子宮外妊娠――病院で医師に言われた言葉をすぐに理解できなかった田中さん。でもつらい経験が、娘さんの成長に気づかせてくれました。

 

 

長女が2歳を過ぎた頃、念願の第2子の妊娠がわかり、夫と大喜び。初産が何の問題もなかった私は、病院に行く日を心待ちにしていました。娘も、「かわいい、かわいい。抱っこする」と張り切り、喜んでくれていました。

 

そんな矢先、違和感のある腹痛があり、急ぎ病院へ行くことにしました。すると先生に、開口一番にこう言われたのです。

 

「子宮内でかなり出血しています。おそらく子宮外妊娠かと」

 

てっきり「おめでとうございます」と言ってもらえると思っていた私には、予想外の言葉でした。

 

詳しく検査すると、週数的に正常妊娠の可能性も否定できないとのこと。妊娠の継続を希望しているなら、このまま入院して経過観察する必要があり、いつまでの入院になるかわからないと説明を受けました。

 

当時フルタイム勤務だった私は、そんなに入院できるわけがない、そう思いました。

 

「子宮外妊娠」という言葉は聞いたことがありましたが、まさか自分がなるとは思ってもおらず、正しく理解していなかったため、「通院でなんとかなりませんか?」と、思わず先生に聞いてしまいました。

 

すると、その言葉を聞いた先生の顔がいっきに険しくなりました。

 

「仕事は、他の人でもできます。迷惑をかけたのなら、身体が元に戻ってから挽回すればいい。子宮外妊娠は急激に症状が進むと母子の命に関わることもあります。お腹の赤ちゃんを見守る役目、自分自身の命を守る役目は、お母さん本人しかできませんよ」

 

先生の言葉でやっと事態を把握し、今、最優先で守るべきものが何か気づかされました。

 

ロビーで待っていた娘に、「ママがいなくても、パパと2人でねんねできる?」と聞くと、「だいじょうぶ。ねんねする」と、あっけらかんと言ってくれたのが救いでした。

 

そしてその夜、緊急手術に。やはり子宮外妊娠で、卵巣が破裂する寸前だったようです。

 

看護師さんから説明を受けている間、「はい、はい」と誰よりも大きくうなずきながら返事をしていた娘。

 

そこから約1週間の入院生活。「ママがいないと嫌!」と甘えん坊だった娘が、「1人でする!」と、着替え、歯みがき、髪を結ぶのも見よう見まねで頑張っていたようです。これには本当におどろきました。

 

それから約1年後、再び妊娠。前回のこともあり、無事に生まれてくれるか不安で仕方ありませんでした。

 

でも娘が、「いたい、いたい、ない?」と小さな手でお腹をなでてくれる姿を見て、不安に思ってばかりの妊娠生活ではだめだと、自分を奮い立たせることができました。

 

そして予定日より1週間早く次女が誕生。4歳になっていた長女は、お産の間、助産師さんの制止も振り切り、ガッツリ足元から赤ちゃんを迎えてくれました。夫も、これにはびっくりしたようです。

 

これらの経験を通し、妊娠も出産も、慌ただしい毎日も、けっして当たり前のことではなく、とてもありがたいことであり、奇跡だということに気づかされました。

 

甘えん坊だと思っていた娘の優しさ、強さにふれることもできました。

 

つらい経験ではありましたが、得たものは、はるかに大きかったと思っています。

 

(大阪府・35歳・会社員)

 


 

「PHPのびのび子育て」 8月号より

 

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本記事は、「PHPのびのび子育て」2018年8月号特集【ちゃんと「ガマン」できる子に】より、一部を抜粋編集したものです。