若々しさを保つのに有効な成分です。更年期をスムーズに乗り切るためにも効果的だとされています。

しかし、男性の場合は注意が必要です。男性のシニア期からリスクが高まる前立腺ガンの予防には女性ホルモンが使われますが、女性ホルモンが多くなりすぎて相対的に男性ホルモンが減ってしまうと男性機能が衰える危険も。すると、性欲がなくなるだけでなく判断力が落ちたり、社交的でなくなって活動性が低下したりします。

前立腺ガンのリスクが高い人を除いて、特に男性は大豆イソフラボンの摂りすぎに注意しましょう。

 

危険ワード5:コラーゲン入り

食べたコラーゲンがそのまま体の中でコラーゲンになるとは限りません!

 

コラーゲンの分子は大きいため、口から摂ってすぐに血液の中に入るわけではありません。体の中でいったん分解され、アミノ酸になってからコラーゲンの合成を助けるのです。

コラーゲン入りの食品を食べると、それが最終的にはコラーゲンの合成につながる可能性もありますが、その合成力は人によってさまざま。食べたコラーゲンがそのまま全部、体の中でコラーゲンになるとは限らないのです。

なお、コラーゲン入りの化粧品にも疑問が残ります。分子が大きいので、肌に塗ったところでコラーゲンが肌の下に浸透するとは考えられません。多少の保湿効果はあるかもしれませんが......。いずれにせよ、コラーゲンを食べる、塗るを妄信するのは禁物です。

 

【著者紹介】
和田秀樹(わだひでき)
精神科医。1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。「和田秀樹こころと体のクリニック」院長。国際医療福祉大学大学院教授。『だから、これまでの健康・医学常識を疑え!』(WAC)、『だから医者は薬を飲まない』(SBクリエイティブ)など著書多数。

 

「PHPからだスマイル(PHPくらしラク~る増刊)」 5月号より

 

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本記事は、「PHPからだスマイル(PHPくらしラク~る増刊)」5月号特集「じつは老ける食べ物30」より、一部を抜粋編集したものです。