子どもにとって魅力がいっぱいの「家事」。子どもの活動を、大人が上手に支援してあげましょう。

 

女の子

 

子どもにとっての家事は「本物の仕事」

 

幼児がいちばんやってみたい活動は、何だと思いますか。

 

答えは、子どもにとっていちばん身近な、おうちの方がしていること。つまり、料理、洗濯、掃除など、家事の一つひとつが、子どもにとっては魅力いっぱいの活動なのです。

 

危ないから、汚されて困るから、時間がかかるからと、大人はつい、子どもを家事から遠ざけてしまいがち。でも、家事の手伝いをする体験は、本物の仕事をする喜びを子どもにもたらしてくれます。自分も大人と同じことができたという達成感、家族の役に立つことができたという満足感は、おままごとでは決して得ることができないものです。

 

危ないからとやめさせるのではなく、子どもが安全に使えるような道具や環境を用意して、「こうなると危ないから、こうするのよ」と、ゆっくりやって見せましょう。

 

やってもらうより、自分がやりたい

 

「聖アンナこどもの家」の子どもたちは、部屋を広く使う必要があるときなどは、机やいすを自分たちで移動させます。園に見学に来られる方の中には、その様子を見て驚く人もいます。

 

机の移動などは先生がやるのが当たり前の園もあるでしょう。しかしモンテッソーリ園では、机やいすを運ぶのも、大事な教育の一環と考えます。運動の敏感期にある子どもたちには、身体を使う活動が必要です。それに何より、子どもたちは、こうした仕事を自分でするのが大好きなのです。

 

身体の器官が発達してきて、いろいろなことができるようになる2歳半ごろからは、家事に挑戦させるのに格好の時期。この時期の子どもたちは、自分の力を発揮する出番を待っています。自分で何かをすることは、子どもにとって、大人にしてもらうより何倍もうれしいことなのです。

 

ぴったりの仕事を見つけよう

 

他の活動と同様、お手伝いも自発的にやってもらうことが大前提です。「これをやって」と一方的に決めずに、好きそうな仕事をいくつか見せて、「どれをやる」と選んでもらうとよいでしょう。

 

難しそうな仕事をやりたがるときでも、「それはムリ」と拒絶せず、一部を任せるだけでも、子どもは張り切ってやってくれます。

 

「聖アンナこどもの家」では、年齢別に役割分担をして、配膳の仕事をしてもらっています。年少さんの仕事は、年長さんからコップにミルクを注いでもらって運ぶこと。年少さんにとっては、「お運び」が、充分やりがいのある仕事なのです。 

 

小さなことでも本物の仕事をして役に立てるのは、子どもにとってうれしいもの。

 

家族に「ありがとう」と感謝されることは自信にもなり、自己肯定感の育ちにつながります。

 

ひとつの仕事を充分繰り返して満足すると、子どもの興味は次に向いてきます。子どもには個人差があり、「何歳ならこんなお手伝い」と一概には言えませんので、子どもをよく観察して、「そろそろこんな仕事を見せてみようかな」と、次の夢中になれる仕事へとつなげていってください。家事の教え方のポイントは、日常生活の行動を教えるときと同じです。

 

「環境づくりの6つのポイント※過去記事参照」を守り、間違いを直接訂正しないようにしましょう。

 

子どもが失敗したからといって、「あとはお母さんがやる」と仕事を取り上げると、家事への意欲がそがれてしまいます。子どもが行き詰まったら、「次はこうだよ」と、難しいところの手本をもう一度ゆっくり示し、子どもが最後までやり遂げられるよう援助してください。

 

子どもは時には、仕事をずっと続けたがるかもしれません。子どもは繰り返すことで動作を習得していきますから、なるべく「それはもういいの」と中断させずに、満足いくまでやってもらうようにしたいものです。

 

 


 

【本書のご紹介】

 

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『自分で考えて生きる力が育つ12歳までのモンテッソーリ子育て』

著者:野村緑

「自分でできる子」から「自分で考える子」に育つために0~6歳、6~12歳で家庭でできるモンテッソーリ教育を紹介しています。

 

【著者紹介】

野村 緑(のむら・みどり)

県立新潟女子短期大学(現・新潟県立大学)幼児教育科卒業。上智 モンテッソーリ教員養成コースを経てイタリアに留学。マリア・モ ンテッソーリの愛弟子であるアントニエッタ・パオリーニに学び、 1973 年に3 ~ 6 歳国際ディプロマ取得。シルバーナ・モンタナーロ に学び、2001 年に0 ~ 3 歳国際ディプロマ取得。バイバ・グラッツィー ニに学び、2012 年に6 ~ 12 歳国際ディプロマ取得。玉川大学編入学。 白根カトリック幼稚園勤務。現在、東京国際モンテッソーリ教師ト レーニングセンター講師。同センター付属「聖アンナこどもの家」 副園長。

 

<聖アンナこどもの家>

〒194-0037 東京都町田市木曽西5-38-7

電話042-792-3825